Two seam

フロイライン

文字の大きさ
上 下
90 / 119

反目

しおりを挟む
休み時間

敷島 光輝は血相を変えて、後ろのドアから教室に飛び込んできた。


「おい、大輔!」


「なんだよ?」

大輔は机の上に腰を下ろし、何人かと談笑していたが、敷島のその表情を見て、何故ここに来たのかをすぐに察した。

二人は教室を出て廊下に移動した。


「大輔!
友徳に行かないってのは本当か!」


「ああ。そうだよ」


「待てよ、一緒にセレクション受けるって言ってたじゃねえかよ」

「おいおい、高校野球のセレクションは禁止されてるぜ。
あくまでも練習見学だろ?」


「そんな事はどうでもいい!

お前、約束したじゃねえかよ
友徳に行って甲子園目指そうって!」


「気が変わったんだよ」


「気が変わった?

じゃあ、どこに?」


「丸和だよ」


「丸和?

何だよソレ、聞いた事ねえし。」


「他県の学校だからな。」


「何で他県なんだよ!

他県でもそこそこ強い学校は名前聞いたら何となくわかるけど、丸和なんて聞いた事もねえ。
なんでそんなとこに行くんだよ」


「水谷が丸和に入るからさ。」


「水谷?

水谷って、中央BCのか?」


「ああ。」


「…

たしかに試合で水谷の球を見た時、俺も驚いたけど

俺と比べてそこまで差があるとは思えねえし、いくら水谷とお前がいても、その丸和ってところじゃ予選を勝ち抜く事も出来ねえって。」


「いや、それでもかまわない。

俺は水谷とバッテリーを組みたい。
そう思っただけだ」





マウンドに上がる敷島を見つめながら、大輔は中学の時のやり取りを思い出していた。

結局、大輔は宣言通り丸和に入学し、優里とバッテリーを組んだが、紆余曲折があり、今はこの咲聖で再び優里の球を受けている。

一方の敷島は、祐徳に進まず、高島大附属に入学した。
お互いに地元を離れ、丸和と高島大附属ならば県が違うので予選で対戦する事はなかったが、咲聖に来たために奇跡的な再会を果たした。
それもこの決勝という舞台で。

(これも運命ってやつか)


と、俯いてニヤリと笑った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

OLサラリーマン

廣瀬純一
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

ビキニに恋した男

廣瀬純一
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

W-score

フロイライン
恋愛
男に負けじと人生を仕事に捧げてきた山本 香菜子は、ゆとり世代の代表格のような新入社員である新開 優斗とペアを組まされる。 優斗のあまりのだらしなさと考えの甘さに、閉口する香菜子だったが…

リアルフェイスマスク

廣瀬純一
ファンタジー
リアルなフェイスマスクで女性に変身する男の話

N -Revolution

フロイライン
ライト文芸
プロレスラーを目指す桐生珀は、何度も入門試験をクリアできず、ひょんな事からニューハーフプロレスの団体への参加を持ちかけられるが…

NH大戦争

フロイライン
ファンタジー
呪詛を家業として代々暮らしてきた二階堂家。 その二十六代目にあたる高校二年生の零は、二階堂家始まって以来の落ちこぼれで、呪詛も出来なければ、代々身についているとされる霊能力すら皆無だった そんな中、彼の周りで次々と事件が起きるのだが…

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々

yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。

処理中です...