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均衡
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山東の打球はセンターの後方に上がり、そのまま勢いを増して伸びていった。
センターは背走しながら手を伸ばすも、球はその上を越え、フェンスにダイレクトで当たった。
ツーアウトでスタートの良かった敷島は、既にセカンドを大きく回っており、ホームにバックアップのために駆け込む優里を尻目に、悠々とホームインした。
センターからバックホームされなかった球は中継のショートに返され、セカンド上では、いつも冷静な山東が、自軍ベンチに向かって歓喜のガッツポーズを取った。
ついに均衡が破られた。
再びマウンド上に集まる咲聖内野陣。
「ごめん。甘く入っちゃった。」
優里は、大輔をはじめとする面々に謝った。
「いや、コースは悪くなかったよ。
相手が一枚上手だった。
よし、あと一人キッチリ行こう」
大輔が声をかけると、皆が声を上げ、それぞれの守備位置に戻っていった。
優里は、後ろを振り返り指を二本出すと、正面を向き直し、大輔の方を見た。
大輔は頷き、大丈夫だという意思表示をした。
優里は汗を拭き、一つため息をつくと、サインを覗き込み、小さく頷いた。
そして、セカンドランナーの山東を目で制しつつ、第一球を投じた。
「ストライっ!」
糸を引くようなストレートが内角に決まった。
続く二球目はカーブを投げ、ファール。
そして、三球目は再びストレートを一球目と同じコースに投げ、空振りの三振を奪った。
優里は駆け足でベンチに戻り、帽子を取って監督の村上に一礼した。
村上は表情を変えずに頷き
「よく後続を切ったな」
と、優里の健闘を称えた。
しかし、自軍がチャンスを潰し、相手には先制を許すという最悪の状況に陥り、村上は難しい選択を迫られる事となった。
センターは背走しながら手を伸ばすも、球はその上を越え、フェンスにダイレクトで当たった。
ツーアウトでスタートの良かった敷島は、既にセカンドを大きく回っており、ホームにバックアップのために駆け込む優里を尻目に、悠々とホームインした。
センターからバックホームされなかった球は中継のショートに返され、セカンド上では、いつも冷静な山東が、自軍ベンチに向かって歓喜のガッツポーズを取った。
ついに均衡が破られた。
再びマウンド上に集まる咲聖内野陣。
「ごめん。甘く入っちゃった。」
優里は、大輔をはじめとする面々に謝った。
「いや、コースは悪くなかったよ。
相手が一枚上手だった。
よし、あと一人キッチリ行こう」
大輔が声をかけると、皆が声を上げ、それぞれの守備位置に戻っていった。
優里は、後ろを振り返り指を二本出すと、正面を向き直し、大輔の方を見た。
大輔は頷き、大丈夫だという意思表示をした。
優里は汗を拭き、一つため息をつくと、サインを覗き込み、小さく頷いた。
そして、セカンドランナーの山東を目で制しつつ、第一球を投じた。
「ストライっ!」
糸を引くようなストレートが内角に決まった。
続く二球目はカーブを投げ、ファール。
そして、三球目は再びストレートを一球目と同じコースに投げ、空振りの三振を奪った。
優里は駆け足でベンチに戻り、帽子を取って監督の村上に一礼した。
村上は表情を変えずに頷き
「よく後続を切ったな」
と、優里の健闘を称えた。
しかし、自軍がチャンスを潰し、相手には先制を許すという最悪の状況に陥り、村上は難しい選択を迫られる事となった。
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