76 / 119
八回表
しおりを挟む
大輔はベンチに戻ると、タオルをかぶってガックリと項垂れた。
甘い球を打ち損ねて、チームを敗色濃厚なところまで追い込んでしまった。
完全に自分のミスである。
これで終わった…
優里の頑張りに応えることも出来ずに…
だが、そんな感傷に浸る大輔をよそに咲聖のベンチが声を上げた。
続く田宮が最悪のゲッツーでチェンジ
にでもなったかと、顔を上げると
興院の二塁手とショートが後ろを向いている。
そして、その視線の先にいるセンターが背走し、フェンスに張り付き、ジャンプしてグラブを差し出した。
だが、打球はその上を越えると、バックスクリーンの芝生の上で跳ねるのが見えた。
キャプテン田宮の起死回生の同点ホームランだった。
「ここで打つのかよ」
スタンドで見ていた宮里が思わず感嘆の声を上げた。
「富田君と水谷さんが強力すぎて目立ってませんでしたが、田宮君も相当良いバッターですからね。」
今津は声を上擦らせながら言った。
田宮の一発で大いに盛り上がる咲聖ナインだったが、監督の村上だけが浮かない顔をしていた。
(同点に追いついたはいいが…
水谷は疲れてはいるが、この調子なら八回、九回ときっちり抑えるだろう。
しかし、ウチの打線で九回に点を取ることは出来まい。
延長…タイブレーク…)
ただでさえ優里を酷使しているという自覚があるのに、延長まで投げさせた確実に潰れてしまう…
既に岸はベンチに下がっている状況では、優里に投げてもらうしかないのだが。
(もし、決勝に行けたとしても、水谷は使わない。
いや、使えないだろう。
その覚悟でやるしかない)
村上は優里達に発破をかけ、守備につかせた。
優里は気持ちが乗っているのか、八回も完璧な投球で三者凡退に打ち取り、ベンチに帰ってきた。
九回の咲聖の攻撃は、八番からだったが、村上の予想通り、手も足も出ず三者三振に打ち取られた。
甘い球を打ち損ねて、チームを敗色濃厚なところまで追い込んでしまった。
完全に自分のミスである。
これで終わった…
優里の頑張りに応えることも出来ずに…
だが、そんな感傷に浸る大輔をよそに咲聖のベンチが声を上げた。
続く田宮が最悪のゲッツーでチェンジ
にでもなったかと、顔を上げると
興院の二塁手とショートが後ろを向いている。
そして、その視線の先にいるセンターが背走し、フェンスに張り付き、ジャンプしてグラブを差し出した。
だが、打球はその上を越えると、バックスクリーンの芝生の上で跳ねるのが見えた。
キャプテン田宮の起死回生の同点ホームランだった。
「ここで打つのかよ」
スタンドで見ていた宮里が思わず感嘆の声を上げた。
「富田君と水谷さんが強力すぎて目立ってませんでしたが、田宮君も相当良いバッターですからね。」
今津は声を上擦らせながら言った。
田宮の一発で大いに盛り上がる咲聖ナインだったが、監督の村上だけが浮かない顔をしていた。
(同点に追いついたはいいが…
水谷は疲れてはいるが、この調子なら八回、九回ときっちり抑えるだろう。
しかし、ウチの打線で九回に点を取ることは出来まい。
延長…タイブレーク…)
ただでさえ優里を酷使しているという自覚があるのに、延長まで投げさせた確実に潰れてしまう…
既に岸はベンチに下がっている状況では、優里に投げてもらうしかないのだが。
(もし、決勝に行けたとしても、水谷は使わない。
いや、使えないだろう。
その覚悟でやるしかない)
村上は優里達に発破をかけ、守備につかせた。
優里は気持ちが乗っているのか、八回も完璧な投球で三者凡退に打ち取り、ベンチに帰ってきた。
九回の咲聖の攻撃は、八番からだったが、村上の予想通り、手も足も出ず三者三振に打ち取られた。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説

W-score
フロイライン
恋愛
男に負けじと人生を仕事に捧げてきた山本 香菜子は、ゆとり世代の代表格のような新入社員である新開 優斗とペアを組まされる。
優斗のあまりのだらしなさと考えの甘さに、閉口する香菜子だったが…
NH大戦争
フロイライン
ファンタジー
呪詛を家業として代々暮らしてきた二階堂家。
その二十六代目にあたる高校二年生の零は、二階堂家始まって以来の落ちこぼれで、呪詛も出来なければ、代々身についているとされる霊能力すら皆無だった
そんな中、彼の周りで次々と事件が起きるのだが…

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる