ニューハーフ極道ZERO

フロイライン

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road to lord

debate

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初詣から帰ってきた未来と涼太は、再び皆が座っている輪に加わった。

しかし、相変わらず父の孝通は未来と話そうとしなかったし、未来もまたその空気の中で会話に参加する事なく、親戚からの質問に口数少なく答えるだけだった。

夕方になり、皆が帰っていったが、涼太だけは帰らずにその場に残った。


「涼太、まだ帰らないんか?」


孝通が依然として座って寛ぐ涼太に言うと


「ああ。
兄貴と義姉さんに少し話がしたくてね。」

と、ハッキリとした口調で言った。


「話?」


「ああ。
未来ちゃんの話だよ。
義姉さんもここに来て話を聞いてくれるかい。」


涼太は台所にいる麻美に声をかけた。


麻美もさすがに無視できず、孝通の隣に座った。

その場には、この三名の他に未来と一美がいたが、一美は麻美が座るのと同時に立ち上がり、自分の部屋に消えていった。

涼太は、自分のためを思って話をしてくれるようだ。

しかし、未来にとっては、この場は針の筵、地獄に変わりなく、とても辛い時間となった。


「兄貴
ここではっきり聞いときたいんだけど、なんで未来ちゃんの事を認めてやんねーんだ?」


「認めるも何も、四年間真面目に大学に行くって言って、大阪に送り出してみればこんな姿で帰ってきた。

これが怒らずにいられるか?」


「いや、別に容姿がどうなろうと、真面目に大学に通ってんじゃん」


「そういう問題じゃない。」


「だったら何が問題か教えてくれよ。
俺はさっき未来ちゃんと話して、今の生き方に何も問題がないっていうか、誰かに文句言われるような筋合いはないって思うんだけど、その辺はどう考えてる?

義姉さん、どうなんだろう?」


「えっ、それは…」


「GIDって知ってる?

俺の会社もさ、未来ちゃんみたいに悩んで生きてきて、ようやくカミングアウトした人がいるんだよ。
勿論、会社も認めてるよ。
だってそういう時代だから。

兄貴はそういう世の中になってるって事を認識してる?
他人事だって思ってんじゃないか。」

涼太の意見はどこまでも正論で、孝通と麻美にとってはどれも耳の痛い話であった。

「じゃあ、兄貴、義姉さん
これだけは聞かせてくれよ。

未来の事をおかしいって思ってるのかどうかを」



「いや、そんな事は思ってない…」


「だったら、認めてやるのが筋なんじゃないか。
ただ、自分の子供がそんなカミングアウトをするとは思ってなかったもんだから、パニクッてしまったって事だよな?」


「まあ、そうだ…」


「よかったな、未来ちゃん
兄貴も義姉さんもちゃんと認めてくれるって。」

かなり強引に答えを出させた涼太に、未来は感謝しながらも、場の空気の重さからリアクションが取れず、何も言えなかった。


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