ニューハーフ極道ZERO

フロイライン

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沢木組編

招かれざる客

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組事務所に戻ってきた薫と功太を、兄貴分の山崎が、出迎えた。

「おう、御苦労やったのう。」

「兄貴、お疲れ様です。今、somethingのマスターのとこへ行ってきました。店が開いたらまた巡回しときます。」

「そうか、オレも後でそっちの方に行くわ。しょーもない用事が出来てもーたからな。」

「どうしたんすか?」

功太が聞くと、山崎はため息をついた。

「ウチのキャバのNo. 1やったアンナが辞めてもうたんや。」

「えっ、アンナさん言うたら‥」

「せや。庄山さんの愛人やったんやけど、ちょっと前に別れたんやと。」

「そうなんすか?」

「なんでも、東京から流れてきた麗華っていう女が、庄山さんを寝取ったとか‥」

「それは、おもろないですね、アンナさん。」

「麗華いうのが、そら、めっちゃべっぴんらしくてな。庄山さんもイチコロやったみたいや。」

「‥」

薫は山崎と功太の話を黙って聞いていたが、ふと、ある予感がして、口を挟んだ。

「その、麗華って人、今も店に出てるんですか?」

「いや、最近辞めたらしいわ。庄山さんとデキたタイミングで。」

「‥」

「薫、お前の思てる通りや。その麗華って女、立正会と繋がりがあるらしいで。いや、その傘下の多村組とな。」

「多村組っていうと、東京のあの多村組ですか?」

「ああ。麗華ってのは多村組の組長の女だったらしいんやが、それがイヤで大阪まで逃げてきたって話や。」

「それって‥」

「ああ、今のこの状況で、その女は間違いなく火種となる‥」

山崎はタバコに火をつけ、少し表情を曇らせた。

「立正会と多村組が変な動きしたら、垂水組は動いてくれますか。」

「今、垂水組は組長からNo.3までが揃って服役中や。完全にマークされとるし、まあ期待は出来んやろ。」

「やはり‥」

「新田、オヤジの事を頼むぞ。奴らは庄山さんじゃなく、間違いなくオヤジのタマを狙ってくる。」

「わかりました。シマの巡回が終わったら、自分はオヤジのところへ行ってきます。」

薫はそう言うと、立ち上がり、功太と共に事務所を出ていった。
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