Two seam

フロイライン

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戦評

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練習試合終了後、監督の村上はその後を休養に充てることを許し、部員は全員練習せずに帰宅した。

当の村上は西岡理事長に呼ばれ、理事長室を訪れていた。



「いやあ、村上君
見事な試合だったじゃないか。」


西岡は上機嫌で村上を労った。

「ありがとうございます。」

「神明といえば、甲子園出場こそないが、地区予選では常にベスト8以上になっている強豪校だよ。
あのスリークォーターで投げるピッチャーも良かったしね。」

「お詳しいですね。
たしかに…勝俣君でしたか…
彼の投球は見事でした。」


「それにしても水谷君は良いね
期待はしていたが、それ以上の出来で応えてくれたじゃないか。」


「ええ。さすがのピッチングでした。
あの投球が続けられるなら、少なくとも予選で失点する事はないでしょう。

ですが…」


「どうしたんだ?
何か気になる点でもあるのか?」


「やはり性転換して、体は女子になっていますので、体力がなく、疲れやすいし脆いです。

六回まで投げさせ、降板後はアイシングもさせましたが、連戦となると少し辛いかもしれません。」

「そうだな。女の子に無理はさせられんからな。
だが、岸君は後続をピシャリって感じのピッチャーじゃないしな。
リリーフをするには球が遅いし、変化球もイマイチだから、まあキツイな。」

「ウチの戦い方としては、水谷が投げれるだけ投げて、その間に一点でも多く取り、少しでも岸が楽な場面で投げられるようにしておかないとダメです。」

「まあ、水谷君、富田君、田宮君のクリーンナップトリオは他の強豪チームに引けを取っていないし、私は大いに期待しているよ。」


「ありがとうございます。
こうなると、ベンチワークが重要になってきますし、私も今年に全てを賭けています。」


村上は深く一礼して退出した。


西岡はソファにどかっと腰掛け、一つため息をついた。


そして、自身の悲願である咲聖の甲子園出場を夢見ずにはいられなかった。
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