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帝都解放
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あいにく俺は幻魔歴から来たとはいえ、生まれは新鋼歴なのだが。まぁわざわざ訂正してやる事もないだろう。
「敵の親玉の一角じゃねぇか。こりゃ運が良い。だがどうせならルングーザかローブレイトの野郎が良かったがな……!」
「因縁でもあるのかな? その2人ならヴィンチェスター殿と共に、既に逃げだしたよ。今頃城の外に出ているのではないかな?」
「ほぅ……!」
面倒な……!
この戦いは親玉をさっさと捕らえれば、それで片が付く。だがここで逃がせば少し面倒な事になりかねない。
無駄に長引けば、各地で呼応する馬鹿な貴族が出てくる可能性もあるのだ。
「……シルヴェラ様や七殺星のみんなはどうしたのかな?」
「……! レクタリアじゃなくその名が出るとはな……! お前、事情を知ってやがるな……!」
おそらくは結社とかなり距離が近い貴族……いや。結社に属している可能性もある。
「シルヴェラ様の名からレクタリア様と繋げられるとは。どうやら本当にお会いになられた様だ。……あの方はどこに?」
「地下最奥の間で俺が殺した。アデライアも無事だし、魔法復活の儀式は完全に潰れたぜ」
「……! そう、ですか……」
そう言うとガリグレッドは首を横に振った。だがこの反応。レクタリアがやられた事に何かで感づいていたな。
「まさか女神を屠れる者が現れるとは……」
「お前も自称女神を信じてるくちかよ」
「ふ……神秘の時代に生きた事がなければ、その様に大それたことも言えるというものか」
言っている意味はよく分からなかったが、その声色には感情が無かった。
「どうやらてめぇは結社とお友達だった様だな。ヴィンチェスターに結社を紹介したのはお前か?」
「流石に理解が早い。いや、ここまで関わったからこそか。やれやれ。こんな事になるなら、初めから黒狼会とは関わりを持たない様に、細心の注意を払っていたというのに」
「だがもう遅い。お前らは俺たち黒狼会に喧嘩を売った。レクタリアにも言ったぜ、それが敗因だとな」
拳を構える。こいつはいろいろ事情を知っている。おそらくは利用されていたヴィンチェスターよりも。
「ええ、認めましょう。私たちは手を出してはいけない者の尻尾を踏んでしまったと。ですがシルヴェラ様の使徒として。私も私のケジメをつけさせていただきましょう……! エルクォーツ、オーバードライブ!」
「…………!」
しまった……! こいつも結社と近いんだ、エルクォーツの存在を考慮しておくべきだった……!
俺の中で貴族は、エルクォーツによる戦闘力強化は行っていないという先入観が働いていた。
ガリグレッドは見る見るその肉体を変化させていく。ぼこぼこと肉が蠢き、膨張しながら形を整えていく。やがてガリグレッドだったものは、二足歩行の狼みたいな形状で安定した。
「ぐぅるああああぁぁ……」
「アキウスやベートとはまた違った変化だな……!」
「がぅうああ……ぐしゃああああ!!」
俺より二回りは大きな巨体が地を蹴り、俺にその腕を振るってくる。
速い……!
俺は身体を半歩横にずらしてその攻撃を避け、至近距離から拳を突き立てる。
「ぐるぁ!」
手ごたえあり。構造は分からんが骨らしきものを砕いた。だがガリグレッド・レヴナントは気にした素振りも見せずに再度拳を振るってくる。
「なに……!」
上体を逸らして避けるが、今度は蹴り上げてくる。これにはとっさに腕でガードしたが、俺はそのまま後方へと蹴り飛ばされた。
「ちぃ……! 腕のみの強化だとやりづれぇ……!」
並の兵士ならともかく、規格外を相手取るのにこれは不利だな……!
ガリグレッド・レヴナントは再度俺に突撃してくる。俺は直撃は受けない様に慎重に足を動かしながら接近戦に応じる。
「畜生如きが……! なめんな!」
足を踏みつけ反射で視線が下に向くのを確認する。その隙を突いて鼻っ柱に掌底を叩き込む!
「ぐらぁあぁ!?」
「っつぇい!」
さらに密着する様に距離を詰め、何度も拳で胴体や顎下を狙う。
これだけの巨体だ、十分に威力をのせた一撃を放つにはどうしても大振りになる。そして距離を詰めきってしまえば、俺に対して大振りの一撃は難しい……!
だが大振りでなくともその一撃が重い事には変わりないので、動きには常に気を配る。足が出そうになったらこちらも足を出し、腕が出る様ならしっかり押さえ込む!
相手は対人戦の訓練を積んだ訳でも、ましてや殺し合いのプロという訳でもないのだ。畜生らしく、本能と凶暴性に身を任せているだけ……!
「いい加減……! 倒れろやあぁあ!」
振るわれる拳にこちらも拳を合わせ、正面からその骨を砕く。勢いを付けて上段から腕撃が飛ぶ寸前に左手で掌底を顎下に入れ、その動きを封じていく。
そして体幹がぐらついたところに、腰を捻りつつ右拳をその胴体に突き立てる!
「ぐるああぁ……!」
「今のは本気の一撃だったんだがな……! もう一発!」
素早く距離を空け、ガリグレッド・レヴナントの体勢が整う前に勢いを付けた右拳をもう一度叩き込む!
「が……!」
そうして地面に倒れ、ようやく動かなくなった。
「はぁ、はぁ……! こういう戦いは……! 1日1回だと助かるんだがな……!」
いや、1日1回でも嫌だ。できればこれを最後にしたい。
しかし無くなってから初めて黒曜腕駆のありがたさを痛感したな……。
「……魔法がまた元に戻るのかは分からんが。まぁ戻らなかったらその時はその時だな」
そもそもレクタリアを倒したら、完全に消失する可能性もあったんだ。腕だけでも発動できるのは儲けものだな。
■
ガリグレッドを降した事で事態は大きく動く。騎士団は城に残るハイラント派の貴族を次々と捕え、とうとう城を完全に取り戻す事ができた。
だが城内にルングーザやヴィンチェスター、ローブレイトの姿は見つからなかった。
ディナルドとクインはすぐに部隊を率いて帝都から二つの領軍を排除しよう動く。しかし。
「帝都近郊に戦力が集中している……!?」
城の会議室では今、緊急で招聘された貴族たちによる会議が開かれていた。
ウィックリンを始めとした何人かの皇族も参加している。また中にはエルヴァールやアルフレッドの姿もあった。
「うむ。少し離れた場所ではあるが、そこにルングーザ領の軍とテンブルク領の軍が終結しつつある様だ。指揮をとっておるのは……」
「城から逃げ出したヴィンチェスターに、ランダイン・ルングーザか……!」
ガリグレッドは俺が倒したからな。しかしヴィンチェスターの野郎。しつこいな。
まぁもう少しで魔法を復活させ、完全に帝国を手中に収められたという可能性もあったのだ。今さら後には引けないだろう。
「……陛下。その、彼らは……?」
俺たちはウィックリンの背後に仮面を付けたまま立っていた。エルヴァールなんかは当然気付いているが、あえて黙っている。
「何でも彼らが皇宮と城を解放した立役者らしいですが……」
「聞けば陛下の秘密部隊とか何とか……」
まぁ秘密部隊ってなんだよ……て話になるよな。あの時は勢いに任せてしまったが、もう少しましな口上を考えればよかったか……。
「……その名の通りだ。私からそれ以上の説明は必要か?」
「い、いえ! 十分でございます!」
考えようによってはウィックリンがここ一番までとっておいた、とっておきの戦力とも見えるか。
実際、俺たちの暴れぶりは多くの目撃情報があるだろうし、今ごろいろんな噂が飛び交っているだろう。
……この仮面、絶対に外す訳にはいかねぇな。
事情を分かっているエルヴァールは、ポーカーフェイスを貫き通していた。
「陛下! 伝令です!」
突然会議室の扉が大きく開かれる。こういう事態だ、誰も文句は言わない。
「何事か」
「は! 東よりあらたな軍が現れました!」
「なに……!? どこの軍か!?」
「は! ゼノヴァーム領の旗を確認しております!」
「!!」
ゼノヴァーム領。ダンタリウスから父の謀反を聞かされた時、ディナルドとウィックリンが急使を出していた領地だ。
そしてかつての五国会談で、アルグローガに忠誠を誓った国王の血族でもある。
「本当か!? あまりに速い……!」
「陛下!」
続いて伝令が飛んでくる。おそらく続報だろう。
「ゼノヴァーム領軍の先触れが見えました! 聞けばルングーザ領の軍が帝都近くまで移動しているのを確認し、あらかじめ軍を動かしていたとの事です! 陛下からの急報に応え、強行軍で駆け付けたとの事!」
「なんと……!」
ゼノヴァーム領がどの辺りの領地かは分からないが、今の話が本当だとすれば。ゼノヴァーム領領主は、初めからルングーザ領を臭いとマークしていた事になる。
演習と称して帝都南部まで軍を進めているのを見て、秘密裏に軍を編成していたのだ。並の情報収集力ではそうまでしないだろう。
「話を聞こう! 至急、会議室まで連れてくるのだ!」
「はっ!」
そうして連れて来られた兵士は、鎧も何も身に付けていない男だった。
「敵の親玉の一角じゃねぇか。こりゃ運が良い。だがどうせならルングーザかローブレイトの野郎が良かったがな……!」
「因縁でもあるのかな? その2人ならヴィンチェスター殿と共に、既に逃げだしたよ。今頃城の外に出ているのではないかな?」
「ほぅ……!」
面倒な……!
この戦いは親玉をさっさと捕らえれば、それで片が付く。だがここで逃がせば少し面倒な事になりかねない。
無駄に長引けば、各地で呼応する馬鹿な貴族が出てくる可能性もあるのだ。
「……シルヴェラ様や七殺星のみんなはどうしたのかな?」
「……! レクタリアじゃなくその名が出るとはな……! お前、事情を知ってやがるな……!」
おそらくは結社とかなり距離が近い貴族……いや。結社に属している可能性もある。
「シルヴェラ様の名からレクタリア様と繋げられるとは。どうやら本当にお会いになられた様だ。……あの方はどこに?」
「地下最奥の間で俺が殺した。アデライアも無事だし、魔法復活の儀式は完全に潰れたぜ」
「……! そう、ですか……」
そう言うとガリグレッドは首を横に振った。だがこの反応。レクタリアがやられた事に何かで感づいていたな。
「まさか女神を屠れる者が現れるとは……」
「お前も自称女神を信じてるくちかよ」
「ふ……神秘の時代に生きた事がなければ、その様に大それたことも言えるというものか」
言っている意味はよく分からなかったが、その声色には感情が無かった。
「どうやらてめぇは結社とお友達だった様だな。ヴィンチェスターに結社を紹介したのはお前か?」
「流石に理解が早い。いや、ここまで関わったからこそか。やれやれ。こんな事になるなら、初めから黒狼会とは関わりを持たない様に、細心の注意を払っていたというのに」
「だがもう遅い。お前らは俺たち黒狼会に喧嘩を売った。レクタリアにも言ったぜ、それが敗因だとな」
拳を構える。こいつはいろいろ事情を知っている。おそらくは利用されていたヴィンチェスターよりも。
「ええ、認めましょう。私たちは手を出してはいけない者の尻尾を踏んでしまったと。ですがシルヴェラ様の使徒として。私も私のケジメをつけさせていただきましょう……! エルクォーツ、オーバードライブ!」
「…………!」
しまった……! こいつも結社と近いんだ、エルクォーツの存在を考慮しておくべきだった……!
俺の中で貴族は、エルクォーツによる戦闘力強化は行っていないという先入観が働いていた。
ガリグレッドは見る見るその肉体を変化させていく。ぼこぼこと肉が蠢き、膨張しながら形を整えていく。やがてガリグレッドだったものは、二足歩行の狼みたいな形状で安定した。
「ぐぅるああああぁぁ……」
「アキウスやベートとはまた違った変化だな……!」
「がぅうああ……ぐしゃああああ!!」
俺より二回りは大きな巨体が地を蹴り、俺にその腕を振るってくる。
速い……!
俺は身体を半歩横にずらしてその攻撃を避け、至近距離から拳を突き立てる。
「ぐるぁ!」
手ごたえあり。構造は分からんが骨らしきものを砕いた。だがガリグレッド・レヴナントは気にした素振りも見せずに再度拳を振るってくる。
「なに……!」
上体を逸らして避けるが、今度は蹴り上げてくる。これにはとっさに腕でガードしたが、俺はそのまま後方へと蹴り飛ばされた。
「ちぃ……! 腕のみの強化だとやりづれぇ……!」
並の兵士ならともかく、規格外を相手取るのにこれは不利だな……!
ガリグレッド・レヴナントは再度俺に突撃してくる。俺は直撃は受けない様に慎重に足を動かしながら接近戦に応じる。
「畜生如きが……! なめんな!」
足を踏みつけ反射で視線が下に向くのを確認する。その隙を突いて鼻っ柱に掌底を叩き込む!
「ぐらぁあぁ!?」
「っつぇい!」
さらに密着する様に距離を詰め、何度も拳で胴体や顎下を狙う。
これだけの巨体だ、十分に威力をのせた一撃を放つにはどうしても大振りになる。そして距離を詰めきってしまえば、俺に対して大振りの一撃は難しい……!
だが大振りでなくともその一撃が重い事には変わりないので、動きには常に気を配る。足が出そうになったらこちらも足を出し、腕が出る様ならしっかり押さえ込む!
相手は対人戦の訓練を積んだ訳でも、ましてや殺し合いのプロという訳でもないのだ。畜生らしく、本能と凶暴性に身を任せているだけ……!
「いい加減……! 倒れろやあぁあ!」
振るわれる拳にこちらも拳を合わせ、正面からその骨を砕く。勢いを付けて上段から腕撃が飛ぶ寸前に左手で掌底を顎下に入れ、その動きを封じていく。
そして体幹がぐらついたところに、腰を捻りつつ右拳をその胴体に突き立てる!
「ぐるああぁ……!」
「今のは本気の一撃だったんだがな……! もう一発!」
素早く距離を空け、ガリグレッド・レヴナントの体勢が整う前に勢いを付けた右拳をもう一度叩き込む!
「が……!」
そうして地面に倒れ、ようやく動かなくなった。
「はぁ、はぁ……! こういう戦いは……! 1日1回だと助かるんだがな……!」
いや、1日1回でも嫌だ。できればこれを最後にしたい。
しかし無くなってから初めて黒曜腕駆のありがたさを痛感したな……。
「……魔法がまた元に戻るのかは分からんが。まぁ戻らなかったらその時はその時だな」
そもそもレクタリアを倒したら、完全に消失する可能性もあったんだ。腕だけでも発動できるのは儲けものだな。
■
ガリグレッドを降した事で事態は大きく動く。騎士団は城に残るハイラント派の貴族を次々と捕え、とうとう城を完全に取り戻す事ができた。
だが城内にルングーザやヴィンチェスター、ローブレイトの姿は見つからなかった。
ディナルドとクインはすぐに部隊を率いて帝都から二つの領軍を排除しよう動く。しかし。
「帝都近郊に戦力が集中している……!?」
城の会議室では今、緊急で招聘された貴族たちによる会議が開かれていた。
ウィックリンを始めとした何人かの皇族も参加している。また中にはエルヴァールやアルフレッドの姿もあった。
「うむ。少し離れた場所ではあるが、そこにルングーザ領の軍とテンブルク領の軍が終結しつつある様だ。指揮をとっておるのは……」
「城から逃げ出したヴィンチェスターに、ランダイン・ルングーザか……!」
ガリグレッドは俺が倒したからな。しかしヴィンチェスターの野郎。しつこいな。
まぁもう少しで魔法を復活させ、完全に帝国を手中に収められたという可能性もあったのだ。今さら後には引けないだろう。
「……陛下。その、彼らは……?」
俺たちはウィックリンの背後に仮面を付けたまま立っていた。エルヴァールなんかは当然気付いているが、あえて黙っている。
「何でも彼らが皇宮と城を解放した立役者らしいですが……」
「聞けば陛下の秘密部隊とか何とか……」
まぁ秘密部隊ってなんだよ……て話になるよな。あの時は勢いに任せてしまったが、もう少しましな口上を考えればよかったか……。
「……その名の通りだ。私からそれ以上の説明は必要か?」
「い、いえ! 十分でございます!」
考えようによってはウィックリンがここ一番までとっておいた、とっておきの戦力とも見えるか。
実際、俺たちの暴れぶりは多くの目撃情報があるだろうし、今ごろいろんな噂が飛び交っているだろう。
……この仮面、絶対に外す訳にはいかねぇな。
事情を分かっているエルヴァールは、ポーカーフェイスを貫き通していた。
「陛下! 伝令です!」
突然会議室の扉が大きく開かれる。こういう事態だ、誰も文句は言わない。
「何事か」
「は! 東よりあらたな軍が現れました!」
「なに……!? どこの軍か!?」
「は! ゼノヴァーム領の旗を確認しております!」
「!!」
ゼノヴァーム領。ダンタリウスから父の謀反を聞かされた時、ディナルドとウィックリンが急使を出していた領地だ。
そしてかつての五国会談で、アルグローガに忠誠を誓った国王の血族でもある。
「本当か!? あまりに速い……!」
「陛下!」
続いて伝令が飛んでくる。おそらく続報だろう。
「ゼノヴァーム領軍の先触れが見えました! 聞けばルングーザ領の軍が帝都近くまで移動しているのを確認し、あらかじめ軍を動かしていたとの事です! 陛下からの急報に応え、強行軍で駆け付けたとの事!」
「なんと……!」
ゼノヴァーム領がどの辺りの領地かは分からないが、今の話が本当だとすれば。ゼノヴァーム領領主は、初めからルングーザ領を臭いとマークしていた事になる。
演習と称して帝都南部まで軍を進めているのを見て、秘密裏に軍を編成していたのだ。並の情報収集力ではそうまでしないだろう。
「話を聞こう! 至急、会議室まで連れてくるのだ!」
「はっ!」
そうして連れて来られた兵士は、鎧も何も身に付けていない男だった。
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