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フロイライン

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温もり

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劇的な勝利の余韻に浸りながら、優里と大輔は二人で駅までの道を歩いていた。


「勝っちゃったな、優里」


「だね。
大輔のおかげだよ。」


「いや、お前が榮進打線を抑えてくれたから勝てたんだよ。

ありがとうな。

疲れてないか?」



「うん。ちょっとね…」



「明後日の準決勝は興院とだし、打ち合いになると思う。

序盤で打ち崩すから、上手くいけば優里を温存出来るかもしれない。」



「監督がどうするかだね。
ワタシは行くつもりでいるけどね。」


「いや、明後日はバッターに専念してくれよ。」



そんな話をしながら歩いていたが、優里が急に大輔を見つめた。


「大輔」


「ん?」


「手繋いでいい?」


「あ、ああ」


大輔はぎこちなく手を出すと、優里はニコッと笑いその手を掴んだ。



「うわーっ、なんか照れ臭い!」

大輔は恥ずかしさを誤魔化すために、大きな声で言った。


「照れないでよ、もう」

優里はかまわず、体を寄せた。



「優里…

あと二つ…
地区予選が終わったら、ゆっくりデートしたいな。」



「えっ、ホント!

頑張る!

でも、勝っても負けても、だからね。」



「そうだな。
でもここまできたら勝ちたいよな。」



「うん。
ワタシね、すごく野球が好きで、こんな体してても少しでも長くしたいって思ってたんだ。

でも、今は、大輔が野球で輝いてるところを見ていたいの…大きな舞台でね。」



「優里…

俺もそうだよ。丸和に入って、辞めて咲聖に来たのも、全てはお前と野球をするためだ。
お前の球を一球でも多く捕りたいってな。」



「ありがとう…
大輔がいなかったら、ワタシ…
野球を諦めたと思うしね。」


そんな優里の姿を見て、大輔は周りに人がいないのを見計らって、そっとキスをした。
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