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鹵獲編
変心
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「専務、俺、こっちで好きな人が出来たんです。」
「えっ、そうなの?
やるじゃん」
亮輔は少し驚いたような表情を浮かべたが、すぐに満面の笑みで、多喜を祝福した。
「おめでとう。どんな娘なの?」
「自分で言うのは何なんすけど、めちゃくちゃ美人で、性格も良くて、話も合うし。
俺って好きになったら、ベタベタしたいタイプなんですけど、そういうのにも応えてくれるし、本人もそういうタイプだって言ってくれるんです。
全部が最高なんです。」
「多喜、アンタ、そんな事言うキャラだった?
変れば変わるもんね。」
「結婚の約束もしましたし‥」
「また、とんでもないスピード婚ね!
ワタシも出席するから、式には呼んでね。」
「あの、俺もカノジョも身寄りが無くて、式は二人だけでやることにしたんです。
それと、ニューハーフだから、みんなを呼んでって感じにはしたくないって。」
「えっ?
ニューハーフなの!?」
「そうです。」
「これは‥驚いたわ。
多喜もなかなかやるわね」
「別にニューハーフだから、どうこうって俺にはないんです。
ただ、好きなだけで、一生二人でいれたら良いなって。」
「だよね。ワタシも自分がニューハーフだから言うわけじゃないけど、ホントそう思うわ。
好きって気持ちに勝るものはないよ。」
多喜は、ここで言うべきか、一種迷ったが、亮輔には伝えておかなければならない事だと思い、薫の事について話をした。
「それと、俺の恋人っていうのが、実は元々沢木組の構成員やってまして‥」
「えっ‥そうなの?」
「勿論、もうとっくに辞めてカタギになってるんですが、沢木組って言ったら、元が付いても、まあ、ウチとしては穏やかな話じゃないんで‥」
「うん‥そうね。」
「だから、俺、これを機会に、組から足を洗おうかなって。」
「多喜‥」
「薫も‥あ、彼女の名前薫っていうんですけど、薫も賛成してくれてますし、二人でどっか田舎に行って暮らそうかなって。」
「あんまり田舎はダメだよ。
その子、ニューハーフでしょ?近くにホルモン注射打ってくれる病院を確保しとかないと。」
「あ、そうですね。
ありがとうございます。」
「多喜、あの人が何て言うかわかんないけど、そういう事だったら、ワタシも応援するよ。」
「専務‥
すみません。」
多喜は寛容な亮輔に対し、深々と頭を下げた。
それでも、この話は一筋縄ではいかない‥
二人とも、多村の事を頭に思い浮かべながら、すぐに暗鬱な気分になっていった。
「えっ、そうなの?
やるじゃん」
亮輔は少し驚いたような表情を浮かべたが、すぐに満面の笑みで、多喜を祝福した。
「おめでとう。どんな娘なの?」
「自分で言うのは何なんすけど、めちゃくちゃ美人で、性格も良くて、話も合うし。
俺って好きになったら、ベタベタしたいタイプなんですけど、そういうのにも応えてくれるし、本人もそういうタイプだって言ってくれるんです。
全部が最高なんです。」
「多喜、アンタ、そんな事言うキャラだった?
変れば変わるもんね。」
「結婚の約束もしましたし‥」
「また、とんでもないスピード婚ね!
ワタシも出席するから、式には呼んでね。」
「あの、俺もカノジョも身寄りが無くて、式は二人だけでやることにしたんです。
それと、ニューハーフだから、みんなを呼んでって感じにはしたくないって。」
「えっ?
ニューハーフなの!?」
「そうです。」
「これは‥驚いたわ。
多喜もなかなかやるわね」
「別にニューハーフだから、どうこうって俺にはないんです。
ただ、好きなだけで、一生二人でいれたら良いなって。」
「だよね。ワタシも自分がニューハーフだから言うわけじゃないけど、ホントそう思うわ。
好きって気持ちに勝るものはないよ。」
多喜は、ここで言うべきか、一種迷ったが、亮輔には伝えておかなければならない事だと思い、薫の事について話をした。
「それと、俺の恋人っていうのが、実は元々沢木組の構成員やってまして‥」
「えっ‥そうなの?」
「勿論、もうとっくに辞めてカタギになってるんですが、沢木組って言ったら、元が付いても、まあ、ウチとしては穏やかな話じゃないんで‥」
「うん‥そうね。」
「だから、俺、これを機会に、組から足を洗おうかなって。」
「多喜‥」
「薫も‥あ、彼女の名前薫っていうんですけど、薫も賛成してくれてますし、二人でどっか田舎に行って暮らそうかなって。」
「あんまり田舎はダメだよ。
その子、ニューハーフでしょ?近くにホルモン注射打ってくれる病院を確保しとかないと。」
「あ、そうですね。
ありがとうございます。」
「多喜、あの人が何て言うかわかんないけど、そういう事だったら、ワタシも応援するよ。」
「専務‥
すみません。」
多喜は寛容な亮輔に対し、深々と頭を下げた。
それでも、この話は一筋縄ではいかない‥
二人とも、多村の事を頭に思い浮かべながら、すぐに暗鬱な気分になっていった。
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