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帰郷
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12月初旬の日曜日の夜のひとときの事だ。
食事の片付けとか明日の仕込みとか、全て終え
風呂も入り終わって、ほっと一息ついた俺たちは、ソファーに座り、またどうでもいい話をしていた。
蒼がぽつんと言った。
「愁ちゃん、年末は実家に帰るんでしょ?」
と…
たしかに親からは帰ってこいって言われてる。
でも、蒼は多分…
「えっ、ああ…
でも、金もかかるしなあ
それに、蒼は帰んないんだろ?」
「うん。
前も言ったと思うけど、ワタシ、勘当されてるから
高校辞めて家を出てから一度も帰ってないよ。」
「そうは聞いてたけど、寂しかっただろ?」
「最初の頃はね…
でも、今は愁ちゃんが側に居てくれるし、全然寂しくないよ。
むしろ幸せすぎて怖いくらい
だから、ワタシにかまわず帰ってきなよ」
「うーん…
あ、そうだ!
蒼も一緒に来ないか?俺の実家に」
俺のいきなりの提案に、蒼はびっくりして首を横に振った。
「ちょっと、何言ってるのよ
そんなのムリに決まってるじゃない。」
「ムリじゃないよ。
親に蒼を紹介したいんだ」
「ちょっと待って
それがムリだって言ってるの。
実家に男を連れてって、紹介なんてしたらお父様もお母様も卒倒しちゃうわ」
「いやいや、俺ら結婚するんだぜ
蒼にはさあ、少しずつでも俺の事を信じれるようになってもらって、安心して欲しいんだ。
親に紹介するのも、その一つの方法なんだよ。」
「愁ちゃんの気持ちは十分に伝わってるよ。
本当に有難いって思ってる。ワタシには勿体ない人だよ。
でも、お父様やお母様は別よ。
絶対に理解してもらえないと思うし、それどころか大反対されると思う。
もし、そうなって、この生活が…
ワタシ、耐えられない…」
蒼は同棲してる事が俺の両親にバレて、この生活が破綻してしまう事をすごく恐れているようだった。
でも、それって結局は今が良ければいい的な考えであって、長期的な目で見たら、親への通過儀礼は避けられないと思う。
結婚するってそういう事だから
「大丈夫、何があっても蒼の事は俺が守る。
もし、俺たちの事を反対するようなら親子の縁を切るつもりさ。」
「待って。
ワタシのせいでそんな風になるなんて、絶対ダメよ。
愁ちゃんはワタシとさえこんな事にならなければ普通に幸せな暮らしが出来たはずなんだから。」
「でも、俺たちはこうして再会して付き合うようになった。」
俺は至って真面目に思った事を伝えたんだけど、実家の話は蒼を悩ませ、そして傷つけてしまったようだ…
食事の片付けとか明日の仕込みとか、全て終え
風呂も入り終わって、ほっと一息ついた俺たちは、ソファーに座り、またどうでもいい話をしていた。
蒼がぽつんと言った。
「愁ちゃん、年末は実家に帰るんでしょ?」
と…
たしかに親からは帰ってこいって言われてる。
でも、蒼は多分…
「えっ、ああ…
でも、金もかかるしなあ
それに、蒼は帰んないんだろ?」
「うん。
前も言ったと思うけど、ワタシ、勘当されてるから
高校辞めて家を出てから一度も帰ってないよ。」
「そうは聞いてたけど、寂しかっただろ?」
「最初の頃はね…
でも、今は愁ちゃんが側に居てくれるし、全然寂しくないよ。
むしろ幸せすぎて怖いくらい
だから、ワタシにかまわず帰ってきなよ」
「うーん…
あ、そうだ!
蒼も一緒に来ないか?俺の実家に」
俺のいきなりの提案に、蒼はびっくりして首を横に振った。
「ちょっと、何言ってるのよ
そんなのムリに決まってるじゃない。」
「ムリじゃないよ。
親に蒼を紹介したいんだ」
「ちょっと待って
それがムリだって言ってるの。
実家に男を連れてって、紹介なんてしたらお父様もお母様も卒倒しちゃうわ」
「いやいや、俺ら結婚するんだぜ
蒼にはさあ、少しずつでも俺の事を信じれるようになってもらって、安心して欲しいんだ。
親に紹介するのも、その一つの方法なんだよ。」
「愁ちゃんの気持ちは十分に伝わってるよ。
本当に有難いって思ってる。ワタシには勿体ない人だよ。
でも、お父様やお母様は別よ。
絶対に理解してもらえないと思うし、それどころか大反対されると思う。
もし、そうなって、この生活が…
ワタシ、耐えられない…」
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でも、それって結局は今が良ければいい的な考えであって、長期的な目で見たら、親への通過儀礼は避けられないと思う。
結婚するってそういう事だから
「大丈夫、何があっても蒼の事は俺が守る。
もし、俺たちの事を反対するようなら親子の縁を切るつもりさ。」
「待って。
ワタシのせいでそんな風になるなんて、絶対ダメよ。
愁ちゃんはワタシとさえこんな事にならなければ普通に幸せな暮らしが出来たはずなんだから。」
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