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筒井未来〜女子力向上計画編〜

去勢手術

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ついに去勢手術の日を迎えた。、

未来は二十一年間共に過ごしたタマと別れを告げる日を迎え、少し感傷的になっていた。

女性ホルモンの注射を始めてから一年

既に後戻りできないところまできている。
一般に言われているのは、女性ホルモンを始めて半年が経過すると、もう完全には元に戻らないということ。

未来は胸の膨らみと女性らしい丸みを帯びた柔らかな肉体を得た代わりに、永久不妊という代償を支払った。
それ以外にも女性ホルモン剤というものは様々な副作用があり、リスクもかなり生じる。

未来自身、永久不妊になったことは大して残念な事と思っておらず、その他の副作用についても、女性に近づけるなら気にならないし、余裕で耐えられるレベルのものであった。

そして、今日タマを取る。

これこそ究極の不可逆の行為である。

タマが無いと体に色々な弊害が生じる。
男性ホルモンの元を断つ行為なので、定期的に打つ女性ホルモンの注射の回数を減らせるという利点があるが、それ以外については多々問題がある。

だが、どれも未来の決意を鈍らせる役目は果たしていない。

夢に向かってただ進み続ける
その一心だった。

未来は鏡に映った自分を見つめ

「よしっ!」

と、気合を入れて家を飛び出した。

地下鉄を乗り継ぎ、梅田に着くと、同行する事を約束してくれたユウと合流。

ユウが日頃から通う「氷室クリニック」に到着した。

「未来ちゃん、ホントに大丈夫?

やめるなら今だよ」

病院の入口の前で、ユウは未来の手を握りながらそう言った。

「大丈夫です。

うん、大丈夫」

未来はかなり緊張していたが、やめるという選択肢はなかった。

未来は受付で予約している事を告げ、体温測定、問診票と誓約書に記入した。

全て書き終えた未来はバインダーを受付に渡し、待合室のソファーにユウと腰掛けて名前が呼ばれるのを待っていた。

「あー、緊張するっ」

未来は泣きそうな顔をしてユウの手を握った。

「大丈夫よ。
ここで待っていてあげるからね。」

ユウはその手を握り返して言った。


「筒井さん、どうぞ中へお入り下さい」


徐に名前が呼ばれ、ビクッとした未来だったが


「ユウさん
行ってきます…」

と言って、立ち上がった。


「頑張ってね」

ユウは未来を見上げて頷いた。

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