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代理戦争編

衝突

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「今日こそ庄山を殺して、沢木の最期の日にしてやるぜ。」

潜伏先のマンションの一室で、多村はキムからの吉報を待っていた。

いつも多村の身を守るため、側から離れず護衛を続ける二名の屈強なボディガードと共に身を隠してから既に三日が経過していた。

「さすがにこんなとこに何日も閉じこもってると頭がおかしくなりそうだぜ。」


「社長、昼のお食事はどうされますか」

ボディーガードの一人が多村に確認すると

「あー、ウーバーか

寿司にするか。
お前らの分と合わせて注文しろや」

と、言った。

ボディーガードは一礼して多村の携帯を受け取ると、注文を入れた。




多村は食事が配達されるまでの間、三宅組や立正会の連中と電話で打ち合わせをしていたが、しきりに会話に出てきたのが、沢木の出所記念パーティーの事と、取り逃してしまった亮輔の動向についてのものだった。


「沢木を潰せば、少なくともこのミナミはこちらの手中に収まります

そりゃ東京の方がシノギの規模は比べ物にならねーくらいにデカいですが、その分競合も多い。

それに外国人マフィアの存在も無視できねえ。

その点、大阪はライバルも外国マフィアも数が少ねえから、その分儲けも出るってわけです。」



立正会の若頭、山際二郎との電話では、多村は相変わらずの熱い口調で語った。

「あとは垂水組がどれくらい関与してくるかでんな」


「垂水は動けませんよ。

現代ヤクザは抗争なんて出来ないと言われますが、実際はやったもん勝ちみたいなところが多分にあります。

山際さん、まあ見てて下さい。

ウチがミナミを手に入れたら、日本のヤクザの勢力図も変わります。

垂水組に代わって、立正会が日本最大の組織になる日も近い。」


「多村はん

直接的な支援は出来まへんけど、後方支援はしっかりさせてもらいますわ。

戦果を期待してます。」


「ええ、楽しみにしていて下さい。」

多村は自信満々に言うと、電話を切った。


多村は携帯をテーブルに置き、ソファーにどかっと深めに腰掛けた。
すると、ボディガードの一人が多村の側に来た。

その体制は、注文していた料理が到着した事を意味した。

一人が多村の側でがっちりガードし、もう一人が玄関のドアを開けて品物を受け取る。

不測の事態を考えての事だったが、念には念をというところから多村も一応、その時だけは臨戦体勢になっていた。

まあ、置き配にすれば済む事なのだが、それをしないところが多村のヤクザとしての矜持…

いや、別のところに意図があった。
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