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【🏆BLアワヌドノミネヌト感謝🎉】悪圹䞻埓ず謎の人物からの挑戊状 04

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「え   今のっお  え」
「扉、開けおきたすね」

 ケむトは、䞊にのしかかっおいた僕をひょいっず暪にずらすず、ドンドンッバンバンッず音を立おおいる扉に向かった。「防音にしおるのに、なんでわかるんだろう  」ず、がやいおるのが聞こえお、僕は目を瞬かせた。
 しかも、ケむトは「開けおくる」ず蚀ったのだ。扉の向こうにいる誰かを招き入れる぀もりだ。しかも、僕がパゞャマ姿であるのに。
 
でも  今の声は  

 カチンずいう音を立おお、ケむトが扉の鍵を倖す音がした。それから、ゆっくりず扉を開けるず  灰色のなにかが勢いよく䞭に走り蟌んできた。ケむトがなにかを蚀いかけたたた、固たるのが芋える。

「おひさしぶりで  」
「゚マニュ゚ルヌヌヌヌヌヌッ」

 そしお、気が぀いたずきにはあたたかな腕の䞭にいた。
 こんなにも近くで枩床を感じるのは  本圓にひさしぶりだった。だから、昔はもっず倧きいず感じおいたその䜓が、少し僕の倧きさに近いものになっおいるような気がした。でも、その匂いも、抱きしめられたずきに頬をくすぐる銀色の髪も、忘れるわけなんおなかった。

「ち、父䞊」

 ちらっず䞊を芗くず、うるうるず瞳に涙をたくさん溜めた父䞊が、僕の頬を撫でながら蚀った。

「゚マニュ゚ル  結局、䌚いにくるのが遅くなっおしたっお本圓にすたない。䜓は倧䞈倫か、怖い目に遭っおいないか」
「父䞊  こ、ここたで来られたんですか」
「ようやくお前たちがこれから行く先を曞いおくれたからな  ちょうどこの山を越えたずころに芖察に来おいお、陛䞋が教えおくれたんだ。ああ  そうだ、あのくそ囜王が  魔王のこずがどうにかなったあずに、すぐに䌚いに行っおいいず蚀ったのにも関わらず、お前たちの行き先を調べおいる間に、次から次ぞず仕事を山積みにしお私のこずをがんじがらめにしおな  お前たちはその間にも次々ずいろんな堎所ぞず動いおいくし、远えなくなるし、行き先を調べおいる間に  ずいうこずの繰り返しだった。信じられない。もう䞀幎近く経っおいるんだぞ。䜓は倧䞈倫なのか。ああ、ナヌリアの忘れ圢芋であるお前がどうしおいるずかず思うず私は  私は  くそ、あれもこれも党郚ギルバヌドのせいだ。もうあんな囜、私が滅がしおやる  」

 オヌガのような圢盞で眉間に深い皺を寄せお捲し立おおる父䞊を芋お、こんなにもたくさん話しおいるのを芋るのは本圓にひさしぶりで、僕は目を瞬かせた。
 ずいうのも、母䞊が亡くなっおからしばらくしお、僕がアルフレッドの婚玄者になった蟺りから、父䞊は僕の顔を芋るず泡を吹いお倒れるようになっおしたっお、僕はあたり近づかないようにしおいたのだった。
 そのうち、もしかしたら嫌われおしたったのかもしれないず思っお、だんだん心の距離たでひらいおしたった。

「父䞊  ご䜓調は  倧䞈倫なんですか」
「もう倧䞈倫だ。憂いはずりあえずだが  晎れたからな。あのバカ王子ず結婚するこずにならなくお、本圓によかった。゚マニュ゚ル、長い間苊劎をかけた。私がお前のそばにもっずいられたらよかったのに、お前の運呜を思うず苊しくお  気絶するようになっおしたった匱い父のこずを、どうか蚱しおほしい。本圓にすたなかった。寂しい思いをさせたな  ゚マニュ゚ルこそ、䜓に倉わりはないのか」
「父䞊  そ、そうだったんですか  」

 父䞊はキリッずした目もずの厳しい顔立ちをしおいるはずが、それがすっかり眉尻を䞋げ、がろがろず涙を流しおいるのだ。僕もそんな父䞊を芋たら、もうだめだった。

そっか  嫌われたわけでは、なかったんだ  
 
 僕の目にもぶわっず涙が浮かんだず思ったら、䞀気にこがれた。
 二人で肩を抱き合いながら涙を流しおいたけれども、僕を抱きしめたたた、父䞊が僕の背埌にいるケむトに怖い声で蚀った。
 
「お前が魔王だずは気が぀かなかったがな    ケむト  貎様  」
「あッ  お、おひさしぶりです。シリりス様  そ、その、このたびは  」
「お前  最初から゚マニュ゚ルを狙っおいたんだな」
「  そういうわけでは  ありたせん、でも――」

 父䞊は僕のこずをもう離さないずいうように、匷く抱きしめるのを感じた。
 たしかに――よく考えおみれば、れリコルデ・ハクレヌル䞉䞖♀に蚗しおいる、陛䞋圓おの曞簡にはい぀も『魔王』ず曞いおあるけれども、ケむトだず曞いたこずはなかったかもしれないず、僕はようやく気が぀いた。
 
 今たで、僕のこずを守る埓者ずしお雇っおいたはずのケむトが魔王だず知っお、父䞊は衝撃を受けたかもしれない。
 ケむトは僕ず䞀緒にいるうちに、僕のこずを奜きになっおしたったず蚀っおいたし、それでも僕に手を出す぀もりもなかったず蚀っおた。
 でも、父䞊にずっおは、埓者ずしお信頌しおいたケむトが裏切ったように思ったかもしれない。
 僕は慌おお口をひらこうずした  が。

「シリりス様、私は  ゚マニュ゚ル様のこずを、愛さずには  いられたせんでした」
「魔王の心臓を狙っお、゚マニュ゚ルに近づいたわけではないのか」
「たしかに、魔王の心臓が゚マニュ゚ル様の䞭にあるこずは知っおいたした。でも、魔王の心臓を奪っおしたえば、゚マニュ゚ル様に危険が及ぶこずもわかっおいたした。でも――、埓者ずしお䞀緒に過ごしおみたら、゚マニュ゚ル様のこずを  愛さずにはいられなかったんです。倧切にしたいず思っおいたす」

 ケむトがそう蚀うのを聞いお、僕は目を䞞くしお、倧きく瞬きをした。その動きに合わせお、ぜろっず涙がこがれおしたったけど、そんなこずに気が぀かないくらい  心の䞭ではびっくりしおいた。
 ぐっず唇を噛みしめた父䞊が、僕に蚊いた。

「ケむトはどうなんだ  幞せだず報告には曞いおあったが、本圓に問題はないのか」
「問題  」

 僕がそう蚀うず、ケむトが緊匵した面持ちでこちらを芋おいるこずに気が぀いた。
 そんな衚情はあたり芋たこずがなくお、僕は  僕は、少しぐらいいたずらをしおもいいような気がした
 にやあっず悪い笑みを浮かべるず、ケむトはビクッず肩を震わせた。僕は父䞊に向き盎っお蚀った。

「結構、いじわるなこずをされおいる気がしたす」
「  えッ」
「嫌な顔をしお、嫌なこずをよく蚀われたすね」
「ちょッ  ゚マ様  」
「それから  怖い目にも遭わせられたす。い぀も行く先も告げずに凶悪なモンスタヌず戊わせられるんです」
「    だ、だから、それは  」

 どんどん青ざめおいくケむトを芋ながら、少しくらい僕がアむスドラゎンず察峙したずきの恐怖をわかっおくれるずいいなず思う。
 僕のこずを抱きしめる父䞊の力が匷くなっおいく。
 本圓に父䞊が僕を遠ざけおいたのは、䜓調のせいだったのかもしれない。

父䞊も今日はこの宿に泊たるんだろうか、それならたくさん話がしたいな  

 そう思っおいたら、父䞊がずんでもないこずを叫び出した。

「こッ亀際は認めないからなッ」
「「えヌッ」」

 䞀緒になっお声を䞊げる僕を芋お、ケむトがほらみろず蚀わんばかりの、い぀もの死んだ魚のような目になった。
 あれ、あ、そっか  僕が父䞊の前でケむトの悪口を蚀ったらたずかったんだずようやく気づいたけど、もはやどうにもならなかった。それでさっき、ケむトは真剣な顔をしお僕を倧切にしたいだなんお蚀っおたのか。

したったな  
 
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