Two seam

雷鳴

合宿生活で使用している食堂に、野球部員全員が集められていた。

「試合で疲れているところすまない。
みんなに話しておかなければならない事があって集まってもらった。」

園山がそう言うと、そこにいた全員が何やらイヤな予感がして、少し表情が強張った。

「実は、先ほど学校に連絡が入り、当校の…
野球部員と元部員の二名が他校の生徒に暴行を加えた後、金品を強奪して警察に逮捕されたそうだ。」

「えっ！」

キャプテンの狩野が思わず声を上げた。

「まだ詳しい事はわかってないが、今言った事は概ね事実だと思ってくれてかまわない。」

「監督、それって西原と峰山ですか？」

狩野の問いに園山は肯定も否定もしなかった。
しかし、誰がどう考えてもこの二人しか頭に浮かぶ者はいなかった。

「とにかく、詳細がわかるまでは何も出来ないが、高野連には事実関係を速やかに報告する事になる。」

「そんな…出場辞退になるんですか…」

大輔は呆然としながら呟くように言った。

「いや、今の段階では何とも言えない。明日以降に動きがあると思う。」

園山は話を終えるとすぐにその場を後にしたが、残された部員達は椅子から立ちあがろうとせず、絶望感に包まれながら俯いたままだった。

「クソッ、最悪じゃねーかよ！」

「絶対に出場辞退だって、間違いない」


大輔は何も発言しなかったが、優里の顔が浮かび、食堂を出ると、携帯を取り出し、しばらく画面を見つめ、意を決したように電話をかけたのだった。