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代理戦争編
転進
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大阪に着いた亮輔は、暫しどう動こうかと思案していたが、多喜は電話も繋がらないので、結局は大西に連絡する事にした。
大西が失敗、またはこちらを裏切って多村陣営にいたら、自分の行動はまさに藪蛇…
しかし、何の手もない亮輔は一縷の望みに賭けるしかなかった。
電話をかけるとすぐに大西が出た。
「兄貴、亮輔です!」
「…」
再性転換し、声のトーン、話し口調が変わってしまっている亮輔に、最初は疑い深く様子を窺っていた大西だったが、亮輔の携帯の番号からの着信であった事と、敢えて自分と大西しか知らないような話を亮輔が挟み込んだ事により、ようやく信じた様子だった。
「亮輔、今どこにいる?」
「はい
新大阪の駅です」
「そうか
詳しい事は会って話そう。
今から神戸に来れるか?」
「神戸ですか?」
「ああ。一気に情勢が変わっちまったんだ。
亮輔、もう一回新幹線に乗って新神戸で降りろ
そこで合流しよう。」
大西はそう言うと電話を切った。
今の亮輔には、大西を信じるしか道はない
亮輔は言われた通り切符を買い、再び新幹線に乗った。
10分ほどで新神戸に着き、改札を出た亮輔は大西に電話をかけた。
「兄貴、着きました。」
「そこから見て、目の前にホテルがあるだろ?」
「はい、あります」
「そこの一階にあるラウンジで待ってる」
亮輔は言われた通り、目の前のホテルに入り、正面から見て左手にあるコーヒーラウンジを見つけ、早足で入っていった。
きょろきょろと見回すと、奥の方の席から大西が手を挙げているのに気付いた。
「おう、亮輔
無事に男に戻れたんだな」
「はい、おかげさまで」
向かい側に座り、二、三言、言葉を交わしたが、すぐに本題に入った。
「兄貴、わずか二、三日の間に一体何があったんですか?
俺にはさっぱりわからなくて
それと、多喜と薫さんの安否も…」
「まあ、待て
順を追って話そう。」
「すいません」
「お前と綾香さんが逃げた日、俺は薫さんを救い出しに監禁場所に行った。」
「無事だったんですね!?」
「いや、無事だとは言えねえ。
生きてはいるが、シャブ漬けにされちまっててな。
それも異常な量をな。
俺が発見した時には口も聞けず、自分が誰だかもわからねえ状態だった。
とりあえず知り合いの病院に入院させてある。」
「そうですか…」
「あの日のオヤジは本当に会合に出てて、お前らの逃走は寝耳に水だったみたいでな、帰ってきてから相当荒れ狂ったらしい。」
「兄貴、多喜は?」
亮輔が一番気になっていた名前を口にすると、大西の表情が忽ち曇っていった。
大西が失敗、またはこちらを裏切って多村陣営にいたら、自分の行動はまさに藪蛇…
しかし、何の手もない亮輔は一縷の望みに賭けるしかなかった。
電話をかけるとすぐに大西が出た。
「兄貴、亮輔です!」
「…」
再性転換し、声のトーン、話し口調が変わってしまっている亮輔に、最初は疑い深く様子を窺っていた大西だったが、亮輔の携帯の番号からの着信であった事と、敢えて自分と大西しか知らないような話を亮輔が挟み込んだ事により、ようやく信じた様子だった。
「亮輔、今どこにいる?」
「はい
新大阪の駅です」
「そうか
詳しい事は会って話そう。
今から神戸に来れるか?」
「神戸ですか?」
「ああ。一気に情勢が変わっちまったんだ。
亮輔、もう一回新幹線に乗って新神戸で降りろ
そこで合流しよう。」
大西はそう言うと電話を切った。
今の亮輔には、大西を信じるしか道はない
亮輔は言われた通り切符を買い、再び新幹線に乗った。
10分ほどで新神戸に着き、改札を出た亮輔は大西に電話をかけた。
「兄貴、着きました。」
「そこから見て、目の前にホテルがあるだろ?」
「はい、あります」
「そこの一階にあるラウンジで待ってる」
亮輔は言われた通り、目の前のホテルに入り、正面から見て左手にあるコーヒーラウンジを見つけ、早足で入っていった。
きょろきょろと見回すと、奥の方の席から大西が手を挙げているのに気付いた。
「おう、亮輔
無事に男に戻れたんだな」
「はい、おかげさまで」
向かい側に座り、二、三言、言葉を交わしたが、すぐに本題に入った。
「兄貴、わずか二、三日の間に一体何があったんですか?
俺にはさっぱりわからなくて
それと、多喜と薫さんの安否も…」
「まあ、待て
順を追って話そう。」
「すいません」
「お前と綾香さんが逃げた日、俺は薫さんを救い出しに監禁場所に行った。」
「無事だったんですね!?」
「いや、無事だとは言えねえ。
生きてはいるが、シャブ漬けにされちまっててな。
それも異常な量をな。
俺が発見した時には口も聞けず、自分が誰だかもわからねえ状態だった。
とりあえず知り合いの病院に入院させてある。」
「そうですか…」
「あの日のオヤジは本当に会合に出てて、お前らの逃走は寝耳に水だったみたいでな、帰ってきてから相当荒れ狂ったらしい。」
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亮輔が一番気になっていた名前を口にすると、大西の表情が忽ち曇っていった。
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