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再起編
Relationship
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「兄貴、すみません
ウチ食券買っていただくシステムなんです。」
多喜は申し訳なさげに券売機を手で指し示して言った。
「ああ、そうか
沙織頼むわ。」
大西は亮輔に財布を渡して託けた。
「うん。
薫さん、オススメはどれ?」
亮輔は近くにいた薫に問いかけると、薫は慌てて券売機のところに来て
「そうですね。
貝出汁ラーメンのレアチャーシュー乗せがオススメです。」
「そう。
じゃあ、それにしよっか。
あなた、それでいい?」
と、亮輔が席に座る大西に言うと、大西は手を挙げて頷いた。
亮輔が買った食券を二枚薫に差し出すと、それを受け取り、伝票に書き写してカウンターに置いた。
多喜は麺をお湯に潜らせてタイマーをセット、その間にスープの準備を始めた。
手際よく動くその姿は、今日オープンしたばかりには見えず、大西と亮輔は顔を見合わせて、思わず笑みを浮かべた。
タイマーが鳴り、多喜は麺のお湯切りをすると、熱いスープの中にそーっと麺を入れた。
そして、トッピングを済ませ、丼の縁を拭き
「はい、貝出汁ラーメンレアチャーシューのせです」
と、言って二人の前に差し出した。
黄金色に輝く透き通ったスープにストレートの細麺のそのラーメンは、大西と亮輔を食べる前から満足させた。
「これは美味そうだ。
いただきます」
大西は、レンゲでスープを一口飲むと、静かに頷き、麺を豪快に啜った。
大西は顔を上げて、多喜と目を合わすと、何も言わずに親指を立てた。
亮輔もその様子を横で見つめていたが、続いてスープを口にした。
「あ、美味しい」
亮輔も多喜を見つめて頷いた。
薫は二人の食べるシーンを緊張した面持ちで見ていたが、美味しいという一言で、ようやくホッとした表情を浮かべ、多喜の方を見て微笑んだ。
大西と亮輔は満足そうにラーメンを食べ進めていたが、食べ終わろうかとしたそのとき、次の客が店に入ってきた。
「いらっしゃいませ!」
薫が声をかけると、二十代くらいの男性のその客は、店内をキョロキョロ見つめながら
「いつ出来たんですか?
このお店」
と、薫に質問した。
「ありがとうございます。
今日オープンさせていただきました。」
と、笑顔で答えると
「オススメは何ですか?」
と、亮輔と同じように質問をした。
「貝出汁ラーメンレアチャーシュー乗せがオススメです。」
薫は、大西らが食べているラーメンを勧めたのだった。
「じゃあ、それにしよ」
客は財布から千円札二枚を出して機械に通し、薫に勧められた通りのラーメンを選んだ。
「ご馳走さん
美味しかったよ」
次のラーメンを作るのに一生懸命な多喜に向かい、大西は声をかけて亮輔と共に立ち上がった。
「すいません、わざわざこんなところまで足を運んでいただいて。
ありがとうございました!」
多喜は、手を休めずに動かしたまま、大西と亮輔に向かって頭を下げた。
「おう、また来るわ」
大西はそう言うと、薫の肩を軽くポンと叩き、店を出ていった。
亮輔も薫に微笑みかけて労いの言葉をかけ、慌てて出ていったのだった。
ウチ食券買っていただくシステムなんです。」
多喜は申し訳なさげに券売機を手で指し示して言った。
「ああ、そうか
沙織頼むわ。」
大西は亮輔に財布を渡して託けた。
「うん。
薫さん、オススメはどれ?」
亮輔は近くにいた薫に問いかけると、薫は慌てて券売機のところに来て
「そうですね。
貝出汁ラーメンのレアチャーシュー乗せがオススメです。」
「そう。
じゃあ、それにしよっか。
あなた、それでいい?」
と、亮輔が席に座る大西に言うと、大西は手を挙げて頷いた。
亮輔が買った食券を二枚薫に差し出すと、それを受け取り、伝票に書き写してカウンターに置いた。
多喜は麺をお湯に潜らせてタイマーをセット、その間にスープの準備を始めた。
手際よく動くその姿は、今日オープンしたばかりには見えず、大西と亮輔は顔を見合わせて、思わず笑みを浮かべた。
タイマーが鳴り、多喜は麺のお湯切りをすると、熱いスープの中にそーっと麺を入れた。
そして、トッピングを済ませ、丼の縁を拭き
「はい、貝出汁ラーメンレアチャーシューのせです」
と、言って二人の前に差し出した。
黄金色に輝く透き通ったスープにストレートの細麺のそのラーメンは、大西と亮輔を食べる前から満足させた。
「これは美味そうだ。
いただきます」
大西は、レンゲでスープを一口飲むと、静かに頷き、麺を豪快に啜った。
大西は顔を上げて、多喜と目を合わすと、何も言わずに親指を立てた。
亮輔もその様子を横で見つめていたが、続いてスープを口にした。
「あ、美味しい」
亮輔も多喜を見つめて頷いた。
薫は二人の食べるシーンを緊張した面持ちで見ていたが、美味しいという一言で、ようやくホッとした表情を浮かべ、多喜の方を見て微笑んだ。
大西と亮輔は満足そうにラーメンを食べ進めていたが、食べ終わろうかとしたそのとき、次の客が店に入ってきた。
「いらっしゃいませ!」
薫が声をかけると、二十代くらいの男性のその客は、店内をキョロキョロ見つめながら
「いつ出来たんですか?
このお店」
と、薫に質問した。
「ありがとうございます。
今日オープンさせていただきました。」
と、笑顔で答えると
「オススメは何ですか?」
と、亮輔と同じように質問をした。
「貝出汁ラーメンレアチャーシュー乗せがオススメです。」
薫は、大西らが食べているラーメンを勧めたのだった。
「じゃあ、それにしよ」
客は財布から千円札二枚を出して機械に通し、薫に勧められた通りのラーメンを選んだ。
「ご馳走さん
美味しかったよ」
次のラーメンを作るのに一生懸命な多喜に向かい、大西は声をかけて亮輔と共に立ち上がった。
「すいません、わざわざこんなところまで足を運んでいただいて。
ありがとうございました!」
多喜は、手を休めずに動かしたまま、大西と亮輔に向かって頭を下げた。
「おう、また来るわ」
大西はそう言うと、薫の肩を軽くポンと叩き、店を出ていった。
亮輔も薫に微笑みかけて労いの言葉をかけ、慌てて出ていったのだった。
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