ニューハーフ極道ZERO

フロイライン

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研磨

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「亮輔、お前料理とか出来るのか?」 

「料理…ですか? 全く出来ませんが…」 

「裁縫は?」 

「さらに出来ませんが…」 

亮輔が答えると、多村は何やら考えてる様子で、暫くの間があった。 

「亮輔、実家に何ヶ月か滞在しろ。」 

「えっ… どういうことですか?」 

「お前は顔や体は完璧な女だが、まだ中身が伴ってないんだよ。 
今のままでは、俺がお前に先日話した計画は、きっとうまくいかないだろう。」 

「はあ…」 

「しばらく実家に滞在して花嫁修行をしてこい。」 

「は、花嫁修行ですか!?」 

「そうだ。せっかくお母さんも認めてくれたんだ。弟子入りして女を磨いて来い。」 

多村は言いたい事だけ言って電話を切ってしまった。
彼は言い出したら聞かない男である。 

亮輔は携帯を見つめて難しい顔をしていたが、溜め息をついて家に戻っていった。 

「おかえり、亮輔。」 

靴を脱ぐ亮輔に美沙子が笑顔で声をかけた。 

「ああ…ただいま。」 

「亮輔、お風呂に入っちゃいなさい。」 

「いや、後でいいよ…」 

「何を遠慮してんの。いいから入んなさい。」 

「わかったよ。あのさ… 母ちゃん…」 

「うん?」 

「少しここにいていいかな… 俺、女として生きていこうと思ってんのに、料理も何も出来ないんだよ… 
だから、教えてもらえたら嬉しいんだけど…」 

亮輔は非常に言いにくそうに伝えたが、美沙子は間髪入れずに笑って答えた。 

「何言ってるのよ亮輔!ここはあんたの家なんだから、好きなだけいればいいのよ。 
母さんが何でも教えてあげるから、心配しないで。」 

亮輔は顔を少し赤らめて頷いた。 

「それにしても、母ちゃん… さっきも言ったけど、俺がこんなんになって帰ってきたのに 
全然動じないよな。」 

亮輔が尋ねると、美沙子はまた笑って答えた。 

「そりゃあ最初は心臓が止まりそうなくらいびっくりしたけど、もう、そんなこと考えたってしょうがないでしょ? 
だから、娘が出来たって考えるようにしたのよ。だって元々娘が欲しかったんだもん。」

亮輔は救われたような思いになり、この理解ある母に感謝した。
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