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宣告
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「水谷、ちょっと監督室に来てくれるか」
みんなはそのまま練習を続けてくれ」
練習の冒頭で、監督の小林が優里を呼び、二人でグランドから出て行った。
「すみれ、監督と優里…
一体何の話するんだろ?」
「知らない。
さあ、練習よ練習」
そう言いながらも、すみれは嫌な予感しかしなかった。
監督室に入ると、小林はパイプ椅子を出し、優里に座るように言い、自分も向かい側に腰掛けた。
「水谷…
今日、連盟から連絡があってな…
非常に残念な知らせなんだが、お前の大会への参加が出来なくなってしまった。」
「えっ
どうしてですか?」
優里は驚いた様子で、目を見開き、小林に言った。
「我々が出した申請を却下したんだ。
その理由として、水谷が性別変更が出来る十八歳に達していないことが一番の理由で
医療機関に出してもらったテストロン値などのデータは問題がなかったみたいだ。」
「ワタシ、出られないんですか…」
「残念だ…お前にかけてやる言葉も出てこないくらいなんだが…すまん…こちらの力不足でこのような事になって…」
優里は両手で顔を覆って泣き出し、肩を震わせた。
その後、練習を中断して全員が集められ、小林から説明があった。
「というわけで、こういう結果になってしまったが、残りのメンバー全員で水谷の思いを受け継いで、大会に臨もう…」
小林は隣りで顔を覆って泣く優里を慮りながら、敢えて強い口調で語った。
すみれ以下、全員が涙を流し、グランド一帯がお通夜のような雰囲気になってしまっていた。
最後に優里は
「ワタシのせいで…こんな事になってしまい
本当に申し訳ありません…
みんなが大会で頑張ってくれる事を心から祈り、応援しています。」
と、嗚咽しながら全員に伝えた。
そして、その後の練習に優里は参加せず、グランドから立ち去った。
勿論翌日から顔を出さなくなり、夢を叶える事なく女子野球部部員としての活動を終えたのである。
みんなはそのまま練習を続けてくれ」
練習の冒頭で、監督の小林が優里を呼び、二人でグランドから出て行った。
「すみれ、監督と優里…
一体何の話するんだろ?」
「知らない。
さあ、練習よ練習」
そう言いながらも、すみれは嫌な予感しかしなかった。
監督室に入ると、小林はパイプ椅子を出し、優里に座るように言い、自分も向かい側に腰掛けた。
「水谷…
今日、連盟から連絡があってな…
非常に残念な知らせなんだが、お前の大会への参加が出来なくなってしまった。」
「えっ
どうしてですか?」
優里は驚いた様子で、目を見開き、小林に言った。
「我々が出した申請を却下したんだ。
その理由として、水谷が性別変更が出来る十八歳に達していないことが一番の理由で
医療機関に出してもらったテストロン値などのデータは問題がなかったみたいだ。」
「ワタシ、出られないんですか…」
「残念だ…お前にかけてやる言葉も出てこないくらいなんだが…すまん…こちらの力不足でこのような事になって…」
優里は両手で顔を覆って泣き出し、肩を震わせた。
その後、練習を中断して全員が集められ、小林から説明があった。
「というわけで、こういう結果になってしまったが、残りのメンバー全員で水谷の思いを受け継いで、大会に臨もう…」
小林は隣りで顔を覆って泣く優里を慮りながら、敢えて強い口調で語った。
すみれ以下、全員が涙を流し、グランド一帯がお通夜のような雰囲気になってしまっていた。
最後に優里は
「ワタシのせいで…こんな事になってしまい
本当に申し訳ありません…
みんなが大会で頑張ってくれる事を心から祈り、応援しています。」
と、嗚咽しながら全員に伝えた。
そして、その後の練習に優里は参加せず、グランドから立ち去った。
勿論翌日から顔を出さなくなり、夢を叶える事なく女子野球部部員としての活動を終えたのである。
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