11 / 98
王都ではじめての夜を迎えそうです。
しおりを挟む
「つぎぃ! おねーさん、お肉もりもりスパイシープレートと、お酒もおかわりぃ!」
「はぁーい!」
酒場に入った俺たちは、次から次へと飯と酒を頼み続けていた。
う……うめぇ……! 久しぶりに塩コショウ以外で味がついた肉を食べられている……!
それに酒もすっげぇ安酒の味なのに、久しぶりのせいかやたらとうめぇ……!
「超古代文明レベルの飯と酒なんざ期待してなかったが、こりゃわるくねぇなぁ!」
「おいひー! マグナぁ、わたしもお酒ぇ!」
「ふむ……マグナの焼いた肉よりは幾分かマシですね」
『不純物の多そうな酒だな』
ノリノリで食事を楽しんでいるのは俺とリュインだけっぽい。いや、案外アハトも楽しんでいそうではあるが。
つか今、俺の焼いてやっていた肉にケチをつけなかった?
「しっかし客も店員も、アハトとリュインばかり見てんなー」
「うっふふん。そりゃわたしがあまりにかわいいから! でしょ!」
「わたしの美しさについては、今さら語るまでもないかと」
「リュインはともかく、アハトは実際なにも言い返せねぇ……」
なにせ計算されつくされた美貌だからな!
リュインはあれだ、たぶん〈フェルン〉が珍しいのだろう。王都でもちらほらと飛んでいたが、あんまり人と親しげにしている奴はいなかった。
「……なぁリュイン。他のフェルンって、お前みたいに人間と一緒に行動とかしてねぇの?」
「んー……? どうだろ……冒険者として活躍している〈フェルン〉とかなら、わたしみたいにパーティを組んでいるだろうけど。あとはペットとして飼われている以外だと、あんまりないんじゃないかなぁ」
話しながらリュインは、口周りについた麦酒の泡を雑に拭う。
「ぺ……ペット……」
「うん。ほら、前も言ったけど。人間の中にはわたしたちを捕まえて、そのまま金持ちに売り飛ばそうとしている奴もいるしぃ。あ、でも前までわたしがいてた国だと、わりと人と話す〈フェルン〉は多かったかも!」
〈フェルン〉は外敵が多いからな。普通はもうすこし警戒心が強い妖精なのかもしれない。
「お前、よく自分から俺たちにパーティを組もうと提案したな……」
「だぁってマグナたちは異世界人だし。それに強いし。ギブアンドテイクが成り立つと確信があったのよ!」
自信満々に胸を張る。まぁ妖精を連れてファンタジー世界を旅できている時点で、たしかに俺にメリットはあるけどな! ギブアンドテイクが成り立ってやがるぜ!
それに以前、リュインは自分のことを「風のフェルンだからあっちこっちに行っている」みたいに話していた。性格も関係しているんだろうな。
「ふむ……しかし妙ですね」
上品に麦酒を飲みながら、アハトは小さく呟く。
「あん? なにがだ?」
「誰もがわたしの美しさに釘付けだというのに……だれ1人として、このテーブルに絡みにこないではないですか。普通ならここで、姉ちゃん俺たちと酒を飲もうぜぇ。そんな冴えないアホ面した男なんて放っておいてよぉ。俺たちならそんな男より、もっと楽しませてやれるぜぇ? ……という展開になるはずです」
「まてぃ! だれがアホ面した男やねん!」
アハトは抑揚のない声で、淡々と野蛮な男たちのセリフを吐く。ったく……なにを考えてやがんだか。
しかしたしかにそういうお約束があっても……という気持ちはわかる。
だが現実として、みんな遠巻きにこちらを見ているだけで、積極的に絡んできそうな奴は見当たらなかった。
「あれかな。〈フェルン〉と一緒に飲んでる人間があまりに奇妙すぎんのかね」
「そんなわけないでしょ!」
「あだ!?」
宙に浮いたリュインが、俺のおでこにチョップをかましてくる。
こ……こいつ……! ここにハエたたきがなくてよかったなぁ……!?
「単純にアハトのことを、貴族だと思っているのよ」
「…………え?」
「まず見た目! こんなに美しい女性なんて、〈フェルン〉か貴族くらいなものよ!」
お前、どれだけ自分の種族に自信を持っているんだ……。
「そしてコレよ!」
そう言って指さしたのは、テーブルに立てかけてあるアハトのハルバードだった。
「うん? 武器のことか?」
「我が愛槍、閃星煌刃アークマルドのことですね」
「無駄にかっこいい名前つけてんのな……」
俺もいい感じの名前をつけようかな……。
俺の剣もアハトのハルバードも、リリアベルが廃材をそういう形を整えただけで、まったく装飾はないのだが。
「身体を鍛えていなさそうなアハトが、こんなにごっつい武器を持っているんだもの。どう見ても魔力で身体能力を強化して振るうための得物でしょう?」
「え。魔力って、身体能力の強化とかできんの?」
「この見た目で魔力持ち……どこのお貴族様だろうってみんな思うのよ。レグザもそう考えて、自分からアハトに話しかけなかったしぃ」
そうだったのか……。まったく気づかなかったぜ……!
もしかしたら馬車に乗せてくれたのも、アハトのことを貴族だと考えたからかもしれない。お貴族様が自分で使用するために、魔晶核を採取していたと思ったのかな。
…………ん?
「いやまて。やはりそれはおかしい」
「なにがよ?」
「俺は正真正銘の特権階級生まれだぞ!? 銀河で上から数えた方がはやいくらいには、育ちもいい男だぞ!? アハトよりも俺の方が、高貴なオーラを出しているはずだ……! 隠しきれないほどのな……!」
「育ちは顔に出るから、それはウソよ」
「ウソじゃねぇよ!?」
すっげぇ暴言を吐かれた! 泣きそう!
そんなしょうもない言い合いを繰り返しつつ、どんどん酒を飲んでいく。いい感じに気持ちよくなれたところで、お会計を頼んだ。
「ありがとうございまーす! 1万7千エルクでーす!」
「お。案外安いな」
まぁガツガツ飲んで食っていたのは俺くらいだしな。懐には40万あるし、なんなら魔晶核にはまだまだ余裕がある。しばらく金の心配はいらなさそうだ。
「お姉さん。宿とかってどの辺りにあるか教えてくれない?」
「えぇ~~っ!? 食事を終えて……いよいよそういうカンジですかぁ!?」
どういう感じだ……。ケモミミお姉さんは、俺とアハトを意味深に見てくる。
「そぉですねぇ……すこ~し治安はわるいんですケドぉ。大通りを一本西に移動すれば、そういう感じの宿がたくさんありますよぉ」
「お、サンキュ」
さすがに今日はもう休みたい。王都探索は明日だな。日が昇ってからの方が見やすいだろうし、人もまた活気づくしな。
そんなわけで、俺たちは酒場を出る。ボソっと「従者との許されない関係か……」みたいな言葉が聞こえてきた。
■
「そういうカンジって……こういうカンジのことかよ……!」
俺たちは今、宿が立ち並ぶ通りを歩いていた。周囲にはカップルがいちゃつきながら、いかにもな雰囲気をした宿へと消えていく。
「つか今さらだけどよ。電気もないのに、街灯とかどうやって光ってんだ。あと宿の看板もすっげぇピンクに発色してるし」
「魔道具よ。魔力を込めて、ああいう光り方をしているの」
『なるほど……道理で文明レベルのわりに明るい町だと思ったぞ』
こりゃまちがいねぇな。要するにアレだ。夜になっていい感じになった男女が、愛と欲望を発散させる宿だ。
く……! 正直言って、俺も発散させてぇ……!
「ふむ……ではマグナ。どの宿にしますか?」
「んぶふっ!?」
シレっとアハトさんから提案され、思わずせき込んでしまう。
「いやどの宿て……アハト、この辺りの宿がなんなのかわかってんのか?」
こういうところはやっぱりアンドロイドなんだなぁ……と思っていたら、びっくり仰天の言葉がその唇から紡がれた。
「もちろん理解していますよ。女は股を開き、男は獣となって愛を深め、欲望を満たし合う。いわゆる性行為を目的として宿でしょう?」
「ばっちりわかってんのかい!」
「当然です。むしろ見てわからない方が問題でしょう」
なぜか俺が諭されている……!?
まぁそれがわかっているからといって、別にアハトが行為をオッケーしてくれるわけでもないのだが。
「ま……まぁ、今夜泊まる場所は必要だもんなぁ……」
「あるいは今から人目につかない路地裏か、一度王都の外へ出て転移装置を設置するという手もあります」
「あ……そういやそうだ」
リリアベルが作成した転移装置は残り2つ。ここは王都だし、近くに設置するのはアリだろう。
俺の足だと微妙にキルヴィス大森林入り口に設置した転移装置まで遠いし。
まぁ設置後、数時間経過しないと使用できないんだけどな。
「なら今夜はどこかに転移装置を設置して、シグニールに……」
「まぁわたしは。今夜は気分がいいので、すこしくらいなら相手をしても構いませんよ……?」
「……………………。え? マジで?」
アハトがここぞとばかりに、男心をくすぐるような言葉を話してくれる。
ま……まさか……。これがアハトを作成した研究者たちの追い求めたロマン……!?
「異世界ファンタジー情緒あふれる王都、そして宿。シチュエーションとしては申し分ありません」
どうやら今宵は、アハトさんの琴線に触れるなにかがあったらしい。しかしこれはチャンス……っ!
「ど……ドキドキ……! 人間の睦事がはじまるのね……!」
「なんでついてくるつもりしてんだ!?」
「なによ! わたしだけ宿なしにするつもり!?」
『どうでもいいが、宿に入るならはやくしろ。ここで立ち止まっていても、余計に目立つだけだ』
言われてハッとする。周囲の人たちの中には、アハトやリュインを見ている者がいた。やはり目立つな……。
「ま、まぁ。そういうことなら、はやく宿を決めて入ろうぜ!」
そんなわけで、俺はだれが見てもものすごく冷静にいい感じの宿をチョイスし、第三者が見ても極めて落ち着いた様子で部屋へと入ったのだった。
「はぁーい!」
酒場に入った俺たちは、次から次へと飯と酒を頼み続けていた。
う……うめぇ……! 久しぶりに塩コショウ以外で味がついた肉を食べられている……!
それに酒もすっげぇ安酒の味なのに、久しぶりのせいかやたらとうめぇ……!
「超古代文明レベルの飯と酒なんざ期待してなかったが、こりゃわるくねぇなぁ!」
「おいひー! マグナぁ、わたしもお酒ぇ!」
「ふむ……マグナの焼いた肉よりは幾分かマシですね」
『不純物の多そうな酒だな』
ノリノリで食事を楽しんでいるのは俺とリュインだけっぽい。いや、案外アハトも楽しんでいそうではあるが。
つか今、俺の焼いてやっていた肉にケチをつけなかった?
「しっかし客も店員も、アハトとリュインばかり見てんなー」
「うっふふん。そりゃわたしがあまりにかわいいから! でしょ!」
「わたしの美しさについては、今さら語るまでもないかと」
「リュインはともかく、アハトは実際なにも言い返せねぇ……」
なにせ計算されつくされた美貌だからな!
リュインはあれだ、たぶん〈フェルン〉が珍しいのだろう。王都でもちらほらと飛んでいたが、あんまり人と親しげにしている奴はいなかった。
「……なぁリュイン。他のフェルンって、お前みたいに人間と一緒に行動とかしてねぇの?」
「んー……? どうだろ……冒険者として活躍している〈フェルン〉とかなら、わたしみたいにパーティを組んでいるだろうけど。あとはペットとして飼われている以外だと、あんまりないんじゃないかなぁ」
話しながらリュインは、口周りについた麦酒の泡を雑に拭う。
「ぺ……ペット……」
「うん。ほら、前も言ったけど。人間の中にはわたしたちを捕まえて、そのまま金持ちに売り飛ばそうとしている奴もいるしぃ。あ、でも前までわたしがいてた国だと、わりと人と話す〈フェルン〉は多かったかも!」
〈フェルン〉は外敵が多いからな。普通はもうすこし警戒心が強い妖精なのかもしれない。
「お前、よく自分から俺たちにパーティを組もうと提案したな……」
「だぁってマグナたちは異世界人だし。それに強いし。ギブアンドテイクが成り立つと確信があったのよ!」
自信満々に胸を張る。まぁ妖精を連れてファンタジー世界を旅できている時点で、たしかに俺にメリットはあるけどな! ギブアンドテイクが成り立ってやがるぜ!
それに以前、リュインは自分のことを「風のフェルンだからあっちこっちに行っている」みたいに話していた。性格も関係しているんだろうな。
「ふむ……しかし妙ですね」
上品に麦酒を飲みながら、アハトは小さく呟く。
「あん? なにがだ?」
「誰もがわたしの美しさに釘付けだというのに……だれ1人として、このテーブルに絡みにこないではないですか。普通ならここで、姉ちゃん俺たちと酒を飲もうぜぇ。そんな冴えないアホ面した男なんて放っておいてよぉ。俺たちならそんな男より、もっと楽しませてやれるぜぇ? ……という展開になるはずです」
「まてぃ! だれがアホ面した男やねん!」
アハトは抑揚のない声で、淡々と野蛮な男たちのセリフを吐く。ったく……なにを考えてやがんだか。
しかしたしかにそういうお約束があっても……という気持ちはわかる。
だが現実として、みんな遠巻きにこちらを見ているだけで、積極的に絡んできそうな奴は見当たらなかった。
「あれかな。〈フェルン〉と一緒に飲んでる人間があまりに奇妙すぎんのかね」
「そんなわけないでしょ!」
「あだ!?」
宙に浮いたリュインが、俺のおでこにチョップをかましてくる。
こ……こいつ……! ここにハエたたきがなくてよかったなぁ……!?
「単純にアハトのことを、貴族だと思っているのよ」
「…………え?」
「まず見た目! こんなに美しい女性なんて、〈フェルン〉か貴族くらいなものよ!」
お前、どれだけ自分の種族に自信を持っているんだ……。
「そしてコレよ!」
そう言って指さしたのは、テーブルに立てかけてあるアハトのハルバードだった。
「うん? 武器のことか?」
「我が愛槍、閃星煌刃アークマルドのことですね」
「無駄にかっこいい名前つけてんのな……」
俺もいい感じの名前をつけようかな……。
俺の剣もアハトのハルバードも、リリアベルが廃材をそういう形を整えただけで、まったく装飾はないのだが。
「身体を鍛えていなさそうなアハトが、こんなにごっつい武器を持っているんだもの。どう見ても魔力で身体能力を強化して振るうための得物でしょう?」
「え。魔力って、身体能力の強化とかできんの?」
「この見た目で魔力持ち……どこのお貴族様だろうってみんな思うのよ。レグザもそう考えて、自分からアハトに話しかけなかったしぃ」
そうだったのか……。まったく気づかなかったぜ……!
もしかしたら馬車に乗せてくれたのも、アハトのことを貴族だと考えたからかもしれない。お貴族様が自分で使用するために、魔晶核を採取していたと思ったのかな。
…………ん?
「いやまて。やはりそれはおかしい」
「なにがよ?」
「俺は正真正銘の特権階級生まれだぞ!? 銀河で上から数えた方がはやいくらいには、育ちもいい男だぞ!? アハトよりも俺の方が、高貴なオーラを出しているはずだ……! 隠しきれないほどのな……!」
「育ちは顔に出るから、それはウソよ」
「ウソじゃねぇよ!?」
すっげぇ暴言を吐かれた! 泣きそう!
そんなしょうもない言い合いを繰り返しつつ、どんどん酒を飲んでいく。いい感じに気持ちよくなれたところで、お会計を頼んだ。
「ありがとうございまーす! 1万7千エルクでーす!」
「お。案外安いな」
まぁガツガツ飲んで食っていたのは俺くらいだしな。懐には40万あるし、なんなら魔晶核にはまだまだ余裕がある。しばらく金の心配はいらなさそうだ。
「お姉さん。宿とかってどの辺りにあるか教えてくれない?」
「えぇ~~っ!? 食事を終えて……いよいよそういうカンジですかぁ!?」
どういう感じだ……。ケモミミお姉さんは、俺とアハトを意味深に見てくる。
「そぉですねぇ……すこ~し治安はわるいんですケドぉ。大通りを一本西に移動すれば、そういう感じの宿がたくさんありますよぉ」
「お、サンキュ」
さすがに今日はもう休みたい。王都探索は明日だな。日が昇ってからの方が見やすいだろうし、人もまた活気づくしな。
そんなわけで、俺たちは酒場を出る。ボソっと「従者との許されない関係か……」みたいな言葉が聞こえてきた。
■
「そういうカンジって……こういうカンジのことかよ……!」
俺たちは今、宿が立ち並ぶ通りを歩いていた。周囲にはカップルがいちゃつきながら、いかにもな雰囲気をした宿へと消えていく。
「つか今さらだけどよ。電気もないのに、街灯とかどうやって光ってんだ。あと宿の看板もすっげぇピンクに発色してるし」
「魔道具よ。魔力を込めて、ああいう光り方をしているの」
『なるほど……道理で文明レベルのわりに明るい町だと思ったぞ』
こりゃまちがいねぇな。要するにアレだ。夜になっていい感じになった男女が、愛と欲望を発散させる宿だ。
く……! 正直言って、俺も発散させてぇ……!
「ふむ……ではマグナ。どの宿にしますか?」
「んぶふっ!?」
シレっとアハトさんから提案され、思わずせき込んでしまう。
「いやどの宿て……アハト、この辺りの宿がなんなのかわかってんのか?」
こういうところはやっぱりアンドロイドなんだなぁ……と思っていたら、びっくり仰天の言葉がその唇から紡がれた。
「もちろん理解していますよ。女は股を開き、男は獣となって愛を深め、欲望を満たし合う。いわゆる性行為を目的として宿でしょう?」
「ばっちりわかってんのかい!」
「当然です。むしろ見てわからない方が問題でしょう」
なぜか俺が諭されている……!?
まぁそれがわかっているからといって、別にアハトが行為をオッケーしてくれるわけでもないのだが。
「ま……まぁ、今夜泊まる場所は必要だもんなぁ……」
「あるいは今から人目につかない路地裏か、一度王都の外へ出て転移装置を設置するという手もあります」
「あ……そういやそうだ」
リリアベルが作成した転移装置は残り2つ。ここは王都だし、近くに設置するのはアリだろう。
俺の足だと微妙にキルヴィス大森林入り口に設置した転移装置まで遠いし。
まぁ設置後、数時間経過しないと使用できないんだけどな。
「なら今夜はどこかに転移装置を設置して、シグニールに……」
「まぁわたしは。今夜は気分がいいので、すこしくらいなら相手をしても構いませんよ……?」
「……………………。え? マジで?」
アハトがここぞとばかりに、男心をくすぐるような言葉を話してくれる。
ま……まさか……。これがアハトを作成した研究者たちの追い求めたロマン……!?
「異世界ファンタジー情緒あふれる王都、そして宿。シチュエーションとしては申し分ありません」
どうやら今宵は、アハトさんの琴線に触れるなにかがあったらしい。しかしこれはチャンス……っ!
「ど……ドキドキ……! 人間の睦事がはじまるのね……!」
「なんでついてくるつもりしてんだ!?」
「なによ! わたしだけ宿なしにするつもり!?」
『どうでもいいが、宿に入るならはやくしろ。ここで立ち止まっていても、余計に目立つだけだ』
言われてハッとする。周囲の人たちの中には、アハトやリュインを見ている者がいた。やはり目立つな……。
「ま、まぁ。そういうことなら、はやく宿を決めて入ろうぜ!」
そんなわけで、俺はだれが見てもものすごく冷静にいい感じの宿をチョイスし、第三者が見ても極めて落ち着いた様子で部屋へと入ったのだった。
0
お気に入りに追加
115
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】ゲーム転生、死んだ彼女がそこにいた〜死亡フラグから救えるのは俺しかいない〜
たけのこ
ファンタジー
恋人だったミナエが死んでしまった。葬式から部屋に戻ると、俺はすぐにシミュレーションRPG「ハッピーロード」の電源を入れた。このゲーム、なぜかヒロインのローラ姫が絶対に死ぬストーリーになっている。世界中のゲーマーがローラ姫の死なない道を見つけようとしているが、未だそれを達成したものはいない。そんなゲームに、気がつけば俺は転生していた。しかも、生まれ変わった俺の姿は、盗賊団の下っ端ゴブリンだった。俺は、ゲームの運命に抗いながら、なんとかこの世界で生き延び、死の運命にあるローラ姫を救おうとする。

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。
アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。
両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。
両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。
テッドには、妹が3人いる。
両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。
このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…
小桃
ファンタジー
商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。
1.最強になれる種族
2.無限収納
3.変幻自在
4.並列思考
5.スキルコピー
5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。

クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ~隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです~
はなとすず
ファンタジー
俺は佐藤 響(さとう ひびき)だ。今年、高校一年になって高校生活を楽しんでいる。
俺が通う高校はクラスが4クラスある。俺はその中で2組だ。高校には仲のいい友達もいないしもしかしたらこのままボッチかもしれない……コミュニケーション能力ゼロだからな。
ある日の昼休み……高校で事は起こった。
俺はたまたま、隣のクラス…1組に行くと突然教室の床に白く光る模様が現れ、その場にいた1組の生徒とたまたま教室にいた俺は異世界に召喚されてしまった。
しかも、召喚した人のは1組だけで違うクラスの俺はお呼びじゃないらしい。だから俺は、一人で異世界を旅することにした。
……この物語は一人旅を楽しむ俺の物語……のはずなんだけどなぁ……色々、トラブルに巻き込まれながら俺は異世界生活を謳歌します!
俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる