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すれ違い
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「ごめん。待っ…」
根本は俺にそう言いかけて言葉を途切れさせた。
歳内と吉野の存在に気付いたからだ。
「いや、俺がちょっと早く来すぎたわ。」
俺はそう言いながら、二人の間を抜けて根本のところに辿り着いた。
「じゃあ。また大学で」
根本に呆気にとられる二人を尻目に、俺は片手を上げて歩き出した。
根本も慌てて少し後ろを俯きながら付いて来た。
しばらく歩いて、二人の視線が届かないところまで来ると、ようやく根本が話し始めた。
「愁ちゃん、いいの?」
「何が?」
「あの女の子達、お友達でしょ?」
「知り合いっていうか、同じ大学のヤツらでさ、いつもくだらない事ばかり言ってる連中なんだ。
アイツらはアイツらで、この辺に飲みに来たんじゃね?」
「そうなんだ…」
根本は少し元気のない声で呟くように言った。
そんな根本の様子に、鈍感な俺は全く気付かず、逆に気分が高揚していた。
何故ならば、あの二人に根本を見せられたからである。
今頃こう言っていることだろう 。
なんで山崎みたいなパッとしない男がすごい美人と一緒にいるのだろうか
ってね。
いや、山崎みたいなモテない男にあんなキレイな彼女がいるわけないし、きっと詐欺に遭ってる!なんて言ってるかもしれないが。
まあ、どちらにしてもアイツらにとてつもないインパクトを与えたのは言うまでもない。
居酒屋に入っても、まだ俺の心は浮ついていて、根本の口数が極端に少なくなっていることに全く気付いていなかった。
そんな浮かれ野郎に根本はようやく口を開いた。
「愁ちゃん…」
「ん?」
「あの… もう会うのやめよ。」
「えっ、何?…」
突然の言葉に俺はピンと来ず、何がなんだかわからなくなかった。
「どうした?何かあったのか?」
俺の問いに根本は首を横に振った。
「愁ちゃんに悪いなって思ったの。
ワタシなんかと遊んでないで、もっと大学の友達を大切にした方がいいと思う。」
「ど、どうしたんだよ、急に…」
蒼の言葉に戸惑う俺は、焦りながら言った。
根本は俺にそう言いかけて言葉を途切れさせた。
歳内と吉野の存在に気付いたからだ。
「いや、俺がちょっと早く来すぎたわ。」
俺はそう言いながら、二人の間を抜けて根本のところに辿り着いた。
「じゃあ。また大学で」
根本に呆気にとられる二人を尻目に、俺は片手を上げて歩き出した。
根本も慌てて少し後ろを俯きながら付いて来た。
しばらく歩いて、二人の視線が届かないところまで来ると、ようやく根本が話し始めた。
「愁ちゃん、いいの?」
「何が?」
「あの女の子達、お友達でしょ?」
「知り合いっていうか、同じ大学のヤツらでさ、いつもくだらない事ばかり言ってる連中なんだ。
アイツらはアイツらで、この辺に飲みに来たんじゃね?」
「そうなんだ…」
根本は少し元気のない声で呟くように言った。
そんな根本の様子に、鈍感な俺は全く気付かず、逆に気分が高揚していた。
何故ならば、あの二人に根本を見せられたからである。
今頃こう言っていることだろう 。
なんで山崎みたいなパッとしない男がすごい美人と一緒にいるのだろうか
ってね。
いや、山崎みたいなモテない男にあんなキレイな彼女がいるわけないし、きっと詐欺に遭ってる!なんて言ってるかもしれないが。
まあ、どちらにしてもアイツらにとてつもないインパクトを与えたのは言うまでもない。
居酒屋に入っても、まだ俺の心は浮ついていて、根本の口数が極端に少なくなっていることに全く気付いていなかった。
そんな浮かれ野郎に根本はようやく口を開いた。
「愁ちゃん…」
「ん?」
「あの… もう会うのやめよ。」
「えっ、何?…」
突然の言葉に俺はピンと来ず、何がなんだかわからなくなかった。
「どうした?何かあったのか?」
俺の問いに根本は首を横に振った。
「愁ちゃんに悪いなって思ったの。
ワタシなんかと遊んでないで、もっと大学の友達を大切にした方がいいと思う。」
「ど、どうしたんだよ、急に…」
蒼の言葉に戸惑う俺は、焦りながら言った。
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