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road to lord
忠告
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「キムさん
こんなところまでわざわざラーメンを食べるために来たわけじゃないですよね」
多喜は、落ち着いた口調でキムに問いかけた。
「いや、ウチの者がラーメンに目がなくてな。
お前さんの店が美味いって評判を聞きつけて、こうしてわざわざ来たんだよ。」
キムは余裕を感じさせる笑みを浮かべて言った。
「キムさん、多村さんですよね
多村組長がここに行くように命令されたんですよね」
「いや、多村の姐さんからは何も言われてねえよ。
それどころか、多喜には手出ししないとおっしゃってた。」
「えっ」
「アイツは甘い男だが、そういうところは嫌いじゃないってな。」
「じゃあ、何故ここに来られたんですか。」
キムは手元のグラスの水をグイッと飲み干し、話を続けた。
「忠告だよ
いや、警告と言った方がしっくりくるかな。」
「警告?」
「ああ。
今後、俺たちは活動を本格的に開始する。
知ってるとは思うがターゲットは沢木組、そして、旧多村組…今は大西組か。
まあ、お前が傍観するなら何もしねえが、もし大西や亮輔に加担するなら、お前も敵になる。
俺や多村さんのな。
賢いお前なら、どうすればいいか言わずともわかるよな?
もし、バカなマネをすれば、お前はまた後悔する事になる。
そして、この美人の奥さんも悲しい思いをするだろう。」
「キムさん
何で、そんな事をわざわざここまで来て言ってくれるんですか?」
「俺もお前の事が好きだからさ。
しょーもない事に首を突っ込んで死んでもらいたくねえんだ。」
キムはそう言って笑った。
「さて、帰るとするか。
まあ話がメインでラーメンはどうでもよかったが、めちゃくちゃ美味かったぜ。
お前、才能あるわ。
この道で夫婦共々頑張れよ。」
キムは、財布から一万円札を何十枚か手に取り、机に置いた。
「行くぞ」
一緒に来た男に声をかけると、立ち上がりそのまま去っていった。
多喜は去り行くキム達を呆然としながら目で追っていたが、姿が見えなくなると、肩を落として椅子に腰掛けた。
「しんちゃん…」
薫が近付くと、顔を上げ、その手を握った。
「大丈夫だよ。
俺はもうヤクザの世界から身を引いたんだ。
何が起ころうともあっちの世界には二度と首を突っ込まないから。」
「でも、亮輔さんや大西さんまで…
それに、ワタシの元いた沢木組が狙われているとなると…」
薫は神妙な顔をして多喜に言った。
「もう、あんな思いはしたくない。
薫を失いたくない…」
多喜はそう言うと頭を抱えて首を垂れた。
こんなところまでわざわざラーメンを食べるために来たわけじゃないですよね」
多喜は、落ち着いた口調でキムに問いかけた。
「いや、ウチの者がラーメンに目がなくてな。
お前さんの店が美味いって評判を聞きつけて、こうしてわざわざ来たんだよ。」
キムは余裕を感じさせる笑みを浮かべて言った。
「キムさん、多村さんですよね
多村組長がここに行くように命令されたんですよね」
「いや、多村の姐さんからは何も言われてねえよ。
それどころか、多喜には手出ししないとおっしゃってた。」
「えっ」
「アイツは甘い男だが、そういうところは嫌いじゃないってな。」
「じゃあ、何故ここに来られたんですか。」
キムは手元のグラスの水をグイッと飲み干し、話を続けた。
「忠告だよ
いや、警告と言った方がしっくりくるかな。」
「警告?」
「ああ。
今後、俺たちは活動を本格的に開始する。
知ってるとは思うがターゲットは沢木組、そして、旧多村組…今は大西組か。
まあ、お前が傍観するなら何もしねえが、もし大西や亮輔に加担するなら、お前も敵になる。
俺や多村さんのな。
賢いお前なら、どうすればいいか言わずともわかるよな?
もし、バカなマネをすれば、お前はまた後悔する事になる。
そして、この美人の奥さんも悲しい思いをするだろう。」
「キムさん
何で、そんな事をわざわざここまで来て言ってくれるんですか?」
「俺もお前の事が好きだからさ。
しょーもない事に首を突っ込んで死んでもらいたくねえんだ。」
キムはそう言って笑った。
「さて、帰るとするか。
まあ話がメインでラーメンはどうでもよかったが、めちゃくちゃ美味かったぜ。
お前、才能あるわ。
この道で夫婦共々頑張れよ。」
キムは、財布から一万円札を何十枚か手に取り、机に置いた。
「行くぞ」
一緒に来た男に声をかけると、立ち上がりそのまま去っていった。
多喜は去り行くキム達を呆然としながら目で追っていたが、姿が見えなくなると、肩を落として椅子に腰掛けた。
「しんちゃん…」
薫が近付くと、顔を上げ、その手を握った。
「大丈夫だよ。
俺はもうヤクザの世界から身を引いたんだ。
何が起ころうともあっちの世界には二度と首を突っ込まないから。」
「でも、亮輔さんや大西さんまで…
それに、ワタシの元いた沢木組が狙われているとなると…」
薫は神妙な顔をして多喜に言った。
「もう、あんな思いはしたくない。
薫を失いたくない…」
多喜はそう言うと頭を抱えて首を垂れた。
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