16 / 109
流転
しおりを挟む
試合を終えた丸和のメンバー達は、学校所有のバスに乗り、学校に戻ってきた。
「はいっ集合」
監督の園山はでっぷりとしたお腹を突き出しながら歩いて、皆の前に立つと、表情を変える事なく淡々と話し始めた。
「みんな、今日はご苦労様。
本当によく頑張ってくれた。
さあ、次は強豪の西江田との試合だ。
今日のようにはいかないだろうが、当たって砕けろの精神でチャレンジしよう!」
「はいっ!」
メンバーは全員頭を下げた。
大会期間中は学校で合宿を張り、皆で共同生活を送っている。
しかし、優里だけはユニフォーム姿のまま、大きなバッグを肩から提げて
「それでは、失礼します。」
と、言うと、頭を下げて帰ってしまった。
「相変わらずだなあ、水谷のマイペースは。」
三年生でキャプテンの狩野が言うと、大輔は去っていく優里の後ろ姿を見ながら
「体調がずっと良くないらしくて、ここで合宿生活するのはちょっとしんどいみたいです。」
と、言った。
「まあ、監督も認めてる事だし、アイツがいなきゃ今日だって勝ててたかわかんねえし、いいんじゃないの。
試合でしっかり投げてくれるなら。」
「そうですね。」
そのときである。
園山監督の携帯が鳴ったのは。
「はい、もしもし…」
園山はしばらく相手の話を聞いていたが、突然
「えっ?どういうことですか!」
と、少し取り乱したような声を上げ、電話しながら部室を出て行った。
「何なんですかね。」
「さあ、俺らは二回戦の事だけ考えてればいいさ。」
狩野は達観したような表情を浮かべた。
「はいっ集合」
監督の園山はでっぷりとしたお腹を突き出しながら歩いて、皆の前に立つと、表情を変える事なく淡々と話し始めた。
「みんな、今日はご苦労様。
本当によく頑張ってくれた。
さあ、次は強豪の西江田との試合だ。
今日のようにはいかないだろうが、当たって砕けろの精神でチャレンジしよう!」
「はいっ!」
メンバーは全員頭を下げた。
大会期間中は学校で合宿を張り、皆で共同生活を送っている。
しかし、優里だけはユニフォーム姿のまま、大きなバッグを肩から提げて
「それでは、失礼します。」
と、言うと、頭を下げて帰ってしまった。
「相変わらずだなあ、水谷のマイペースは。」
三年生でキャプテンの狩野が言うと、大輔は去っていく優里の後ろ姿を見ながら
「体調がずっと良くないらしくて、ここで合宿生活するのはちょっとしんどいみたいです。」
と、言った。
「まあ、監督も認めてる事だし、アイツがいなきゃ今日だって勝ててたかわかんねえし、いいんじゃないの。
試合でしっかり投げてくれるなら。」
「そうですね。」
そのときである。
園山監督の携帯が鳴ったのは。
「はい、もしもし…」
園山はしばらく相手の話を聞いていたが、突然
「えっ?どういうことですか!」
と、少し取り乱したような声を上げ、電話しながら部室を出て行った。
「何なんですかね。」
「さあ、俺らは二回戦の事だけ考えてればいいさ。」
狩野は達観したような表情を浮かべた。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
W-score
フロイライン
恋愛
男に負けじと人生を仕事に捧げてきた山本 香菜子は、ゆとり世代の代表格のような新入社員である新開 優斗とペアを組まされる。
優斗のあまりのだらしなさと考えの甘さに、閉口する香菜子だったが…
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
NH大戦争
フロイライン
ファンタジー
呪詛を家業として代々暮らしてきた二階堂家。
その二十六代目にあたる高校二年生の零は、二階堂家始まって以来の落ちこぼれで、呪詛も出来なければ、代々身についているとされる霊能力すら皆無だった
そんな中、彼の周りで次々と事件が起きるのだが…
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる