ニューハーフ極道ZERO

フロイライン

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road to lord

ミナミ

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未来は西長堀駅から程近い北堀江という街に住んでいた。

心斎橋や難波には歩いて行けない距離ではなく、二人は散歩がてら歩いて行こうということになった。


「お店の帰り以外で優磨とこの辺を歩くのって初めてかも

なんか新鮮だわ。」


未来は悠真と手を繋いで歩きながら言った。

「そうだな。
たしかに新鮮な気持ちになる」


「それにしてもすごい人だね。」


「この辺は仕方ないよ。
外人観光客も多いし…」


西側の御堂筋から道頓堀方面に歩いてきた二人は、あまりの人の多さに驚きを隠せなかった。

「そのハンバーグ屋ってどこにあるんだ?」


「えっと、もう少し進んだところにあるわ。」


未来は優磨を見て言ったが、優磨は何も答えず、前方を見ていた。

未来も優磨が見ている方向に顔を向けてみた。

五メートルほど前方に三人の男達がこちらに向かって歩いてきていた。

未来はその風貌、服装からすぐに察しをつけた。

これはカタギじゃない

まさしくヤクザだと…


三人はさらに近づいてきて、優磨に声をかけた。


「これはこれは、垂水組の若き組長さんじゃないですか。」

と…


「なんだ、お前ら?」


「いやいや、こっちは天下の垂水組組長に名乗るような者じゃありまへんわ。」


「…

あんた、大友組か?」 


「あ、なんでわかりましたんや?

ワシは大友康二っちゅう者ですわ。
アンタと同じ組長や言うても、全然規模がちゃいます。
根性だけは老いさらばえても些かも衰えてはおりまへんがな。

まあ、以後お見知り置きを」


大友はニヤリと笑って言い、優磨と未来を品定めするように視線を送った。


「ところで、岡田はん。」


「…」


「ウチと沢木組が敵対関係にあって、この辺で小競り合いをしてるっちゅうのんは知ってはりますわな?」


「ああ

くだらねえ事でワアワアうるさいと、いつも思ってるよ。」


「そうでっか。

まあ、アンタみたいな巨大組織の人間には、ウチらみたいな小さい組の縄張り問題になんか関心ありまへんのやろなあ。」


「全くねえよ。」


「だったら、今後ミナミでアンタの言うところの、しょーもない事件が色々と発生しても、傍観しといてもらいたいもんでんなあ。」


「そうはいかんよ。

沢木組はうちの傘下だ。
何かあったらとことん介入する。」


「ほう

おたくのお父さんがあまりにも無関心やったがために、抗争がでかくなったんとちゃいまんのか。

親父と同じ轍は踏めんてか。」


「ああ、そうさ。

こっちも覚悟は出来てるつもりだよ。
だからアンタもそれなりの覚悟はしとく事だね。

大友さん、アンタと話が出来て楽しかったよ。
じゃあ、またどこかで。

未来、行こう」

優磨はそう言って未来の手を引くと、雑踏の中に消えていった。
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