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road to lord
new year's eve chaos
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十二月三十一日の夜九時過ぎ、未来はついに実家に帰ってきた。
未来が予想していた通り、いや、予想を遥かに超える大パニックとなった。
収拾がつかないほどに…
時間は既に新年を迎え、皆がお祝いムードにいる中、筒井家だけは重苦しく殺伐とした空気の中にあった。
父の孝通は、未来が幼いとき、女の子っぽい事を極端に嫌い、無理矢理スポーツなどをさせて矯正しようとした。
そのような人間だけあって、女となって帰ってきた息子の姿を見て、怒りが収まらなかった。
母の麻美は、そこまでではなかったが、未来の肩を持つと孝通が荒れ狂うので、必然的に夫に同調した。
「未来!
あなた一体何を考えてんのよ!」
口を開くと自分を抑えられなくなるため、敢えて言葉を発しない孝通に代わり、麻美が未来を叱責した。
「黙ってたことは悪かったと思ってる。
でも、ワタシ…
男として生きてくのはムリなの。」
「ワタシって…
ちょっと待ちなさいよ。
こっちはあなたが真面目に大学に通ってると思って仕送りだってしてるのに、まさかそんなバカな事してるなんて思いもしなかったわ。」
「大学は真面目に通ってるわ。
ただ、女子としてだけど。」
孝通はまだ喋ろうとしなかったが、ある一点を凝視していた。
それは未来の胸であった。
タイトなセーター姿の未来には、大きな胸の膨らみが見えた。
孝通はそれが、何なのかよくわからなかった。
胸にパッドが何かを入れているのか?
それとも未来自身の乳房なのか…
未来の全身を見ると、自分の知る息子の姿から明らかにかけ離れている。
女性物の服を着て化粧をしているからそうなのか…
いや、雰囲気からして変わっている。
体のラインも含めて…
孝通はそのような事を考えながら、麻美と未来のやり取りをじっと聞いていたが、ここでようやく口を開いた。
「未来」
「はい」
「お前のその胸は何だ?
何で膨らんでいる?」
ついに指摘が入ったかと、一瞬焦った表情を見せた未来だったが、迷う事なく答えてみせた。
「これは一年以上女性ホルモンの注射を受けてるからよ。
胸も膨らんでるし、体つきも変わったわ。」
「なんだと…」
「それと、既に睾丸摘出手術を受けてるから、もう元には戻れないわ。
ワタシはこれからの人生をニューハーフ…いえ、女として生きていくつもり。」
「…」
「今日、こっちに帰ってきたのは、女として生きる事への許しを請うためじゃない。
ただ、報告したかっただけ。」
未来は澱みなく、淡々と語った。
未来が予想していた通り、いや、予想を遥かに超える大パニックとなった。
収拾がつかないほどに…
時間は既に新年を迎え、皆がお祝いムードにいる中、筒井家だけは重苦しく殺伐とした空気の中にあった。
父の孝通は、未来が幼いとき、女の子っぽい事を極端に嫌い、無理矢理スポーツなどをさせて矯正しようとした。
そのような人間だけあって、女となって帰ってきた息子の姿を見て、怒りが収まらなかった。
母の麻美は、そこまでではなかったが、未来の肩を持つと孝通が荒れ狂うので、必然的に夫に同調した。
「未来!
あなた一体何を考えてんのよ!」
口を開くと自分を抑えられなくなるため、敢えて言葉を発しない孝通に代わり、麻美が未来を叱責した。
「黙ってたことは悪かったと思ってる。
でも、ワタシ…
男として生きてくのはムリなの。」
「ワタシって…
ちょっと待ちなさいよ。
こっちはあなたが真面目に大学に通ってると思って仕送りだってしてるのに、まさかそんなバカな事してるなんて思いもしなかったわ。」
「大学は真面目に通ってるわ。
ただ、女子としてだけど。」
孝通はまだ喋ろうとしなかったが、ある一点を凝視していた。
それは未来の胸であった。
タイトなセーター姿の未来には、大きな胸の膨らみが見えた。
孝通はそれが、何なのかよくわからなかった。
胸にパッドが何かを入れているのか?
それとも未来自身の乳房なのか…
未来の全身を見ると、自分の知る息子の姿から明らかにかけ離れている。
女性物の服を着て化粧をしているからそうなのか…
いや、雰囲気からして変わっている。
体のラインも含めて…
孝通はそのような事を考えながら、麻美と未来のやり取りをじっと聞いていたが、ここでようやく口を開いた。
「未来」
「はい」
「お前のその胸は何だ?
何で膨らんでいる?」
ついに指摘が入ったかと、一瞬焦った表情を見せた未来だったが、迷う事なく答えてみせた。
「これは一年以上女性ホルモンの注射を受けてるからよ。
胸も膨らんでるし、体つきも変わったわ。」
「なんだと…」
「それと、既に睾丸摘出手術を受けてるから、もう元には戻れないわ。
ワタシはこれからの人生をニューハーフ…いえ、女として生きていくつもり。」
「…」
「今日、こっちに帰ってきたのは、女として生きる事への許しを請うためじゃない。
ただ、報告したかっただけ。」
未来は澱みなく、淡々と語った。
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