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蒼一人立ち編
査定
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「蒼、どうだったの?」
高橋をお見送りして帰ってきた蒼に、ユウは心配そうに聞いた。
「えっ、高橋さんの事?」
「うん。
何かストーカー的な感じがするんだよね、あの人。」
「あー、全然そんなのはないよ。
明日、同伴出勤したいって言ってくれたから、オッケーしたわ。」
「えっ、マジ?
同伴て…」
「今までそういう事をしてこなかったけど、これからはワタシもこのお仕事を頑張っていきたいから、同伴も要望があったらどんどんしていくつもり。」
「へえ
蒼も変わったねえ。」
ユウが驚きの声を上げると、蒼は何も言わずにニコッと笑った。
キャバ嬢などは、よく同伴出勤をするが、蒼の働くこの店も、キャバクラとショーパブの性質を併せ持っていて、同伴やアフターもある。
ただ、同伴出勤は査定の対象になるが、アフターはならない。
したがって、嬢達も同伴出勤はよくするが、アフターについては、相当気に入った相手でないと、まずしない。
蒼はこれまで、愁一筋で生きてきたわけで、同伴出勤などした事もなかった。
だが、別れてしまった今、その寂しさも相俟って、同伴出勤も解禁しようとしていた…
その矢先の高橋からの誘いだったので、二つ返事で受けたのだ。
高橋は真面目そうな外見に、中身もまた真面目で、なんとなくパッとしない男だったが、蒼にとっては、そういう人の方がとっつき易く、むしろ好印象だった。
ただ、今の蒼は、愁の事を一瞬でも忘れられるならば、それでいいと思っていた。
次の恋をする気にもならないし、今は仕事だけを頑張ればいいと…
高橋がそんな蒼の心の隙を埋めてくれるとは少しも思っていなかったが…
誰かを好きになったり、誰かに好きになられたり、そして恋愛に発展したり…
そういうものは偶然の産物であることが多く、こうしようと考えて出来るものではない。
蒼も愁という人生で一番愛した人間を失い、もう恋なんてしないし、必要ないと思っていた。
誰もこの心の隙間を埋める事は出来ないのだから。
しかし、人生は何があるかわからないもの
だから面白いのだ
後に、蒼はそう思える時が来るとは、この時点では思ってもみなかった。
高橋をお見送りして帰ってきた蒼に、ユウは心配そうに聞いた。
「えっ、高橋さんの事?」
「うん。
何かストーカー的な感じがするんだよね、あの人。」
「あー、全然そんなのはないよ。
明日、同伴出勤したいって言ってくれたから、オッケーしたわ。」
「えっ、マジ?
同伴て…」
「今までそういう事をしてこなかったけど、これからはワタシもこのお仕事を頑張っていきたいから、同伴も要望があったらどんどんしていくつもり。」
「へえ
蒼も変わったねえ。」
ユウが驚きの声を上げると、蒼は何も言わずにニコッと笑った。
キャバ嬢などは、よく同伴出勤をするが、蒼の働くこの店も、キャバクラとショーパブの性質を併せ持っていて、同伴やアフターもある。
ただ、同伴出勤は査定の対象になるが、アフターはならない。
したがって、嬢達も同伴出勤はよくするが、アフターについては、相当気に入った相手でないと、まずしない。
蒼はこれまで、愁一筋で生きてきたわけで、同伴出勤などした事もなかった。
だが、別れてしまった今、その寂しさも相俟って、同伴出勤も解禁しようとしていた…
その矢先の高橋からの誘いだったので、二つ返事で受けたのだ。
高橋は真面目そうな外見に、中身もまた真面目で、なんとなくパッとしない男だったが、蒼にとっては、そういう人の方がとっつき易く、むしろ好印象だった。
ただ、今の蒼は、愁の事を一瞬でも忘れられるならば、それでいいと思っていた。
次の恋をする気にもならないし、今は仕事だけを頑張ればいいと…
高橋がそんな蒼の心の隙を埋めてくれるとは少しも思っていなかったが…
誰かを好きになったり、誰かに好きになられたり、そして恋愛に発展したり…
そういうものは偶然の産物であることが多く、こうしようと考えて出来るものではない。
蒼も愁という人生で一番愛した人間を失い、もう恋なんてしないし、必要ないと思っていた。
誰もこの心の隙間を埋める事は出来ないのだから。
しかし、人生は何があるかわからないもの
だから面白いのだ
後に、蒼はそう思える時が来るとは、この時点では思ってもみなかった。
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