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鍛錬
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咲聖には専属のフィジカルトレーナーがいて、選手それぞれの体に合ったメニューを提示している。
これは西岡理事長になってからの事で、トレーニングに関する事には、皆が驚くほどのコストをかけていた。
「水谷さん、今日から別メニューでトレーニングを開始します。
私はこの部の専属のフィジカルコーチを週三回担当している、山本翔太といいます。
よろしく」
「はい。」
「たしか、あなたは一年のとき155キロのボールを投げていたと聞きましたが」
「はい、そうです」
「で、今は体の事もあって、そこまでのスピードが出ていないと?」
「はい」
「あなたのように小柄な選手は、全身の筋肉と柔軟さ…いわゆるバネを使った投球をしないと、速い球は投げられませんが、性転換による筋力の低下でその部分のバランスに狂いが生じていると、私は見ています。」
「ワタシもそう思います。」
「球速を取り戻す為にはただ闇雲にランニングするだけでは効果は得られません。
内転筋などをパーツ毎に鍛える事によって改善がなされるでしょう。
それでは膝と両手を地面について下さい」
山本は優里に対し、自身が作ってきたトレーニングのプログラムを提示し、毎日、全体の練習が始まる前に時間をかけて実践した。
予選まで時間があまりにも不足する中、優里のコンディションは急速に改善し、わずか数日でボールの威力が見違えるようになった。
「149キロ…
すごいですね、監督」
部長の光岡がスピードガンの表示を見て感嘆の声を上げると、村上は大きく頷いた。
「たしかに高い金を出してプロのコーチによるフィジカルトレーニングの効果があったのは間違いないよ。
でも、水谷は一年の夏に155キロの球を放ってたんだ。
これくらいの球はその気になればいつでも投げられる
私はそう思ってたよ。」
「ですが、こんなに早く結果を出すとは」
「今度の神明との練習試合、水谷を先発させる。
いいな。」
村岡は力強さとしなやかさを持った優里の投球フォームを見て、さらに自信を深めていった。
これは西岡理事長になってからの事で、トレーニングに関する事には、皆が驚くほどのコストをかけていた。
「水谷さん、今日から別メニューでトレーニングを開始します。
私はこの部の専属のフィジカルコーチを週三回担当している、山本翔太といいます。
よろしく」
「はい。」
「たしか、あなたは一年のとき155キロのボールを投げていたと聞きましたが」
「はい、そうです」
「で、今は体の事もあって、そこまでのスピードが出ていないと?」
「はい」
「あなたのように小柄な選手は、全身の筋肉と柔軟さ…いわゆるバネを使った投球をしないと、速い球は投げられませんが、性転換による筋力の低下でその部分のバランスに狂いが生じていると、私は見ています。」
「ワタシもそう思います。」
「球速を取り戻す為にはただ闇雲にランニングするだけでは効果は得られません。
内転筋などをパーツ毎に鍛える事によって改善がなされるでしょう。
それでは膝と両手を地面について下さい」
山本は優里に対し、自身が作ってきたトレーニングのプログラムを提示し、毎日、全体の練習が始まる前に時間をかけて実践した。
予選まで時間があまりにも不足する中、優里のコンディションは急速に改善し、わずか数日でボールの威力が見違えるようになった。
「149キロ…
すごいですね、監督」
部長の光岡がスピードガンの表示を見て感嘆の声を上げると、村上は大きく頷いた。
「たしかに高い金を出してプロのコーチによるフィジカルトレーニングの効果があったのは間違いないよ。
でも、水谷は一年の夏に155キロの球を放ってたんだ。
これくらいの球はその気になればいつでも投げられる
私はそう思ってたよ。」
「ですが、こんなに早く結果を出すとは」
「今度の神明との練習試合、水谷を先発させる。
いいな。」
村岡は力強さとしなやかさを持った優里の投球フォームを見て、さらに自信を深めていった。
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