ニューハーフ極道ZERO

フロイライン

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その夜、亮輔は何度もイッた。 

最後は多村も絶頂に達し、同時にイッた。 
多村は亮輔の中で熱いものを放出すると、ぎゅっと亮輔を後ろから抱きしめて、横に倒れ込んだ。 

しかし、消耗度は亮輔の方が激しかった。 
何度もイケるという点では、男性のときよりも高い満足感を得ることが出来るのだが、一度のセックスで何回も頂点に達することで、終わった後は極度の疲労が襲い、グッタリしてしまうのだった。 

「亮輔… 良かったよ。」 

多村は少し息を切らせながら亮輔の髪を撫でた。 

「私も…です。スゴく気持ち良かった… 」 

亮輔は多村以上に息を切らせながら返事をした。 

しばらくして落ち着いてくると、多村は亮輔に腕枕をしながら眠りについた。 

亮輔は多村の寝顔を見つめながら幸せな気持ちに包まれた。 

しかし、それも…明日の夜になれば全てが変化する。綾香が消えた事に多村が気づくのはいつの事だろう…いっそのこと、綾香の計画を多村に打ち明けてしまおうか… 
いや、そんなことをしたら、綾香がどんな目に遭うかわからない。 

一度は愛した女だ。必ず救い出すと約束もした。 

亮輔はその事を考えると、今までの幸福感が吹っ飛び、なんとも言えぬ不安感に襲われるのだった。 


翌朝、多村は早く起きて、亮輔が作った朝食を美味しそうに食べて、迎えの車に乗って出て行った。 

亮輔はベランダから走り去る車を見つめ、頭を抱え込んだ。 

だが、考えても同じことであった。 
結局は綾香に協力する決意を固めたのだ。 

「やるしかない…」 

亮輔は化粧をしながら、鏡に向かって独り言を呟いた。 

昼になると、綾香から電話がかかってきた。 

「亮ちゃん… 今から来れる?」 

「うん… 本当に出て行くんだな?」 

「当たり前よ。私の気持ちは変わらないわ。」 

「わかった… すぐにそっちに行くわ。」 

亮輔は電話を切り、綾香のいるマンションに向かった。
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