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再起編
三ヶ月前
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自分達の店のオープンに向け、忙しく準備をする多喜夫妻を、亮輔は食事に誘った。
大恩のある亮輔の誘いは断れないと、多喜と薫は二つ返事でOKした。
「ごめんね。
忙しいのに呼び出しちゃって。」
「いや、オープンまで三ヶ月あるし、あんまり棍詰めてやりすぎると潰れちゃうから、誘ってくれて逆に有難いよ、亮輔」
和食レストランに薫を伴ってやってきた多喜は、亮輔の心遣いに感謝した。
だが、亮輔が二人を呼び出した理由はそんな事ではなかった。
「薫さん、だいぶ顔色も良くなったわね。
ちょっとふっくらもしてきたし」
「ええ。おかげさまで…
まだ体は本調子とは言えないんですけど、以前に比べたら全然…
もう何年も経ちましたし…
それに、真ちゃんが側にいてくれるから、何も怖くないっていうか、不安も全然ないし」
「そうだね。
薫さん
体調がかなり回復してきた今だから話すんだけど…」
「はい。」
「薫さん
ワタシみたいに性転換して、本当の女性になってみない?」
「えっ…女性に?」
「そう。
ワタシが使った性転換薬ね、まだまだ解明されていない部分が多くて、一般に流通するのはかなり先になるらしいの。
倫理的な問題とか、その他問題があるみたいで。
でも、ワタシも性転換して三年が経過したけど、何も問題はないわ。
だから、もし薫さんがその気があるなら、薬を用意するわよ。」
「…」
薫は亮輔の言葉に驚きというより戸惑いの色を見せた。
たしかに自分は女性になりたいと、ずっと心に思い描きながら生きてきた。
なんで女として生まれてこなかったのだろうと、苦しい思いをしたのは一度や二度ではない。
愛する多喜のペニスを、女性の体で受け入れられないのが心苦しく、そして悲しかった。
夢としてしか考えていなかったものが、亮輔の提案によって、現実になろうとしている。
だが、何故か薫は即答できなかった。
即答できない理由は自分でもわからなかった。
だから…
「真ちゃん、沙織さんの話どう思う?」
と、多喜に振った。
薫に質問された多喜は、一瞬ドキッとした表情を浮かべたが、ゆっくりと話を始めた。
「亮輔、薫のために色々動いてくれてありがとう。
薫が俺に意見を求めてきたから、僭越だけど俺の思いを言わせてもらうよ。」
「うん」
亮輔と薫が同時に頷いた。
「薫は小さな時から女性になりたかった事も、それですごく悩んだ事も聞いてて、知っているつもりだ。
薬で完全な女性になれるのなら、それはそれで素晴らしい事だと思う。
でも、俺は薫が女の体を手に入れようが今のままでいようが、気持ち的には変わらない。
生物学的に女がそうでないかなんて、俺には大して重要な事じゃないんだ。
今だって、薫は女だし、そんな薫の事が俺は愛おしくて仕方ない。
だから、薫が決めた事を俺は尊重するし、薫自身が後悔しない決断をしてくれたらって思う。」
多喜は、はっきりと言い切った。
大恩のある亮輔の誘いは断れないと、多喜と薫は二つ返事でOKした。
「ごめんね。
忙しいのに呼び出しちゃって。」
「いや、オープンまで三ヶ月あるし、あんまり棍詰めてやりすぎると潰れちゃうから、誘ってくれて逆に有難いよ、亮輔」
和食レストランに薫を伴ってやってきた多喜は、亮輔の心遣いに感謝した。
だが、亮輔が二人を呼び出した理由はそんな事ではなかった。
「薫さん、だいぶ顔色も良くなったわね。
ちょっとふっくらもしてきたし」
「ええ。おかげさまで…
まだ体は本調子とは言えないんですけど、以前に比べたら全然…
もう何年も経ちましたし…
それに、真ちゃんが側にいてくれるから、何も怖くないっていうか、不安も全然ないし」
「そうだね。
薫さん
体調がかなり回復してきた今だから話すんだけど…」
「はい。」
「薫さん
ワタシみたいに性転換して、本当の女性になってみない?」
「えっ…女性に?」
「そう。
ワタシが使った性転換薬ね、まだまだ解明されていない部分が多くて、一般に流通するのはかなり先になるらしいの。
倫理的な問題とか、その他問題があるみたいで。
でも、ワタシも性転換して三年が経過したけど、何も問題はないわ。
だから、もし薫さんがその気があるなら、薬を用意するわよ。」
「…」
薫は亮輔の言葉に驚きというより戸惑いの色を見せた。
たしかに自分は女性になりたいと、ずっと心に思い描きながら生きてきた。
なんで女として生まれてこなかったのだろうと、苦しい思いをしたのは一度や二度ではない。
愛する多喜のペニスを、女性の体で受け入れられないのが心苦しく、そして悲しかった。
夢としてしか考えていなかったものが、亮輔の提案によって、現実になろうとしている。
だが、何故か薫は即答できなかった。
即答できない理由は自分でもわからなかった。
だから…
「真ちゃん、沙織さんの話どう思う?」
と、多喜に振った。
薫に質問された多喜は、一瞬ドキッとした表情を浮かべたが、ゆっくりと話を始めた。
「亮輔、薫のために色々動いてくれてありがとう。
薫が俺に意見を求めてきたから、僭越だけど俺の思いを言わせてもらうよ。」
「うん」
亮輔と薫が同時に頷いた。
「薫は小さな時から女性になりたかった事も、それですごく悩んだ事も聞いてて、知っているつもりだ。
薬で完全な女性になれるのなら、それはそれで素晴らしい事だと思う。
でも、俺は薫が女の体を手に入れようが今のままでいようが、気持ち的には変わらない。
生物学的に女がそうでないかなんて、俺には大して重要な事じゃないんだ。
今だって、薫は女だし、そんな薫の事が俺は愛おしくて仕方ない。
だから、薫が決めた事を俺は尊重するし、薫自身が後悔しない決断をしてくれたらって思う。」
多喜は、はっきりと言い切った。
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