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代理戦争編
急襲
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沢木の庄山、多村共に何処かに身を隠した為、ここ何日も膠着状態が続いた。
亮輔もまた、多村の潜伏先がわかりつつも手が出せず、じりじりとしながら時間だけが過ぎていった。
厳重にガードされた多村に、単身で向かっていっても勝ち目がない。
ここにきて大西がいないという事実が重くのしかかってきた。
多村は潜伏先のマンションの一室で、キムこと金泰一と対面していた。
「おう、キム
お前からの良い知らせがいつ来るのかと、ずっと心待ちにしてんだが、一体どうなってる?」
「刑務所前で仕留め損なった事は誤算です。
奴らも一筋縄にはいきませんな。」
キムは強面の顔を崩して笑い、咥えていたタバコを灰皿で消した。
「なあ、キム
次がラストチャンスだぞ
わかってるな?」
「ええ、わかってますよ。
庄山の出所記念パーティーでしょ?
そこが狙い目だって事は十分にわかってますよ。」
「しかしな、奴らだってバカじゃねえ。
これは俺たちを誘き寄せる撒き餌なんじゃねえかって思わない事もない。」
「まあ、その可能性は大いにあるでしょうな。
だが、沢木組が逆に俺たちを返り討ちにしようと画策しているとしても、ちゃんと庄山や組の連中を出席させねえと撒き餌にもならない。
敢えて罠に嵌ってやりますよ。
庄山以下二、三人のタマをここで必ず取ります。」
「そうだな。
あと、警察の動きにも十分に注意してくれ。
垂水が後ろで糸引いてるかもしれねえから。」
「警察なんて何も怖くないですよ。
その為の外人部隊ですよ」
「ああ、そうだったな。
成功した暁には、さらに五千積んでやるから、確実にやれよ。
とりあえず今日はこれで飯でも食え」
多村は帯封の付いた百万円を机に置いた。
「いつもすんません」
キムはその札束を一礼して受け取ると、懐にしまい入れた。
「ところでオヤジさんは、これからどうするんです?」
「裏切り者は一人捕まえたが、一人は逃しちまった。
本音を言えば亮輔も確保しておきたかった。
だが、これ以上俺が目立っちまうと沢木の的になりますって言ってるようなもんだ。
キム、お前から吉報が来るまではここで身を隠してるさ。」
「それなら、いっそ東京に戻ればいいんじゃないっすか」
「垂水組は全国に縄張りを持つ広域暴力団だぜ。
東京にいる方がヤベェよ。
垂水組は、俺がお前を使っているように、新宿の中国マフィアを使うに決まってる。
そしたら勝ち目はねえ。
まだ立正会や三宅組に保護される形でこの大阪にいた方が安全てもんだぜ」
多村はそう言うと、キムを見つめながらニヤリと笑った。
亮輔もまた、多村の潜伏先がわかりつつも手が出せず、じりじりとしながら時間だけが過ぎていった。
厳重にガードされた多村に、単身で向かっていっても勝ち目がない。
ここにきて大西がいないという事実が重くのしかかってきた。
多村は潜伏先のマンションの一室で、キムこと金泰一と対面していた。
「おう、キム
お前からの良い知らせがいつ来るのかと、ずっと心待ちにしてんだが、一体どうなってる?」
「刑務所前で仕留め損なった事は誤算です。
奴らも一筋縄にはいきませんな。」
キムは強面の顔を崩して笑い、咥えていたタバコを灰皿で消した。
「なあ、キム
次がラストチャンスだぞ
わかってるな?」
「ええ、わかってますよ。
庄山の出所記念パーティーでしょ?
そこが狙い目だって事は十分にわかってますよ。」
「しかしな、奴らだってバカじゃねえ。
これは俺たちを誘き寄せる撒き餌なんじゃねえかって思わない事もない。」
「まあ、その可能性は大いにあるでしょうな。
だが、沢木組が逆に俺たちを返り討ちにしようと画策しているとしても、ちゃんと庄山や組の連中を出席させねえと撒き餌にもならない。
敢えて罠に嵌ってやりますよ。
庄山以下二、三人のタマをここで必ず取ります。」
「そうだな。
あと、警察の動きにも十分に注意してくれ。
垂水が後ろで糸引いてるかもしれねえから。」
「警察なんて何も怖くないですよ。
その為の外人部隊ですよ」
「ああ、そうだったな。
成功した暁には、さらに五千積んでやるから、確実にやれよ。
とりあえず今日はこれで飯でも食え」
多村は帯封の付いた百万円を机に置いた。
「いつもすんません」
キムはその札束を一礼して受け取ると、懐にしまい入れた。
「ところでオヤジさんは、これからどうするんです?」
「裏切り者は一人捕まえたが、一人は逃しちまった。
本音を言えば亮輔も確保しておきたかった。
だが、これ以上俺が目立っちまうと沢木の的になりますって言ってるようなもんだ。
キム、お前から吉報が来るまではここで身を隠してるさ。」
「それなら、いっそ東京に戻ればいいんじゃないっすか」
「垂水組は全国に縄張りを持つ広域暴力団だぜ。
東京にいる方がヤベェよ。
垂水組は、俺がお前を使っているように、新宿の中国マフィアを使うに決まってる。
そしたら勝ち目はねえ。
まだ立正会や三宅組に保護される形でこの大阪にいた方が安全てもんだぜ」
多村はそう言うと、キムを見つめながらニヤリと笑った。
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