Two seam

フロイライン

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二回表も優里は三者凡退で片付けたが、咲聖もその裏の攻撃を七番からの下位打線が凡退。

三回も完璧に抑え込んだ優里は、尻上がりに調子を上げた。

その裏の咲聖は一番からの攻撃だったが、一回裏のリプレイを見ているように一、ニ番が凡退。

優里の打席となった。

神明バッテリーは先ほどの教訓から、優里とはストライクゾーンで勝負しない選択をした。

しかし、優里を塁に出したら大輔が控えており、これはこれで絶対にまともには行けない。

二人から逃げられたとしても、さっきタイムリーを打った田宮がいる。

満塁策…

さすがにそこまで弱気な事は出来ない。
これはたかだか練習試合に過ぎないのだ。

西山はミットをポンと叩いて、勝俣に無言の檄を送った。

作戦変更

優里を確実に打ち取る!

勝俣はサインに頷き、スリークォーターで優里目がけて内角スレスレのストレートを思い切って投げ込んだ。

しかし、またもや優里は腕を器用に折り畳んで、上手く打ち返し、ボールは二塁の頭上を越えて、ライトの手前にワンバウンドした。


(上手い…)


西山は思わず、優里のバッティングに賛辞を送った。
もちろん心の中で、ではあるが。
勝俣の投球はそれほど悪いと思えなかったから、余計に優里の巧さが際立って感じられたのだ。


次打者の大輔は敬遠気味のファーボールで一、二塁としたが、田宮は相手のファインプレイもあって、センターフライに倒れ、この回は無得点で終わった。


優里はその後も快投を続け、神明打線を六回無安打、一四球に抑え、咲聖での男子野球部員としてのデビュー戦を終えた。


2対0の七回からは優里が来るまではエースだった岸が登板し、三イニングをヒット二本に四死球二つ、失点1で辛うじて逃げ切った。

強豪校と比べれば決して打線は強力ではなく、繋がりにも欠けているが、優里、大輔、田宮のクリーンナップは期待を持たせるだけのものを持っており、優里の投球はレベルが違った。

この試合にも密着していたテレビ、そして新聞にも取り上げられ、優里は、予選を前にして驚くほどの有名人になりつつあった。
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