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road to lord
実利
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未来のカミングアウトは、叔父の涼太の多大なるアシストのおかげで、思いの外上手くいった。
まさか、両親が認めてくれるとは夢にも思っていなかったからだ。
ただ、女性として生活している事へのカミングアウトは受け入れられたが、結婚するという話に対しては、ほとんどリアクションがなく、そこの部分まで認めてくれたのかどうかは不透明のままだった。
しかし、未来としては帰ってきて良かったと心から思えるほど、今回の帰省は実りのあるものとなり、翌日、満足感を胸に大阪に戻っていった。
23時47分に大阪難波駅に着く最終電車に乗った未来は、行く時とは正反対に、晴々とした気持ちになる事が出来た。
カミングアウトについては優磨にも逐一報告し、LINEの中ではあるが、優磨もすごく喜んでくれた。
三番線ホームに特急電車が入線すると、未来は実家から手渡されたお土産とボストンバックを棚から降ろし、両手にそれを抱えながら降車口から出てきた。
「お嬢さん、お荷物をお持ちします。」
未来は後ろから声をかけられ、ハッとして振り返ると‥
そこには優磨が立っていた。
それもスーツ姿で。
「えっ、えっ
優磨、どうしたの?」
「今日は大阪で新年の集まりがあってね
未来を迎えに行くにはちょうどいいシチュエーションだったもんでね。」
「えーっ、来てくれるとは思わなかったよ。」
「来る気満々だったし。
だから、何号車に乗ってるか聞いただろ?」
「そうだったね。
全然気付かなかったわ。」
「貸して、バック持つわ」
優磨は未来からボストンバックを受け取り、エスカレーターに乗った。
「優磨、どこか行く?」
「そうだな
とりあえずこの荷物を置きに、未来の部屋に行くか」
「えっ、いいの?」
「久しぶりに未来の部屋に行きたいと思ってたんでね。」
「弁護士さんと来て以来だもんね。
てか、狭すぎるから今までお呼び出来なかっただけなんだけど。」
未来はそう言って笑った。
「地下鉄の最終がまだあるわ。」
未来が腕時計を見ながら言うと、いつもは車移動しかしない優磨も頷いて素直に従った。
二人は近鉄の改札を抜けて、左側にある地下鉄の改札に入ると、階段を降りていった。
「ここから一駅なの。」
「そうだったね」
ホームで、地下鉄が来るまで、二人は、例のカミングアウトの話をして過ごした。
「それにしても上手くいったよな」
「叔父さんがね、かなり助け舟を出してくれて。
自分でもこんなに上手くいくとは思っわなかったわ。」
「とりあえず、第一関門クリアだな。」
「でも、その後に結婚の話をしたら、二人共固まっちゃって‥
果たしてわかってくれたのかどうか、疑問‥」
「一気に全部は無理だよ。
次は俺も一緒に行くよ。」
「えっ、優磨が?」
「ああ。
だって、結婚の挨拶って奥さんの実家に行ってするもんだろ?」
優磨は、そう言って笑った。
まさか、両親が認めてくれるとは夢にも思っていなかったからだ。
ただ、女性として生活している事へのカミングアウトは受け入れられたが、結婚するという話に対しては、ほとんどリアクションがなく、そこの部分まで認めてくれたのかどうかは不透明のままだった。
しかし、未来としては帰ってきて良かったと心から思えるほど、今回の帰省は実りのあるものとなり、翌日、満足感を胸に大阪に戻っていった。
23時47分に大阪難波駅に着く最終電車に乗った未来は、行く時とは正反対に、晴々とした気持ちになる事が出来た。
カミングアウトについては優磨にも逐一報告し、LINEの中ではあるが、優磨もすごく喜んでくれた。
三番線ホームに特急電車が入線すると、未来は実家から手渡されたお土産とボストンバックを棚から降ろし、両手にそれを抱えながら降車口から出てきた。
「お嬢さん、お荷物をお持ちします。」
未来は後ろから声をかけられ、ハッとして振り返ると‥
そこには優磨が立っていた。
それもスーツ姿で。
「えっ、えっ
優磨、どうしたの?」
「今日は大阪で新年の集まりがあってね
未来を迎えに行くにはちょうどいいシチュエーションだったもんでね。」
「えーっ、来てくれるとは思わなかったよ。」
「来る気満々だったし。
だから、何号車に乗ってるか聞いただろ?」
「そうだったね。
全然気付かなかったわ。」
「貸して、バック持つわ」
優磨は未来からボストンバックを受け取り、エスカレーターに乗った。
「優磨、どこか行く?」
「そうだな
とりあえずこの荷物を置きに、未来の部屋に行くか」
「えっ、いいの?」
「久しぶりに未来の部屋に行きたいと思ってたんでね。」
「弁護士さんと来て以来だもんね。
てか、狭すぎるから今までお呼び出来なかっただけなんだけど。」
未来はそう言って笑った。
「地下鉄の最終がまだあるわ。」
未来が腕時計を見ながら言うと、いつもは車移動しかしない優磨も頷いて素直に従った。
二人は近鉄の改札を抜けて、左側にある地下鉄の改札に入ると、階段を降りていった。
「ここから一駅なの。」
「そうだったね」
ホームで、地下鉄が来るまで、二人は、例のカミングアウトの話をして過ごした。
「それにしても上手くいったよな」
「叔父さんがね、かなり助け舟を出してくれて。
自分でもこんなに上手くいくとは思っわなかったわ。」
「とりあえず、第一関門クリアだな。」
「でも、その後に結婚の話をしたら、二人共固まっちゃって‥
果たしてわかってくれたのかどうか、疑問‥」
「一気に全部は無理だよ。
次は俺も一緒に行くよ。」
「えっ、優磨が?」
「ああ。
だって、結婚の挨拶って奥さんの実家に行ってするもんだろ?」
優磨は、そう言って笑った。
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