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野球部を辞めた優里は、普段から通っている病院に行き、今後の治療方針についての話を聞いていた。
「今の医学では男性を女性にする事は出来ない。
あくまでも法的にそれを認めさせるために外見を少しいじるだけで、完全なる性転換というものは不可能だという事をよく理解して下さい。」
優里が通う病院の医師、堤孝之は優里と母の千春に向かって話をした。
「これから女性ホルモンの投与を行っていきますが、一度始めて一定期間過ぎると体は元には戻りません。
不可逆性のある行為なのです。
そして、薬の副作用も個人差はありますがキツイとされています。
しかも、半年以上経過すると投与をやめることも出来なくなるんです。
ですから始める前によく考えていただきたいんです。
ご本人とお母さんで。」
「私としては心配な事だらけで慎重に考えたいと思ってたんですが、この子の思いというか覚悟も、ずっと聞いてきましたし、私なりに勉強してきて、優里の苦しみを解放するには致し方ないのだと思っています。」
「優里さん。
あなたは高校で野球をやっているそうですね。
一年生で150キロのボールを投げられるなんてすごいと思います。
ですが、この治療を始めると筋力が落ち、体調も優れない日が多くなりますので、もう今までのような運動をする事が困難になります。」
「はい。
野球はもうするつもりはありませんし、大丈夫です。」
優里の意思は明確であった。
こうして、辛くて長い性転換への道が始まった。
しかし、優里は希望に満ち満ちた表情をしていたのである。
「今の医学では男性を女性にする事は出来ない。
あくまでも法的にそれを認めさせるために外見を少しいじるだけで、完全なる性転換というものは不可能だという事をよく理解して下さい。」
優里が通う病院の医師、堤孝之は優里と母の千春に向かって話をした。
「これから女性ホルモンの投与を行っていきますが、一度始めて一定期間過ぎると体は元には戻りません。
不可逆性のある行為なのです。
そして、薬の副作用も個人差はありますがキツイとされています。
しかも、半年以上経過すると投与をやめることも出来なくなるんです。
ですから始める前によく考えていただきたいんです。
ご本人とお母さんで。」
「私としては心配な事だらけで慎重に考えたいと思ってたんですが、この子の思いというか覚悟も、ずっと聞いてきましたし、私なりに勉強してきて、優里の苦しみを解放するには致し方ないのだと思っています。」
「優里さん。
あなたは高校で野球をやっているそうですね。
一年生で150キロのボールを投げられるなんてすごいと思います。
ですが、この治療を始めると筋力が落ち、体調も優れない日が多くなりますので、もう今までのような運動をする事が困難になります。」
「はい。
野球はもうするつもりはありませんし、大丈夫です。」
優里の意思は明確であった。
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しかし、優里は希望に満ち満ちた表情をしていたのである。
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