Two seam

フロイライン

文字の大きさ
上 下
82 / 119

solution

しおりを挟む
優里は、マッサージを終えて部室に戻り、待ってくれていた大輔と一緒に学校を出た。




「優里、今日のお前、ホントにすごかった。」

大輔は優里の奇跡の投球を誉めた。

「そんな事ないよ。

でも、ここまで来たら行きたいよね


甲子園」


「そうだな。

一年の時は絶対に行けるって思ってたけど、不祥事の後、お前が辞めちゃってからは、内心諦めてたからな。」


「ごめんね…」


「いや、何にせよ、お前とこうやって一緒に野球がやれて、しかも決勝まで来れた事に、感謝しかないよ。

ありがとう。」


「お礼なんて言わないで。

ワタシ、大輔のためなら何だって出来るって思ってるの。」


「いや、俺のためじゃなくて、優里と俺、二人のために、互いに頑張ろうよ。」


「うん。そうだね

あ、大輔

これから、うちに寄ってかない?」


「ん?

いいけど」


「ちょっと相談があってね」


大輔は優里と付き合うようになってから、頻繁に家を頻繁に訪問していたが、準決勝の疲れがあるにもかかわらず、今日もまた来てしまった。



「大輔君、いらっしゃい」

優里の母千春が、お茶と菓子を持ってきて挨拶すると、大輔は恐縮して頭を下げた。



「ママ、これから大輔と大事な話をするから早く出てってよ」


「はいはい

大輔君ごゆっくりね」

千春は大輔に微笑みかけると、すぐに出て行った。
優里は内側から鍵をかけた。

「なんだよ、優里
お母さん可哀想じゃん

てか、大事な話って何だよ

決勝の事か?」



「そんなんじゃないよ

大輔、キスして」


優里は大輔に顔を近づけて言った。

大輔は少し固くなったが、自らも顔を近づけていき、唇を合わせた。

優里の意向なのか、なかなかキスをやめられず、一分以上激しいキスを続けた。

キスを終えると、優里は携帯の音楽を棚に置いてあるスピーカーで大きめの音で流した。
そして…

「大輔、好きっ」

と、言って大輔の胸に抱きついた。

大輔もそっと抱きしめた。


大輔の腕の中で、優里は幸せを噛み締めながらその甘い時間を楽しんでいたが、思い出したかのように大輔を見つめて、恥ずかしそうに言った。

「大輔…

今日さあ、ワタシ、トレーナーさんにマッサージ受けたって言ったでしょ?」


「ああ。」


「向こうはそんなつもりなかったと思うんだけど、太腿とか触られてたら、何か変な気持ちになっちゃって…」


「えっ、マジかよ」


「うん。
だから、大輔とこんな事がしたくなっちゃって…

ごめんね」


「いや、俺は嬉しいからいいけど」


大輔は顔を真っ赤にして言った。


「大輔、ちょっとお願いがあるんだけど」


優里も顔を赤らめて大輔を見つめた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

OLサラリーマン

廣瀬純一
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

ビキニに恋した男

廣瀬純一
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

W-score

フロイライン
恋愛
男に負けじと人生を仕事に捧げてきた山本 香菜子は、ゆとり世代の代表格のような新入社員である新開 優斗とペアを組まされる。 優斗のあまりのだらしなさと考えの甘さに、閉口する香菜子だったが…

リアルフェイスマスク

廣瀬純一
ファンタジー
リアルなフェイスマスクで女性に変身する男の話

N -Revolution

フロイライン
ライト文芸
プロレスラーを目指す桐生珀は、何度も入門試験をクリアできず、ひょんな事からニューハーフプロレスの団体への参加を持ちかけられるが…

NH大戦争

フロイライン
ファンタジー
呪詛を家業として代々暮らしてきた二階堂家。 その二十六代目にあたる高校二年生の零は、二階堂家始まって以来の落ちこぼれで、呪詛も出来なければ、代々身についているとされる霊能力すら皆無だった そんな中、彼の周りで次々と事件が起きるのだが…

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々

yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。

処理中です...