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一点ビハインドの状況で、八回裏のマウンドに上がった優里は、気力だけは些かも衰えていなかった。
この回をテンポよく抑え、最終回の攻撃に繋げたい。
その思いが強く出たのか、先頭打者を二球で追い込んだ。
バッターは、たまらずタイムをかけ、一旦深呼吸をしてから再び構え直した。
優里は気にする事なく、すぐにサインに頷き、三球目を投げ込んだ。
「ストライッ!」
ど真ん中のボールだったが、バットが空を切り、三球三振となった。
「球威落ちてないな。水谷」
山東はベンチから優里の投球を見て、隣の敷島に言った。
「ああ。
大輔が俺より水谷を選んだ理由がよくわかるよ。
悔しいけど、良いピッチャーだよ。」
敷島は少し笑みを浮かべて言った。
「でも一点先に取れたし、あと一回抑えたら俺達の勝ちだよ。
向こうは二番から。
当然あの二人に打席が回ってくる。
さっきの作戦通り、二人とも歩かせて五番六番を抑えればいい。」
「ああ。わかってる。」
敷島は頷き、前を見据えていた。
この回、優里は高島大附属に付け入る隙を与えず、三者凡退で終わらせた。
優里は小走りで戻ってきたが、ベンチには入らず、組まれた円陣の中に入っていった。
村上は、皆を前にして、最後の檄を飛ばした。
「高島大相手にここまでよく持ち堪えた。
泣いても笑ってもこれが最後の攻撃だ。
今さら技術的なアドバイスをしても意味がないだろう。
俺から言えるのはただ一つ
思い切って行け!
悔いを残さないようにな!」
村上が言い終わると、皆が大きな声を出し、輪が解けた。
敷島は、投球練習をしながら、ネクストバッターズサークルに入ろうとする優里と、ベンチの前まで出てきた大輔をチラッと見た。
勿論、彼に慢心はなく、全力でこの回を抑える
それしか頭になかった。
この回をテンポよく抑え、最終回の攻撃に繋げたい。
その思いが強く出たのか、先頭打者を二球で追い込んだ。
バッターは、たまらずタイムをかけ、一旦深呼吸をしてから再び構え直した。
優里は気にする事なく、すぐにサインに頷き、三球目を投げ込んだ。
「ストライッ!」
ど真ん中のボールだったが、バットが空を切り、三球三振となった。
「球威落ちてないな。水谷」
山東はベンチから優里の投球を見て、隣の敷島に言った。
「ああ。
大輔が俺より水谷を選んだ理由がよくわかるよ。
悔しいけど、良いピッチャーだよ。」
敷島は少し笑みを浮かべて言った。
「でも一点先に取れたし、あと一回抑えたら俺達の勝ちだよ。
向こうは二番から。
当然あの二人に打席が回ってくる。
さっきの作戦通り、二人とも歩かせて五番六番を抑えればいい。」
「ああ。わかってる。」
敷島は頷き、前を見据えていた。
この回、優里は高島大附属に付け入る隙を与えず、三者凡退で終わらせた。
優里は小走りで戻ってきたが、ベンチには入らず、組まれた円陣の中に入っていった。
村上は、皆を前にして、最後の檄を飛ばした。
「高島大相手にここまでよく持ち堪えた。
泣いても笑ってもこれが最後の攻撃だ。
今さら技術的なアドバイスをしても意味がないだろう。
俺から言えるのはただ一つ
思い切って行け!
悔いを残さないようにな!」
村上が言い終わると、皆が大きな声を出し、輪が解けた。
敷島は、投球練習をしながら、ネクストバッターズサークルに入ろうとする優里と、ベンチの前まで出てきた大輔をチラッと見た。
勿論、彼に慢心はなく、全力でこの回を抑える
それしか頭になかった。
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