Two seam

フロイライン

文字の大きさ
上 下
80 / 119

God hand

しおりを挟む
興院との死闘を終え、バスで学校に戻ってきた選手たちを、理事長の西岡が出迎えた。

「いやあ、見事な試合をありがとう。」

バスから降りてくる一人一人に握手し、その戦いぶりを讃えた。

最後に降りてきた優里には、握手しながら

「水谷さん、素晴らしいピッチングでした」

と言うと、続けて

「水谷さん、今日はトレーナーの原沢さんに特別に来てもらっているから、後でマッサージを受けなさい」 

と、告げた。

前々から村上に優里に無理をさせられないと告げられていた西岡は、このような事態を見越してプロ野球チームのトレーナーをしていた事もある原沢に、特別に依頼してわざわざ学校に来てもらっていた。


村上は、その会話を横で聞いていたが

(さすがだな、理事長は。

やれるだけの事は全てやるってか)

と、思わず笑ってしまった。


優里はそこから他の部員とは別行動となり、自分用に設けられたシャワー室でシャワーを浴び、ジャージに着替えると、体育館内にあるトレーニングルームに向かった。

「失礼します。」

ドアをノックし、中に入ると、三十歳くらいのスポーツマンタイプの短髪で色黒の男性が座って待っていた。

「こんにちは
水谷さん?」


「はい、そうです。」


「初めまして、原沢と申します。
西岡理事長に依頼されてあなたの体のケアをするために、今日は来ました。
宜しく。」


「あ、わざわざすいません。

水谷優里と申します。
宜しくお願いします。」


「今日の試合で、すごいピッチングをしたそうだね。」


「いえ、そんな事ないです。」


「その華奢な体でよく投げれるね。
じゃあ早速マッサージをするので、そこに寝てくれる?」

優里は頷き、目の前のマッサージ用のベッドに仰向けに寝た。


「それでは始めるね。」


原沢は優里に体を起こさせ、後ろに回り込むと、右腕を取り、折り曲げて頭の後ろに持って来させた。

「うーん

かなりガチガチになってるね」

「そうですか?」

心地よいくらいの痛みを感じながら、原沢に答えた。

しかし、原沢は体がガチガチになっている事より、ある事に驚いていた。

それは、優里の肉体である。

触ってすぐに感じたのが、優里の体の柔らかさである。

それは柔軟性を指しているのではなく、単に柔らかいのだ。

職業柄、主に男子選手のマッサージをする事が多い原沢だが、時々女子アスリートのマッサージをする事もある。

しかし、優里の体は、男子は勿論、女子アスリートと比べても、明らかに皮下脂肪が多く付いていて柔らかく、筋肉がなかった。

(こんな体でよく投げれるもんだ…)

女性ホルモン剤により筋力が落ちて脂肪に変わってしまった優里の体をほぐしながら、原沢は優里の剛球のメカニズムを知りたいと、好奇心が湧いてきた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

OLサラリーマン

廣瀬純一
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

ビキニに恋した男

廣瀬純一
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

W-score

フロイライン
恋愛
男に負けじと人生を仕事に捧げてきた山本 香菜子は、ゆとり世代の代表格のような新入社員である新開 優斗とペアを組まされる。 優斗のあまりのだらしなさと考えの甘さに、閉口する香菜子だったが…

リアルフェイスマスク

廣瀬純一
ファンタジー
リアルなフェイスマスクで女性に変身する男の話

N -Revolution

フロイライン
ライト文芸
プロレスラーを目指す桐生珀は、何度も入門試験をクリアできず、ひょんな事からニューハーフプロレスの団体への参加を持ちかけられるが…

NH大戦争

フロイライン
ファンタジー
呪詛を家業として代々暮らしてきた二階堂家。 その二十六代目にあたる高校二年生の零は、二階堂家始まって以来の落ちこぼれで、呪詛も出来なければ、代々身についているとされる霊能力すら皆無だった そんな中、彼の周りで次々と事件が起きるのだが…

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々

yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。

処理中です...