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awkward
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お互いのテリトリーには侵入しないという暗黙の了解があると聞いていたんだけど…
俺達三人がいる方に、親父さんが突然やってきたんだ。
話が違うじゃねえかと思いながら、俺は最低限の礼儀として頭を下げた。
しかし、穏やかでないのは友梨奈さんだった。
「ちょっと、何の用よ!」
怒り口調で言い、親父さんを睨みつけた。
「いや、愁君に話があってな
ちょっとだけ時間をもらえないか。」
親父さんはそう言うと、俺の方に視線をやった。
蒼は何も言わず、無表情
友梨奈さんは怒りっぱなし
俺は…
「あの、僕は全然大丈夫です」
と、答えた。
親父さんは安心した様子で、俺に自分が住んでる方の家に来るように言ってきた。
俺は、怒る友梨奈さんを目で制し、素直に親父さんに付いていった。
一体何の用なんだろう
隣の家に移動すると、そこにはもう一つの根本家があった。
二階からも行き来出来るが、今回は一度外に出て、隣りの入り口から入るやり方を選択し、親父さんの後に付いて移動した。
親父さんは玄関で靴を脱ぎながら
「申し訳ないな
愁君
さあ、上がってくれ」
と、俺に言った。
「お邪魔します…」
案内されて奥に進むと、応接間のような部屋があり、そこのソファに腰掛けるように言われた。
俺は言われた通り座ったが、何となく落ち着かない
何故なら…
「美奈」
と、親父さんが奥に向かって声をかけると、程なくして女性が俺の目の前に現れたからだ。
「彼は愁君
ウチの子と付き合ってるんだが、ちょっと話がしたくてここに呼んだんだ。
お茶を出してくれるか」
美奈と呼んだ女性に親父が言うと、女性は俺に頭を下げて奥に消えていった。
年齢はどれくらいだろう…
三十代半ばか後半くらいだろうか
少しだけスレンダーで美人だ。
「新しい奥さんですか?」
俺はストレートな質問を親父さんにすると
「ああ。
恥ずかしながら…そうだよ。」
親父さんは少し照れた様子でそう言った。
「ところで、愁君」
「はい
どうされましたか…」
「いや…君に謝りたくてね」
「えっ?」
「ほら、この前ウチに来てくれたときに言ったじゃないか
君にウチで働かないかって
そして、将来的にはウチの会社を蒼太か君に引き継がせたいと」
「はい。
そう言われてましたね」
「だが、私は友梨奈と離婚する事になり、蒼太も友梨奈に付いて行くようだ。
本当に申し訳ない。」
「いえ、それはもう…
気にしないで下さい。」
「蒼太に加えて友梨奈までが東京に行き、君と暮らすっていう話を耳にしたんだが、それは本当か?
もし、そうだとしたら、友梨奈に同情してそうしてくれてるんじゃないかと思って。
正直に言って欲しい。
内心、すごく迷惑してるんじゃないか。」
「一緒に住む事は本当ですが、迷惑とか、そういうのは全然ありません…」
俺はそれだけ言うと、押し黙った。
俺達三人がいる方に、親父さんが突然やってきたんだ。
話が違うじゃねえかと思いながら、俺は最低限の礼儀として頭を下げた。
しかし、穏やかでないのは友梨奈さんだった。
「ちょっと、何の用よ!」
怒り口調で言い、親父さんを睨みつけた。
「いや、愁君に話があってな
ちょっとだけ時間をもらえないか。」
親父さんはそう言うと、俺の方に視線をやった。
蒼は何も言わず、無表情
友梨奈さんは怒りっぱなし
俺は…
「あの、僕は全然大丈夫です」
と、答えた。
親父さんは安心した様子で、俺に自分が住んでる方の家に来るように言ってきた。
俺は、怒る友梨奈さんを目で制し、素直に親父さんに付いていった。
一体何の用なんだろう
隣の家に移動すると、そこにはもう一つの根本家があった。
二階からも行き来出来るが、今回は一度外に出て、隣りの入り口から入るやり方を選択し、親父さんの後に付いて移動した。
親父さんは玄関で靴を脱ぎながら
「申し訳ないな
愁君
さあ、上がってくれ」
と、俺に言った。
「お邪魔します…」
案内されて奥に進むと、応接間のような部屋があり、そこのソファに腰掛けるように言われた。
俺は言われた通り座ったが、何となく落ち着かない
何故なら…
「美奈」
と、親父さんが奥に向かって声をかけると、程なくして女性が俺の目の前に現れたからだ。
「彼は愁君
ウチの子と付き合ってるんだが、ちょっと話がしたくてここに呼んだんだ。
お茶を出してくれるか」
美奈と呼んだ女性に親父が言うと、女性は俺に頭を下げて奥に消えていった。
年齢はどれくらいだろう…
三十代半ばか後半くらいだろうか
少しだけスレンダーで美人だ。
「新しい奥さんですか?」
俺はストレートな質問を親父さんにすると
「ああ。
恥ずかしながら…そうだよ。」
親父さんは少し照れた様子でそう言った。
「ところで、愁君」
「はい
どうされましたか…」
「いや…君に謝りたくてね」
「えっ?」
「ほら、この前ウチに来てくれたときに言ったじゃないか
君にウチで働かないかって
そして、将来的にはウチの会社を蒼太か君に引き継がせたいと」
「はい。
そう言われてましたね」
「だが、私は友梨奈と離婚する事になり、蒼太も友梨奈に付いて行くようだ。
本当に申し訳ない。」
「いえ、それはもう…
気にしないで下さい。」
「蒼太に加えて友梨奈までが東京に行き、君と暮らすっていう話を耳にしたんだが、それは本当か?
もし、そうだとしたら、友梨奈に同情してそうしてくれてるんじゃないかと思って。
正直に言って欲しい。
内心、すごく迷惑してるんじゃないか。」
「一緒に住む事は本当ですが、迷惑とか、そういうのは全然ありません…」
俺はそれだけ言うと、押し黙った。
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