oh my little love

後戯

その夜、俺と蒼はいっぱい愛し合い、これでもかっていうほどキスをした。

セックスの後は、腕枕しながら色んな話をするのも俺たち流

「蒼、俺さあ
今でも不思議な事があるんだけど」

「えっ、何？」

「俺って、顔が良いわけでもスポーツが得意なわけでも頭が良いわけでもなくて、生まれてこの方全然モテたりした事なかったんだよ。
まあ、二軍生活をずっと送ってきた人間だから。

それなのに、蒼は俺の事を好きって言ってくれるじゃん

一体俺のどこが好きなのかなあって。」


「えーっ、そんな事思ってたの？

愁ちゃんのこと、ワタシは全部大好きだよ

顔も悪いなんて思わない、めちゃくちゃかっこいいし
スポーツは知らないけど、頭も良いし、何よりすごく優しい。
いつも感激しちゃうくらい優しいもん、愁ちゃんは。

一緒にいててドキドキもするし安心もする
なんか匂いも大好きだし、好きなところ挙げたらキリがない感じだね。」

うわあ、ベタ褒め、褒め殺し

「蒼だけだよ、そういう風に言ってくれるの
でも、顔は人それぞれの好みとかがあるので、まあ置いとくとして、俺、大した大学にも行けてないし、頭は良くないよ。それだけは言える。」

「違うよ。
そういう勉強面の頭の良さを言ってるんじゃないの。
地頭が良いっていうか、こういうときどうしたらいいとか、そういう判断力とかが愁ちゃんはすごくて、頭が良いなあっていつも思ってるの。」

「ふーん、よくわかんねえけど、褒めてくれてるから
お礼を言うよ。
ありがとう」

「じゃあ、逆に聞くけど、愁ちゃんはなんでワタシとこうして一緒にいてくれるの？
好きって言ってくれるし、すごく嬉しくて感謝してる。

でも、ワタシは男っていうかオカマだし、それこそフツーの女子に比べたら全てが劣ってるわけで
だから…」

また、不安に思うって言いたいんだろうなあ
蒼のネガティブ思考を払拭するのは並大抵では済まないな。

「蒼こそ自分のことわかってないよ。
どこが劣ってるの？
全部上回ってるよ。
こんな美人、俺は街で見かけた事すらないし、こんな優しくて全てを兼ね備えてる人は、まあ存在しないね、この世の中に。

多分、蒼は生まれながらの女性じゃないってところに引け目を感じて、劣ってるっていう思いになってるんだろうけど、俺にとってそんなことはどうでも良いとは言わないけど、大したことじゃないよ。

女だから好き、女じゃないから嫌いなんて単純なものじゃない。
その人の人間性とかに愛情が芽生えるんじゃないかな。
だから、人間根本蒼を俺は愛してるわけであって、女かそうでないなんて意味を持たないよ。」

「愁ちゃん…」

「蒼、不安な気持ちを完全に払拭してやることは出来ないかもしれないけど、俺はずっと蒼の側を離れないし、蒼を愛し続けていくよ。
少しずつでいいから、俺の事を信じて欲しい。」

「愁ちゃん…
勿論信じてる…

愛してる」

蒼は俺に縋り付くように抱きついてきた。

そんな蒼に、俺はまたキスをした。