oh my little love

フロイライン

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交差する思い

天秤

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高橋は極度の緊張をしていた。

まさか、蒼が休みの日にデートしてくれるとは夢にも思っていなかったから。

約束の11時半にはまだ30分ある。

高橋は何度も服装や髪型がおかしくないか、近くにある百貨店のショーウィンドーに自分の姿を映して確認した。

11時10分頃、蒼が待ち合わせ場所に姿を現した。

こうして早めに来るのは、愁と会う時と何ら変わらない蒼であった。


「お待たせ。
待った?」


「あ、いや、全然」


蒼に聞かれた高橋は、ぎこちなくそう答えた。


ぎこちなかったのは、緊張していたのもあるが、蒼の服装、いや、全体の雰囲気が店にいる時とは全然違ったからだ。

白のシャツにスリムのデニムを履き、髪は後ろで束ね、化粧もしていないと思うくらいに薄かった。


「蒼ちゃん…
お店と全然雰囲気が違うね」


「えっ、変?

ワタシ、ホントは派手な服装とかあんまり好きじゃないの。
お化粧も濃いのは…」


「いや、その方が全然いいよ。
いつもの感じもめっちゃ可愛いけど、今日の方がさらに可愛い
可愛すぎる」


「そう?

ありがとう」

ひとしきり蒼を褒め、例を言ってもらった高橋は次の段階に進む事を決めた。


「ご飯食べようよ。」


「うん。」


「何か食べたいものある?」


「ううん。
高橋さんが決めてくれたら。
ワタシ、好き嫌いないし…

あ、そうだ」


「えっ、何?」


「この前ご馳走になったから、今日はワタシに払わせてね」


「えっ、ダメだよ
そんなの」


「ううん。
同伴て初めてやったけど、ワタシには向いてないって思ったの。

なんかお金をあーいう形で使わせるのはちょっと…

だったら水商売なんてするなって言われたらそれまでなんだけど…」


「蒼ちゃん…

きもちはすごく嬉しい。
でも、俺が古くさいのかもしれないけど、こういうときって男が出すもんだって思ってるから。」


「うーん…

じゃあ、あんまり高い店は無しにしようよ。
この前みたいなお寿司屋さんとかはダメだよ。」


「えーっ、そうなの?」


「あ、ここがいいんじゃない?」


「サイゼ?」


「うん。
どう?」


「蒼ちゃんが良いなら俺はかまわないけど…」

高橋は最近お金を使い過ぎていたので、内心では助かったと思ったが、初デートでサイゼはちょっと抵抗があるとも感じていた。

そんな高橋の気持ちとは裏腹に、蒼は楽しそうに店に入り、メニューを広げて料理を選び始めた。

愁と再会したばかりの頃、よくこういうところに来たという感傷に浸りながら…
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