ニューハーフ極道ZERO

フロイライン

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携帯の音がけたたましく鳴り響いた。 

「…るせーな」 

亮輔は音を切っときゃ良かったという後悔の念を抱きながら、ベッドの中から手を伸ばして携帯を掴んだ。 

「なんだ…綾香か」 

携帯の画面で相手を確認した後、面倒くさげに電話に出た。 

「なんだよ、こんな朝早くに…」 

亮輔は不機嫌そうにしゃべりだした。 

しかし 

「亮ちゃん、大変なの!!」 

綾香の尋常ならざる様子に、ようやく頭が冴えてきた。 

「どうした!?」 

「大変なのよ! ウッ…」 

それだけ言うと綾香は泣き出してしまった。 

「泣くな! 何があったんだよ!」 

「パパに… 私と亮ちゃんのこと… バレちゃったの…」 

それを聞いた亮輔の顔から一気に血の気が引いた。 

「おいっ! マジか!?」 



「うん… 昨日… 私達のことを誰かが尾行してたみたいなの… 全部バレてたわ…」 

それを聞いた亮輔は自分の額を震える手で押さえた。 

「綾香… オヤジはどうしてる?」 


「わかんない… 私も部屋の外からカギかけられて閉じ込められてるの‥でも、今さっき、血相変えて飛び出していったわ…」 

「綾香、それはどれくらい前だ!?」 

「えっと… 五分くらい前…」 

「わかった。また後で連絡する!」 


電話を切った亮輔は、慌てて服を着替え、金目のものは全て上着のポケットに入れた。 


(オヤジが兄貴を呼び出したとして、ここに到着するのに… あと10分はかかる、いや 、先に俺を押さえろって事になってたら…) 

とにかく時間が無い事は確かだった。 

亮輔は頭の寝ぐせを直すこともせず、マンションの下に置いている車のところに急いだ。 

出来るだけ遠くへ行く!
今はこれしかない。 
走りながら亮輔は車のキーをポケットから取り出し… 

「!!」 

「亮輔、どこに行くんだ?」 

車の前には既に兄貴分の大西克之が到着して亮輔が来るのを待っていた。 

「亮輔、 オヤジが呼んでる。 言いたいことがあれば向こうに行ってからにしろ。」 

亮輔の後ろには既に二人の男が立ち、逃げ道を無くしている。 
亮輔は肩を落として大西の車に乗り込んだ。 
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