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大阪第二次抗争編
周知
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亮輔は午前中のうちに多喜と薫の家にやってきた。
薫もモデル並みのスタイルと美しさを誇っていたが、亮輔は性転換して完全なる女性になっているだけあって、色気と女性特有の芳香はそれ以上であった。
「ごめんなさいね、お休みの日にお邪魔して。」
「いや、それは全然かまわないんだけど、オヤジ…多村が動き出したって?」
多喜が心配そうに質問する中、薫もお茶を亮輔に差し出すと、多喜の隣に座って亮輔の言葉を待った。
「この前、神頭会の構成員がミナミで殺された事件があったでしょ?」
「ああ。ニュースで見たよ。
でも、あれって直接の関係性はなかったんじゃ…」
「そんな事ないわ。
犯人はキムの手の者なんだから。」
「キムっ!
まさか…」
「垂水組の傘下の神頭会をわざわざ狙ったのも多村による宣戦布告のようなもの。
今後、奴らの狙いは沢木、大西、ワタシ、綾香
そして、多喜…
この辺りの人間は皆危険に晒されると言っても過言ではないわ。」
「たしかに…
でも、多村は亮輔と同じように性転換して女になってるんだろ?
それでもまだ…」
「多村は残忍で執念深く、そしてビジネスマンでもあるわ。
この全てを手に入れるべく、またキム達を使って動き出した。
沢木を邪魔に思っている大友組の力を利用しつつ…」
「わかった。
で、俺と薫は今はただのラーメン屋だ。
今後どうすればいい?」
「うん。
多村次第だけど、多喜がヤクザであろうとそうでなかろうと的にかけられている可能性は高いわ。
これからお店にも大西組の人間を巡回させるから心配しないで。」
「いや、わざわざそんな事をしてもらうのも…」
「いえ、大西もワタシも、あなたと薫さんには感謝してもしきれない思いでいます。
あなた達がいなければ、今頃ワタシも大西もここにはいなかったでしょう。
だから、あなた達を守る事は、ワタシにとってもせめてもの償い…贖罪なんです。」
「そうか…
俺としても、もう薫をあのような目に遭わせたくないし、亮輔
そこはお前の厚意をありがたく受け取らせてもらうよ。」
「うん。
そう言ってもらえるとこちらの気持ちも幾分楽になるわ。
それじゃあ、くれぐれも注意してね。」
亮輔はそう言うと、お茶を一口飲んで立ち去っていった。
多喜と薫は、亮輔がいなくなった後も座ったまま何も言葉を発せずにいたが、薫が頷き、多喜の手を握った。
「大丈夫、真ちゃん
二人の幸せは誰にも渡さないわ」
薫の力強い言葉に、多喜もハッとして、そして頷いた。
「そうだな。
これからしばらくの間は外に出る時は二人一緒に行動しよう。」
「うん。
わかったわ」
二人は不安ではあったが、敢えてそういう素振りを一切見せなかった。
薫もモデル並みのスタイルと美しさを誇っていたが、亮輔は性転換して完全なる女性になっているだけあって、色気と女性特有の芳香はそれ以上であった。
「ごめんなさいね、お休みの日にお邪魔して。」
「いや、それは全然かまわないんだけど、オヤジ…多村が動き出したって?」
多喜が心配そうに質問する中、薫もお茶を亮輔に差し出すと、多喜の隣に座って亮輔の言葉を待った。
「この前、神頭会の構成員がミナミで殺された事件があったでしょ?」
「ああ。ニュースで見たよ。
でも、あれって直接の関係性はなかったんじゃ…」
「そんな事ないわ。
犯人はキムの手の者なんだから。」
「キムっ!
まさか…」
「垂水組の傘下の神頭会をわざわざ狙ったのも多村による宣戦布告のようなもの。
今後、奴らの狙いは沢木、大西、ワタシ、綾香
そして、多喜…
この辺りの人間は皆危険に晒されると言っても過言ではないわ。」
「たしかに…
でも、多村は亮輔と同じように性転換して女になってるんだろ?
それでもまだ…」
「多村は残忍で執念深く、そしてビジネスマンでもあるわ。
この全てを手に入れるべく、またキム達を使って動き出した。
沢木を邪魔に思っている大友組の力を利用しつつ…」
「わかった。
で、俺と薫は今はただのラーメン屋だ。
今後どうすればいい?」
「うん。
多村次第だけど、多喜がヤクザであろうとそうでなかろうと的にかけられている可能性は高いわ。
これからお店にも大西組の人間を巡回させるから心配しないで。」
「いや、わざわざそんな事をしてもらうのも…」
「いえ、大西もワタシも、あなたと薫さんには感謝してもしきれない思いでいます。
あなた達がいなければ、今頃ワタシも大西もここにはいなかったでしょう。
だから、あなた達を守る事は、ワタシにとってもせめてもの償い…贖罪なんです。」
「そうか…
俺としても、もう薫をあのような目に遭わせたくないし、亮輔
そこはお前の厚意をありがたく受け取らせてもらうよ。」
「うん。
そう言ってもらえるとこちらの気持ちも幾分楽になるわ。
それじゃあ、くれぐれも注意してね。」
亮輔はそう言うと、お茶を一口飲んで立ち去っていった。
多喜と薫は、亮輔がいなくなった後も座ったまま何も言葉を発せずにいたが、薫が頷き、多喜の手を握った。
「大丈夫、真ちゃん
二人の幸せは誰にも渡さないわ」
薫の力強い言葉に、多喜もハッとして、そして頷いた。
「そうだな。
これからしばらくの間は外に出る時は二人一緒に行動しよう。」
「うん。
わかったわ」
二人は不安ではあったが、敢えてそういう素振りを一切見せなかった。
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