ニューハーフ学園

団欒

晴翔と光瑠が食堂に行くと、既に全員が揃い、晩御飯を食べていた。


「あっ、ハルちゃん、光瑠ちゃん

ここ空いてるよ。」


翼が自分の隣を指差し、座るように言った。


「ありがとう、翼ちゃん。」


晴翔は、光瑠と共に翼の隣をキープすると、晩御飯とお茶を取りに受け渡し口に向かった。


「光瑠ちゃん、ここからおかず取って。
あと、お味噌汁とご飯は自分で入れるのよ。」


「ふーん。いいじゃん

俺、大盛りな。」


光瑠はマンガのようなマウンテンご飯にして、自分のトレイに置いた。



二人はトレイに全て用意すると、翼たちの待つ長テーブルのところに戻った。


「遅かったわね、ハルちゃん。」


「うん。
部屋で光瑠ちゃんとお話してたら、遅くなっちゃった。」


「えーっ、ワタシも光瑠ちゃんとお話がしたいよ。」


翼は憧れの目で光瑠を見つめたが、彼女はそんなのお構いなしで、ご飯をかき込んだ。


「もう、光瑠ちゃんてサイコーだよね。

こんなに可愛いのに、いつも自然体でいられるんだもの。」


「そ、そうだね」


晴翔は、翼の話に合わせながら、視線を逸らし、味噌汁を一口飲んだ。


「光瑠ちゃんて、その胸自前って言ってたよね？」


「ん？

あー、そうだな。」


「ホルモン治療はどれくらいしてるの？」


「どれくらい？」


「期間よ、期間。」


「一日。」


「もう、真面目に答えてよ。
ワタシも早く受けたくて仕方ないのに。」

翼がそう言うと、光瑠は茶碗を置き、ため息をついた。

「なんでこんな胸がいいんだよ。
ジャマなだけじゃねえか。

走りにくいしよー。」


「そんな事言うの、ここじゃ光瑠ちゃんだけよ。

全員がおっぱいを大きくしたいって思ってるんだから。

ねえ？」

翼が、近くのクラスメイトに確認を取ると、全員が何度も頷いた。


「お前ら、変わってんなあ。

まあ、いいけど。
俺なんてタマも取られて、もう最悪の気分だぜ。」


「光瑠ちゃん、もう去勢手術を終えてるの？」


「ああ。」


「ヤダ、羨ましすぎる。

ワタシが求めるパーフェクトガールがここにいるのね。」


「うるせえよ。」


光瑠は段々不機嫌になっていった。


「翼ちゃん、言ったでしょ？

光瑠ちゃんはすっごい恥ずかしがり屋だって。
ホントは嬉しくて仕方ないみたいよ」

晴翔がすかさずフォローを入れると、光瑠はソッコーでキレて睨みつけた。