ニューハーフ極道ZERO

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大阪第二次抗争編

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「姐さん、キムさんがお見えです。」


「通してちょうだい」

多村は化粧直しをしながら、若い衆に言った。


しばらくするとキムが中に入ってきた。


「ご機嫌麗しゅう」


「何よ、その挨拶

アンタようやく動いたのね。」


「まあ、前菜にしては少し弱いが、そこは勘弁して下さい。」


「この時勢に、殺しをするんだから、やっぱりアンタはイケイケね。

警察からマークされてないの?」


「ええ。まだヤッた奴も捕まってませんし、金を渡して国外に逃す手筈も済みました。」


「さすがね。

次はどこを狙うつもり?」


「フッ
まあ、一気にメインディッシュと行きてえとこなんですが、メインが多すぎて迷ってましてね。

洋子さんのご意見を聞こうと、足を運んだ次第ですわ。」


キムが言うと、多村はニヤリと笑った。

「そうね。
決まってるじゃないの、次は…

ここよ」

多村はそう言うと、自らの乳房を両手で抱え上げてみせた。


「なるほど。よくわかりました。

ウチも最近はいろんなコースを用意してましてね。
従来の殺しのコースに加えて、生きたまま引き渡すっていう環境に優しいものも用意してるんすよ。

少々値は張りますがね。」


「何よソレ
アンタつまんない事言うんじゃないわよ。

あの時アンタが失敗さえしてなければ、多村組は今も健在だったし、ワタシも女になる事なんてなかったんだからね。」


「それはスマン事です

でも、あのとき既に多村組は解散してたじゃないですか。

まあ、そんな事はどうでもいいか。
今度は失敗しませんから。」


「頼んだわよ。

そして、今の話が本当なら、生きたままワタシの元に連れてくるってコースにするわ。

金に糸目はつけない。

アイツらには撃たれたり刺されたりでアッサリ死んでいくことなんて許さないわ。

とことん苦しんだ上で死んでもらう。」


「わかりました。
ご期待に添いましょう。

すぐに結果を出しますから、しばしのお待ちを」

キムは高らかに笑うと、頭を下げて部屋を出ていった。


キムが事務所を出ていくと、末端の議員達は小さな声で話し始めた。

「あのキムって男、なんか怖いと思えへんか」

「ああ。いくらヤクザでも人の命を軽く見過ぎや。」

「姐さんと性格が似てるよな。」


「オヤジもなんであんな人と一緒になったんやろ。」


「そりゃお前、オヤジは超ブス専やからな。」


「おい、聞こえてまうぞ…
もっと声を落とせよ。」


「すんません

でも、段々きな臭くなってきてるし、俺ら末端の構成員が真っ先に犠牲になるかと思うと、やるせなくてなあ。」

大友組の内部もまた一枚岩ではなかった。
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