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親友
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根本 蒼太はいわゆるイケメンで性格も良く女子の人気も高かった。
おまけに勉強も出来てスポーツも万能なもんだから、クラスの中心にいつもいた。
つまり俺とは正反対のタイプで、普通なら絶対に仲良くならないはずだ。
なのに、根本ときたら、俺にどんどん話しかけてくるし、たまたま家の方角が同じだったこともあって、毎日一緒に帰ろうと誘ってきた。
クラスの連中はそんな根本の行動を不思議そうに見ては、首を傾げていたが、根本は全く気にする事なく俺と行動を共にした。
おかげで俺は小学校に入学して以来初めて
学校に行くのを楽しいと思えるようになり、生まれて初めて親友と呼べる存在を手に入れた。
でも、俺はそんな根本の友情と善意を完全に信用する事が出来ず、なんで自分と仲良くしてくれるのかと何度も聞いた。
根本はその度に笑い、決まって
「愁ちゃん、寂しそうにしとったけん、僕はそういうのをほっとけんから。」
と言った。
なんだ、同情から仲良くしてくれてんのか、なんて拗ねたこともあったけど、根本は同時にこうも言った。
「最初に愁ちゃんを見た時、なんとなく仲良く出来るじゃろなあって思たんじゃ。」
そのときは、コイツ、わけわからん事言うなあって思ったけど…
いや、実は今もようわからない。
ただ、悪い気はしなかった。
根本 蒼太
まあ、不思議なヤツだった。
子供のくせに感傷的な言葉を吐くし、全部兼ね揃えてるのに、どこか陰のあるヤツだった。
どれだけ仲良くなっても、その謎だけは解けないままだったし
お互いに触れないように暗黙の了解が出来ていた。
小学6年の卒業間近になって、俺はまた引っ越す事になり、根本ともそこでお別れとなった。
毎日互いの家に遊びに行ったりしてて
母親同士も仲良くなってたんで、これほど辛い引っ越しはなかった。
俺が引っ越す事を告げたときの根本の顔は今も忘れられない。
男のくせに、涙をぽろぽろこぼしやがってさ…
おかげで俺まで
なんか悲しくなって泣いてしまったっけ…
懐かしいなあ
おまけに勉強も出来てスポーツも万能なもんだから、クラスの中心にいつもいた。
つまり俺とは正反対のタイプで、普通なら絶対に仲良くならないはずだ。
なのに、根本ときたら、俺にどんどん話しかけてくるし、たまたま家の方角が同じだったこともあって、毎日一緒に帰ろうと誘ってきた。
クラスの連中はそんな根本の行動を不思議そうに見ては、首を傾げていたが、根本は全く気にする事なく俺と行動を共にした。
おかげで俺は小学校に入学して以来初めて
学校に行くのを楽しいと思えるようになり、生まれて初めて親友と呼べる存在を手に入れた。
でも、俺はそんな根本の友情と善意を完全に信用する事が出来ず、なんで自分と仲良くしてくれるのかと何度も聞いた。
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「最初に愁ちゃんを見た時、なんとなく仲良く出来るじゃろなあって思たんじゃ。」
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いや、実は今もようわからない。
ただ、悪い気はしなかった。
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子供のくせに感傷的な言葉を吐くし、全部兼ね揃えてるのに、どこか陰のあるヤツだった。
どれだけ仲良くなっても、その謎だけは解けないままだったし
お互いに触れないように暗黙の了解が出来ていた。
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毎日互いの家に遊びに行ったりしてて
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