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交差する思い
仲間
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ユウは年上の連中に翔太と共に連みだし、毎夜のように原付の後ろに乗り、地元の街を爆走した。
本当の自分を偽って生きなければいけない苦痛を、ユウは捌け口として不良と呼ばれる年上の仲間を頼った。
さらに、自分は何一つ悪くないのに、周りから白い目で見られている翔太に、強いシンパシーを感じたのだった。
それ故に、翔太との仲は急速に深まり、親友と呼べる段階にまで発展した。
そして、ユウの翔太への思いが、恋愛感情に発展していくのにも、時間はかからなかった。
いつしか、ユウは翔太を好きになってしまった自分に気付いた。
勿論、本人に伝えることはできなかった。
そんな事をしたら、せっかく出来た親友を失う事になると思ったからだ。
ただ、側にいられて、男同士の親友でいられればそれで十分だ。
ユウは自分に言い聞かせ、心を押し殺した。
そんな日々が何ヶ月か続いたが、当然の如く、何の進展もなかった。
いつものように、ユウと翔太は、校舎裏の花壇に腰を下ろし、二人でダラダラと話していた。
「今日は、集まりは無いん?」
「うん。先輩がなんか学校のアレで研修旅行みたいなんに行ってる。」
「えっ、そうなんや。
それやったらヒマやなあ。」
「そうやな。」
「あ、そうや。
翔太、ウチに来えへんか?」
「えっ、ユウの家に?」
「ウチの親もなんか親戚の家に泊まりで行ってもうて、おらんねん。
何やったら泊まりに来る?」
「マジ?
行くよ、行く行く。
俺、遠慮せえへんからな。」
「子供は遠慮したらあかんて、いつも言われてる。」
「それやったら行くわ、晩飯の後に行ったらええか?」
「俺、金もろてるし、どっか外に食いに行けへんか。」
「いや、俺は…金が」
「そんなん気にすんな、俺が出すやん。
っていうか、親の金やし、遠慮すんなって。」
「サンキュー
ほな、帰ってからすぐに行くわ。」
「おう、待ってるわ。」
こうして、翔太がユウの家に泊まりに来る事になった。
だが、その夜に起きた出来事により、二人の関係に微妙な変化が生じることになるとは、この時点の彼らは想像すらしていなかった。
翔太は荷物を置くと、すぐにユウの家にやってきた。
「着替えとか持ってけえへんかったん?」
「えっ、あっ、忘れてもうたわ」
「まあ、俺の貸したるわ。」
「サンキュ
それにしても、ええ家に住んでんねんなあ。
こんな金持ちやったとは知らんかった。」
「そんな事あらへんて。
フツーやて。」
「フツーちゃうよ。
俺、めっちゃ貧乏やもん。」
「…」
「あ、でも、全然気にしてへんから。」
翔太はそう言って笑った。
「そろそろ飯食いに行こか。」
六時頃、二人は家を出て、楽しそうに話をしながら肩を並べて歩いた。
本当の自分を偽って生きなければいけない苦痛を、ユウは捌け口として不良と呼ばれる年上の仲間を頼った。
さらに、自分は何一つ悪くないのに、周りから白い目で見られている翔太に、強いシンパシーを感じたのだった。
それ故に、翔太との仲は急速に深まり、親友と呼べる段階にまで発展した。
そして、ユウの翔太への思いが、恋愛感情に発展していくのにも、時間はかからなかった。
いつしか、ユウは翔太を好きになってしまった自分に気付いた。
勿論、本人に伝えることはできなかった。
そんな事をしたら、せっかく出来た親友を失う事になると思ったからだ。
ただ、側にいられて、男同士の親友でいられればそれで十分だ。
ユウは自分に言い聞かせ、心を押し殺した。
そんな日々が何ヶ月か続いたが、当然の如く、何の進展もなかった。
いつものように、ユウと翔太は、校舎裏の花壇に腰を下ろし、二人でダラダラと話していた。
「今日は、集まりは無いん?」
「うん。先輩がなんか学校のアレで研修旅行みたいなんに行ってる。」
「えっ、そうなんや。
それやったらヒマやなあ。」
「そうやな。」
「あ、そうや。
翔太、ウチに来えへんか?」
「えっ、ユウの家に?」
「ウチの親もなんか親戚の家に泊まりで行ってもうて、おらんねん。
何やったら泊まりに来る?」
「マジ?
行くよ、行く行く。
俺、遠慮せえへんからな。」
「子供は遠慮したらあかんて、いつも言われてる。」
「それやったら行くわ、晩飯の後に行ったらええか?」
「俺、金もろてるし、どっか外に食いに行けへんか。」
「いや、俺は…金が」
「そんなん気にすんな、俺が出すやん。
っていうか、親の金やし、遠慮すんなって。」
「サンキュー
ほな、帰ってからすぐに行くわ。」
「おう、待ってるわ。」
こうして、翔太がユウの家に泊まりに来る事になった。
だが、その夜に起きた出来事により、二人の関係に微妙な変化が生じることになるとは、この時点の彼らは想像すらしていなかった。
翔太は荷物を置くと、すぐにユウの家にやってきた。
「着替えとか持ってけえへんかったん?」
「えっ、あっ、忘れてもうたわ」
「まあ、俺の貸したるわ。」
「サンキュ
それにしても、ええ家に住んでんねんなあ。
こんな金持ちやったとは知らんかった。」
「そんな事あらへんて。
フツーやて。」
「フツーちゃうよ。
俺、めっちゃ貧乏やもん。」
「…」
「あ、でも、全然気にしてへんから。」
翔太はそう言って笑った。
「そろそろ飯食いに行こか。」
六時頃、二人は家を出て、楽しそうに話をしながら肩を並べて歩いた。
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