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男子達に混じって練習に精を出す少女
長い髪を靡かせて投じるボールは140キロ台後半を記録する。
彼女の名前は水谷優里さん
私たちが最初に彼女を取材したとき、女子野球部の一員として全国大会の制覇を目指していました。
そのとき捕手としてバッテリーを組んでいた木山すみれさんは、優里さんの印象をこう語っています。
「すごく可愛くて、特別体が大きいわけでもなかったんですけど、優里が投げたボールが今まで見たことないくらいの速さで、全然捕る事が出来ませんでした。」
しかし、今は女子の大会ではなく夏の甲子園を目指し、日夜練習に励む日々を送っています。
何故、彼女は女子野球部ではなく男子達と一緒に野球をしているのでしょうか…
その理由を知るには幼少期にまで遡らなければなりません。
優里さんは、2006年に男の子としてこの世に生を受けました。
しかし、優里さんは物心ついた時から、男の子らしい遊びに一切関心を示さず、周りにはいつも女の子ばかりでお人形遊びを好んでしていたそうです。
優里さんは、自分の事を女の子だと思っていたのです。
そんな優里さんの行く末に不安を持った父親の謙二さんが、自身もやっていた野球をやらせる事に…
男の子の遊びに関心のなかった優里さんですが、、何故か野球は気に入り、小学校に入学してからは少年野球チームに入り、本格的にやり始めたのです。
「野球が楽しくて、ボールを追いかけている時だけは、自分が何者なのか、男なのか女なのかなんて全て忘れて、すごく集中出来ていました。」
そして、中学生のときには県の大会でエースとしてチームを引っ張り優勝、その名が一躍知れ渡ることになります。
その当時、同い年で活躍していた富田大輔君は今、この咲聖学園の野球部で優里さんとバッテリーを組んでいます。
「びっくりしました。
自分より野球が上手い同級生って、それまでに見た事がなかったので、水谷の球を最初に見た時、ヤバって…」
富田君は当時を思い出して苦笑い
そんな二人ですから、強豪校から熱心な誘いを受けますが、優里さんは頭を丸める事に抵抗を感じて断念。
県立の公立高校(丸和高校)に進学します。
富田君も優里さんと一緒のチームでプレイする為に後を追うようにして受験、二人して野球では全く無名の高校に入学したのです。
強豪校ではなかったのが幸いしたのか、二人は入学してすぐにレギュラーとなり、バッテリーを組みます。
超高校級の二人でしたが、無名校に来た為にそれほどの話題にならず、その名が知れ渡ったのは夏の甲子園への予選、県大会の一回戦のときです。
自分達と同じ公立高校が相手とはいえ、優里さんが圧巻の投球で、5回コールドながら15のアウトのうち13個の三振を奪うパーフェクピッチングで勝利投手となりました。
富田君も推定150mの豪快なホームランをレフトに放ち、四番として大活躍。
ひょっとして甲子園に行けるのでは!
と、関係者の期待を一心に集めたのです。
しかし、二回戦を前に野球部内で不祥事が発生
丸和高校は事件発覚の翌日、大会への出場辞退を決め、二人の短い夏はあっけなく終わったのでした。
長い髪を靡かせて投じるボールは140キロ台後半を記録する。
彼女の名前は水谷優里さん
私たちが最初に彼女を取材したとき、女子野球部の一員として全国大会の制覇を目指していました。
そのとき捕手としてバッテリーを組んでいた木山すみれさんは、優里さんの印象をこう語っています。
「すごく可愛くて、特別体が大きいわけでもなかったんですけど、優里が投げたボールが今まで見たことないくらいの速さで、全然捕る事が出来ませんでした。」
しかし、今は女子の大会ではなく夏の甲子園を目指し、日夜練習に励む日々を送っています。
何故、彼女は女子野球部ではなく男子達と一緒に野球をしているのでしょうか…
その理由を知るには幼少期にまで遡らなければなりません。
優里さんは、2006年に男の子としてこの世に生を受けました。
しかし、優里さんは物心ついた時から、男の子らしい遊びに一切関心を示さず、周りにはいつも女の子ばかりでお人形遊びを好んでしていたそうです。
優里さんは、自分の事を女の子だと思っていたのです。
そんな優里さんの行く末に不安を持った父親の謙二さんが、自身もやっていた野球をやらせる事に…
男の子の遊びに関心のなかった優里さんですが、、何故か野球は気に入り、小学校に入学してからは少年野球チームに入り、本格的にやり始めたのです。
「野球が楽しくて、ボールを追いかけている時だけは、自分が何者なのか、男なのか女なのかなんて全て忘れて、すごく集中出来ていました。」
そして、中学生のときには県の大会でエースとしてチームを引っ張り優勝、その名が一躍知れ渡ることになります。
その当時、同い年で活躍していた富田大輔君は今、この咲聖学園の野球部で優里さんとバッテリーを組んでいます。
「びっくりしました。
自分より野球が上手い同級生って、それまでに見た事がなかったので、水谷の球を最初に見た時、ヤバって…」
富田君は当時を思い出して苦笑い
そんな二人ですから、強豪校から熱心な誘いを受けますが、優里さんは頭を丸める事に抵抗を感じて断念。
県立の公立高校(丸和高校)に進学します。
富田君も優里さんと一緒のチームでプレイする為に後を追うようにして受験、二人して野球では全く無名の高校に入学したのです。
強豪校ではなかったのが幸いしたのか、二人は入学してすぐにレギュラーとなり、バッテリーを組みます。
超高校級の二人でしたが、無名校に来た為にそれほどの話題にならず、その名が知れ渡ったのは夏の甲子園への予選、県大会の一回戦のときです。
自分達と同じ公立高校が相手とはいえ、優里さんが圧巻の投球で、5回コールドながら15のアウトのうち13個の三振を奪うパーフェクピッチングで勝利投手となりました。
富田君も推定150mの豪快なホームランをレフトに放ち、四番として大活躍。
ひょっとして甲子園に行けるのでは!
と、関係者の期待を一心に集めたのです。
しかし、二回戦を前に野球部内で不祥事が発生
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