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2-1 魔法学園の編入生
99 魔法学園の転入生 ※
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お待たせしました!更新再開します!
ひさしぶりなので今日は長めですが、もうちょっと少なめを隔日21時更新……目指します:)滞る場合はX(Twitter)でお知らせします。それでは、【乙女ゲーム開始編】も、どうぞよろしくお願いします!
――――――――
「はあー? 平民のくせに編入したやつがいる?」
「あれ? たしか去年、――市井で育てられたっていう男爵令嬢がいたんじゃなかったか? なんかすげえかわいいって話題になってただろ」
夏の暑さがいまだ残って、蝉のなく声が響いていた。
夏季休暇から学園へと戻ってきた学生たちが、おのおのの近況や休暇の話を交わすのに混ざって、そんな驚いた声が始業前のオーベルソミュール王立魔法学園のそこかしこから聞こえてくる。
「そうなんだよ! 毎年話題にこと欠かないな。見に行こーぜ! あの、誰も受からないだろうって言われてた小難しい編入試験を正面からクリアして入ってきた〝平民〟だぞ?」
「男?」
「いや、女らしい」
「まじかよ、一体どんなやつなんだ……勉強しかしてないような女なのか?」
「編入試験受かるんだから、まあ、勉強の申し子みたいな硬いやつなんだろうな」
そんな会話を経て、一年生の教室のある校舎へと、続々と学生が集まってくる。
休み時間になると、一年二組の教室の廊下には、生徒が溢れかえっていた。
その〝編入生〟は、窓際の最後列に座って、なにをするでもなく、外をぼんやりと眺めていた。
太陽に透けて、硝子細工のように煌めく銀髪が穏やかな風になびいた。銀糸の奥からのぞく、アメジストのように美しい大きな瞳を……気だるそうに細めている。きゃしゃな肩、きめ細やかな白い肌、小さな顔。
自分を見に来る多くの生徒たちに飽き飽きしているのか、憂いを湛えた表情で、深いため息を着いた。
その〝噂の編入生〟――レイ・アキミヤは、内心思っていた。
(俺は――……パンダか!)
◆ ◆ ◆
――数ヶ月前のことだった。
グレンヴィル地方では――非公式の領主交代があり、長子ハクラ・ラムレイが『病に倒れた父の代理』としてグレンヴィルの領主代行となった。
それからというもの、国中から、徐々に革命派の人々がグレンヴィルに集まってきており、革命軍本拠地としての位置を確立しつつある。
国は一体なにを考えてるのかさっぱりわからないけれど、もしかすると、反乱因子を全部まとめて撃退する気で放置しているのだろうか。
今のところは、俺に直接問題が降りかかることでもないので、俺はのんびりとダンジョン建設を強化しているわけだった。
ベッドに転がりながら、フェルトの猫っ毛を触って、指でくるくると回して遊んでたときだった。おもむろにフェルトが尋ねてきた。
「そういえばさ、レイは十八才でしょ? レイの国では学校に行かなかったの?」
「んー? 行ってたよ。フェルトは?」
「あ、俺も騎士学校出てるよ。親が早く死んじゃったんだけど、ばーちゃんがお金を貯めてたみたいで、十五才から二年通って、十七才から騎士団に入った」
そうだとすれば、新人に見えたフェルトも……騎士団では五年近く過ごしているんだなと思った。
騎士の学校があるのか……と感心する。職業訓練の一環だろうか。そんな専門の学校に行けるのであれば、おそらく……フェルトは恵まれていた平民なんだろうなと思った。
「へー。騎士になるやつらはみんな学校行くわけ?」
「いや、一般公募もあるよ。ジョー先輩とかはその試験で受かったって聞いたよ」
「ふうん」
俺は特に興味もなく、その話を聞いていた。
「レイは頭いいんだから、王都の魔法学園とか行ってみたらいいのに」
「やだよ。フェルトも行くならいいかもしれないけど、お前年違うから行けないし」
「だいたいの人が寮から通うけど、自分の家からも通えるって聞いたよ? レイ、本も好きだし、勉強結構好きでしょ。行ってみたらいいのに」
そう言いながら、フェルトはその〝魔法学園〟の説明を始めてしまった。
聞き流していたが、どうやらそれは日本で言うところの高校のような施設で……だけど、習う内容は、大学のように単位制で、専門的なことを学ぶ……のような変な施設だった。
なんでそんな話を始めたんだろうかと、首をかしげながらフェルトに尋ねた。
「なんなの? 俺といんの嫌になったわけ?」
「そんなこと言ってないよ! れ、レイとは一緒にいたいけど、レイまだ若いし、この世界のことを知るのもいいのかなって」
「フェルトが教えてくれたらいいじゃん」
「え、ああ、まあそうだけど。王都には、大きな図書館もあるよ」
必死にそう訴えてくるフェルトの様子を見て、俺は眉間に皺を寄せた。
大体、その学校は……話を聞く限り、十六才から通うようだ。たしかに俺は小柄だし、童顔かもしれないけど、それでも高校を卒業して大学に入るところだったのに、なんでまたそんな面倒くさい場所に通わなくてはいけないんだ。
(なんでこんなに学校を推してくるんだ? なんかあんのか……?)
学校ってそんなに必要なことだろうか。人脈を作るとかそういう意味では必要なんだろうけど、そんなものを欲しいと思ったことはなかった。話し相手にも困っていない。ユエが一緒にいる今、図書館に行きたければ、召還陣で行ってしまうことだってできる。
王都の学園だなんて、話を聞いているかぎり、王侯貴族に関わることになるだろうし、厄介ごとの匂いしかしない。
フェルトの意図がまったく理解できなかった。
「同年代の男が山ほどいるとこで、三年も肩を並べて勉強か。好みのやつもいるだろうなー。フェルトより若くて、いい肉体の、優秀なやつが」
「――……レイ、なにそれ。そういうこと言ってないって言ってるんだけど!」
「そんなにフェルトが言うなら考えてもいいけど、うっかり目移りしちゃうかもなー」
「……レイ。俺は純粋に! レイはまだ十代でお金もあるんだから、どうかなって思っただけだよ。それに……それにレイは、その……」
「なんだよ」
フェルトが真剣な顔でなにかを言いかけたとき、コンコンと部屋の扉をノックする音が聞こえた。
ベッドから体を起こして「どうぞ」と言うと、リンがひょこっと顔を出した。
「あれー? ひさしぶりに来たら、なんか険悪なかんじだね。どしたの?」
「「…………」」
「あら? あはは、本当に険悪だった? いつもすごく仲よしなのにね」
「レイがまだ十代だから、王都の学園に通ったらどうかなって話してたんですけど……意見が合わなくて」
「えー? レイが学園? たしかにまだ若いもんねー。見た目も若いし。いいじゃん、行ってみなよー」
会話を聞いていたわけではないのに、リンまで軽率に学校を薦めてくる。
めんどうなことに賛同してくれたもんだと、俺はリンのことを睨みながら訊いた。
「なんで?」
「や、実はさ~、グレンヴィルが……一応、長男が継いだってことにはなってるけど、ラムレイ反乱の匂いがぷんぷんしてるもんだから、さすがに王都に呼び戻されちゃって。俺も反乱側についたら大変と思われたのかなー? また王都勤務になるんだよ。レイも一緒に王都なら、俺も楽しいしー嬉しいしー?」
「え、リン……いなくなるのか。それは……寂しくなるな」
「でしょ? だからレイも来たらいいじゃん。この時期だともう学校はじまっちゃって、今、夏季休暇のはずだから。二学期から入るかんじで、学園はいまだかつて誰も受かったことないっていう〝特待生編入テスト〟があるはずだよ」
「はあ? それなら受からないだろ」
そう言いながらも、俺は目を瞬かせた。
(夏前に一学期が……ある? 夏季休暇? 特待生? 編入?)
突然出てきた、日本の高校の話のような単語たち。
この世界がどんな文化なのかはわからないけど、欧米は夏明けから学校だと思うし、そもそもこの世界観の中で……学校っていう概念はどれほどのレベルなんだろうか。
リンの話ぶりは、一瞬、現代の話と混同してしまいそうなほど、レベルの高い教育機関のように聞こえた。
(そんなに高度な教育機関があるなら、たしかに……)
リンが王都に戻るっていうなら、王都に行く伝手があってもいいのかもしれないなと考え始めた。特待生というくらいだから、学費もかからないのかもしれない。少し気持ちが揺れてきた。
「レイならすんなり受かっちゃいそうだけどね。試すだけでもやってみたらどう?」
「うーん、歴史とか知らないからどうかな。まあ、勉強だけはしてみようかな」
しばらく話してからリンが帰ると、フェルトが俺のほうをじっと見ながら口をひらいた。
「なんで俺が言っても聞かないのに、メルヴィル卿の言うことは聞くの」
「……は?」
目を向けると、腕を組んでむっと唇を噛みしめているフェルトの顔があった。
(なにそれ、嫉妬? ……かわいい)
ベッドに伏せたままふてくされているフェルトの上に、横から覆い被さって唇を落とす。不機嫌なフェルトは、「んーッ」と嫌そうな声を上げて抵抗したけど、そんなのはねじ伏せてしまった。
そのまま口内の熱さを楽しんでると、だんだんフェルトの息がはあっと熱いものに変わっていく真っ赤になった顔が、とろんととろけていくのを見ていたら、背筋がぞくっと期待に痺れた。
瞳の緑が溶けて、俺のことで頭いっぱいになっていくフェルトを、じっと見てるのが好きだ。
フェルトとするようになって、自分がキスするのが好きなんだなってはじめて知ったけど、真面目できっちりしたフェルトの理性が流れて、情欲に染まっていく姿を見ると、その差に……胸が締めつけられる。支配欲だとか、独占欲だとか、嗜虐欲だとかで頭がいっぱいになって、すぐに中心に熱が集まってしまう。
ちゅっと音を立てて、静かに口を離すと、フェルトは「ずるい」とやっぱり不満そうな顔をした。
「なんで?」
「俺がどれだけレイのこと好きか、知ってるくせに」
「俺も……好きだよ」
耳たぶを唇で挟みながら言うと、「ん」と、フェルトの体が小さく震えた。
フェルトと奴隷契約してから、もう数えきれないほど体を重ねてる。でも、ほかのやつに挿れるときとは違って、スライムもバイブも生体改造も、実はまだ……一度もフェルトには使ったことない。
はじめて『犬』を飼ったこともあって、なんか自分の手で淫らに育てたいという欲求がある。
おもちゃとか道具を求めるようになられたら、絶対に嫌だと思うし……もし挿れるとしても、俺の形の張り型とかになるだろうなと思う。
フェルトはそんなこと知らないだろうけど、自分の執着の深さに……毎度びっくりしてる。
はじめて挿れられたときから素でケツイキできそうだったから、フェルトの体の可能性への期待もある。
(ピアスは――……絶対つけたい)
部屋着の裾からするりと手を忍ばせて、敏感な乳首をきゅっとつまむと、フェルトの体がピクッと動いた。
キスを深めながら……シャツのボタンを外し、ピンッと立ったえろい乳首をいじっていると、フェルトのペニスが下穿きの布を押し上げているのが見えた。
(なんだろ……これ、たまらないんだよな)
この真面目で健気な騎士の性欲が……わりと強くて、体がすごくえろくて、キスするだけでペニスがよだれ垂らしてるっていうのが。
その事実を本人にも知らしめたくて、うっそりと目を細めながら、いじわるなことを伝える。
「お前、結構変態だよね」
「へ……えッ⁉︎」
そんなこと言われると思ってなかったのか、フェルトは目を見開いて体を固くした。
俺は、これ幸いと……動きを止めているフェルトの下穿きも、手際よく脱がせて丸裸にしてしまった。いつも根本をリングで戒められているペニスが、ぷるぷると震えながらそびえてるのを見て、うっとりする。
期待に震えて涙を流しているかわいい――……あ、別にサイズがかわいいわけじゃないけど、かわいいフェルトのペニスをゆっくりと撫でてやる。
どうせ毎日やってるから、こんな貞操リングをつけといても、なにかを我慢させてるわけではない。
ただ、フェルトが本気で恥ずかしそうにするから……やめられないのだ。
俺がくるくるとリングを撫でながら、ペニスをしごくと――。
「んッ……れい」
顔を真っ赤にしたフェルトが、毎度生娘のように、力なく首を振るのが……はーかわいい。
トイレで用を足す度に、自分のペニスが〝誰〟に支配されてるのか考えて、フェルトはきっとどうしようもない劣情に苛まれているだろうと思う。それを想像すると、俺も興奮が止まらなくて。
体中に俺の痕跡を残して……いつでも俺のことしか考えられないようにしてあげたくなる。
「手、鎖つけるよ」
俺は目隠しもさせて……すべてを委ねさせたいのに、フェルトはそれを嫌がるのだ。
しかたなくお仕置きのときだけにしてる。
(一応……『大切に』しようとは思ってる……から)
今日は長めの鎖で両手首をうしろで拘束して、うつぶせにしたフェルトのお尻を高く上げさせる。そして、尻に指を入れ、浄化の魔法を発動させた。この魔法はとても便利だから、衛生面や健康面を考慮して毎度使ってる。
(フェルトの穴に俺以外を入れたくないから、スライムは使わない)
綺麗な色をした……俺だけしか知らないフェルトの尻の穴が、これからの行為への期待にキュンキュンと収縮した。
ふふ、と思わず笑うと、フェルトが顔を枕にこすりつけて真っ赤になって悶えていた。
行為の最後にはいつも、男を受け入れるためにあるような……とろとろのえろい尻穴になってしまうくせに、何回体をつなげても健気な反応だなあ、と思う。
「えろい穴」
「れいッ!」
二本の指をばらばらと中で動かすと、フェルトからハアと息が洩れた。
前立腺を引っ掻きながら、指を増やして、広げていく。何回も俺のペニスを受け入れてる穴は、すっかり俺の形を覚えていて、指の刺激だけでは足りなくて貪欲に求めてくる。
俺はフェルトに見えないように、ベッドの天蓋にビデオカメラ的なものを設置した。
(ふふ……あとで見せてあげよう)
自分の尻がこんなに卑猥に男を誘ってるなんて知らないだろうから、見たら卒倒するかもしれない。
ちゅぷと濡れた音が響いて、フェルトがさらに顔を枕に沈めた。女みたいな音が出てることが恥ずかしいんだろうなと思うので、わざと音を立てるように中をかき回した。
「フェルト、自分で挿れて」
俺は枕を積んで寄りかかると、フェルトを向かい合う形にひっくり返した。鎖でつながった両手をうしろにつかせて、足を大きくひらかせた。
フェルトの綺麗な尻穴も張りつめたペニスも丸見えで、その艶かしい光景に……思わずごくっと喉が鳴る。自分のペニスを扱きながら、フェルトがおずおずと腰を落としていく姿を眺めた。
俺のペニスの先端が尻穴に当たると、フェルトがビクッと震えた。
いつものことなのに、いつまでもかわいい反応をしてくれるフェルトに、きゅうっと胸が締めつけられた。
「ほら、欲しくないの?」
軽く腰を揺すってペニスを擦りつけると、唇を噛みしめながらフェルトは動きを再開した。
フェルトの尻の穴が……ゆっくりと俺のペニスを呑み込んでいく。恥ずかしがりながらも、自分のすべてをさらけ出して…従うフェルトの姿に……自然と、心臓の音が早くなる。
(カメラアングルは……ぴったりの位置だったな)
自分で腰を落としてるのに、俺のペニスが中をこすりあげると「ぁっ……あッ」と、フェルトの顔がとろけていく。
最奥まで俺のペニスを呑み込むと、フェルトは「はあぁ……」と満足気にため息をついた。
名器なんだよなーと思いながら、腰を動かしたい気持ちを必死でこらえて、命令した。
「動いて」
俺に言われて、たまらなくなったのか、フェルトはおずおずと腰を振り始めた。
フェルトの綺麗な腹筋が動き、ペニスが揺れているのが丸見えだ。騎士であるフェルトは体力もしっかりあるから、無理な体勢でも貪欲に快感を追ってしまうんだろう。
だんだんと腰の動きは大胆になり……自分の気持ちのいいところを、俺のペニスでこすりながら、フェルトは気持ちよさそうに目を閉じた。
「あッ……んッ! ん……れぃ……」
いつも控えめに喘ぐフェルトだけど、体自体は敏感すぎるほどで、小さな快感も拾って……達しそうになっては、我慢しているのがわかる。
喘がないようにしていたって……こんなえろい体ならば、我慢した分、内にこもるだけなのにと思う。
でも、唇を噛みしめてがんばって我慢してる姿も……それはそれでかわいい。
そして最終的には、我慢できなくなるほど、俺に泣かされることになる。
「気持ちいい」
思わずそう口走ると、嬉しそうにきゅうううっと穴が締めつけてきた。くすくすと笑ってしまう。
この騎士さま本人は非常に強情だけど、体は素直だ。
「あぁッ……れい、好きだよ」
戒められたペニスをぺちぺち揺らして淫らに腰を上下させてるフェルトが、恋してるみたいな顔で言った。
俺はいつも……この卑猥さと純情のギャップに煽られてしまう。
(そんなことをフェルトは知らないだろうけど……すごく、興奮する)
ぐっと腰をつきあげると、突然の刺激に「ああッ!」とフェルトが甘い声を上げた。
「俺がイくまでやってよ」
ごくりとフェルトの喉が鳴る。
目の前で揺れてるフェルトのペニスをしごくと「ふぁあッ」とフェルトがのけぞった。「ほら、早く」と言いながら笑うと、健気な騎士さまは律動を再開した。
ペニスをしごくたびに、きゅんきゅん尻が締めつけてきて、すげえ……気持ちい。
俺はかちかちになったペニスを優しく撫でながら、「イかせてくれたら、外してあげる」と、にっこり笑って言った。
フェルトは泣きそうな顔をしながら、ガクガクと一生懸命腰を振ってて――。
(すごくかわいかった…………あんなかわいい生き物いる?)
――と、まあ、こんなかんじで、俺は学園に編入することになったわけだった。
ちなみに……なんで『女』として編入するはめになったかというと。
フェルトとリンが、平民の男だと第二王女殿下――ロザリー・マリアンヌ・ザイーグっていうやつに、有無を言わさず奴隷にされてしまうからだと言っていた。
平民の男に人権はないのか? とか、女同士のほうがいじめとかあったら面倒だろ、とか思ったけど、あまりにも二人が真剣な顔をして言うものだから結局そうなった。
本当にひどい国みたいだ。
さすがに平民といえども、貴族に無理矢理奴隷にされることは、まあ……一応ないらしく、王子さまや貴族の坊ちゃんたちが、その王女殿下よりはマシなために、女でいたほうが安全……という解釈らしい。
(普通は王族だろうが、無実の平民を奴隷にすることはできないってことなんだし、なんかオカシイんだろうけど)
学園にはダンジョンから通うつもりだったのに、特待生には寮の一室があてがわれる……ということで、しかたなく寮生活をすることになった。ユエがいるから移動は自由だからと思って、諦めることにした。
貴族の寮とは違って、従者や護衛でも女子寮に男は入れないから、結局……フェルトとの時間が減って、非常に不満だ。
(だから、女なんてめんどくせーだけだって言ったのに……)
でも、腹いせに、胸をぽよんぽよんの巨乳にしてやったら、フェルトがすごく慌ててるのが見られたので、少し溜飲は下がった。
俺がいない間、フェルトは冒険者として活動するつもりらしい。
王都は鬼門だからやめとけって言ったのに、俺のそばを離れるわけに行かないから王都を拠点にすると言って、聞かなかった。
本当に頑固だ。
そういえば、俺も冒険者登録したんだが――?
――俺の冒険は、一体いつ……始まるんだろうか。
ひさしぶりなので今日は長めですが、もうちょっと少なめを隔日21時更新……目指します:)滞る場合はX(Twitter)でお知らせします。それでは、【乙女ゲーム開始編】も、どうぞよろしくお願いします!
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「はあー? 平民のくせに編入したやつがいる?」
「あれ? たしか去年、――市井で育てられたっていう男爵令嬢がいたんじゃなかったか? なんかすげえかわいいって話題になってただろ」
夏の暑さがいまだ残って、蝉のなく声が響いていた。
夏季休暇から学園へと戻ってきた学生たちが、おのおのの近況や休暇の話を交わすのに混ざって、そんな驚いた声が始業前のオーベルソミュール王立魔法学園のそこかしこから聞こえてくる。
「そうなんだよ! 毎年話題にこと欠かないな。見に行こーぜ! あの、誰も受からないだろうって言われてた小難しい編入試験を正面からクリアして入ってきた〝平民〟だぞ?」
「男?」
「いや、女らしい」
「まじかよ、一体どんなやつなんだ……勉強しかしてないような女なのか?」
「編入試験受かるんだから、まあ、勉強の申し子みたいな硬いやつなんだろうな」
そんな会話を経て、一年生の教室のある校舎へと、続々と学生が集まってくる。
休み時間になると、一年二組の教室の廊下には、生徒が溢れかえっていた。
その〝編入生〟は、窓際の最後列に座って、なにをするでもなく、外をぼんやりと眺めていた。
太陽に透けて、硝子細工のように煌めく銀髪が穏やかな風になびいた。銀糸の奥からのぞく、アメジストのように美しい大きな瞳を……気だるそうに細めている。きゃしゃな肩、きめ細やかな白い肌、小さな顔。
自分を見に来る多くの生徒たちに飽き飽きしているのか、憂いを湛えた表情で、深いため息を着いた。
その〝噂の編入生〟――レイ・アキミヤは、内心思っていた。
(俺は――……パンダか!)
◆ ◆ ◆
――数ヶ月前のことだった。
グレンヴィル地方では――非公式の領主交代があり、長子ハクラ・ラムレイが『病に倒れた父の代理』としてグレンヴィルの領主代行となった。
それからというもの、国中から、徐々に革命派の人々がグレンヴィルに集まってきており、革命軍本拠地としての位置を確立しつつある。
国は一体なにを考えてるのかさっぱりわからないけれど、もしかすると、反乱因子を全部まとめて撃退する気で放置しているのだろうか。
今のところは、俺に直接問題が降りかかることでもないので、俺はのんびりとダンジョン建設を強化しているわけだった。
ベッドに転がりながら、フェルトの猫っ毛を触って、指でくるくると回して遊んでたときだった。おもむろにフェルトが尋ねてきた。
「そういえばさ、レイは十八才でしょ? レイの国では学校に行かなかったの?」
「んー? 行ってたよ。フェルトは?」
「あ、俺も騎士学校出てるよ。親が早く死んじゃったんだけど、ばーちゃんがお金を貯めてたみたいで、十五才から二年通って、十七才から騎士団に入った」
そうだとすれば、新人に見えたフェルトも……騎士団では五年近く過ごしているんだなと思った。
騎士の学校があるのか……と感心する。職業訓練の一環だろうか。そんな専門の学校に行けるのであれば、おそらく……フェルトは恵まれていた平民なんだろうなと思った。
「へー。騎士になるやつらはみんな学校行くわけ?」
「いや、一般公募もあるよ。ジョー先輩とかはその試験で受かったって聞いたよ」
「ふうん」
俺は特に興味もなく、その話を聞いていた。
「レイは頭いいんだから、王都の魔法学園とか行ってみたらいいのに」
「やだよ。フェルトも行くならいいかもしれないけど、お前年違うから行けないし」
「だいたいの人が寮から通うけど、自分の家からも通えるって聞いたよ? レイ、本も好きだし、勉強結構好きでしょ。行ってみたらいいのに」
そう言いながら、フェルトはその〝魔法学園〟の説明を始めてしまった。
聞き流していたが、どうやらそれは日本で言うところの高校のような施設で……だけど、習う内容は、大学のように単位制で、専門的なことを学ぶ……のような変な施設だった。
なんでそんな話を始めたんだろうかと、首をかしげながらフェルトに尋ねた。
「なんなの? 俺といんの嫌になったわけ?」
「そんなこと言ってないよ! れ、レイとは一緒にいたいけど、レイまだ若いし、この世界のことを知るのもいいのかなって」
「フェルトが教えてくれたらいいじゃん」
「え、ああ、まあそうだけど。王都には、大きな図書館もあるよ」
必死にそう訴えてくるフェルトの様子を見て、俺は眉間に皺を寄せた。
大体、その学校は……話を聞く限り、十六才から通うようだ。たしかに俺は小柄だし、童顔かもしれないけど、それでも高校を卒業して大学に入るところだったのに、なんでまたそんな面倒くさい場所に通わなくてはいけないんだ。
(なんでこんなに学校を推してくるんだ? なんかあんのか……?)
学校ってそんなに必要なことだろうか。人脈を作るとかそういう意味では必要なんだろうけど、そんなものを欲しいと思ったことはなかった。話し相手にも困っていない。ユエが一緒にいる今、図書館に行きたければ、召還陣で行ってしまうことだってできる。
王都の学園だなんて、話を聞いているかぎり、王侯貴族に関わることになるだろうし、厄介ごとの匂いしかしない。
フェルトの意図がまったく理解できなかった。
「同年代の男が山ほどいるとこで、三年も肩を並べて勉強か。好みのやつもいるだろうなー。フェルトより若くて、いい肉体の、優秀なやつが」
「――……レイ、なにそれ。そういうこと言ってないって言ってるんだけど!」
「そんなにフェルトが言うなら考えてもいいけど、うっかり目移りしちゃうかもなー」
「……レイ。俺は純粋に! レイはまだ十代でお金もあるんだから、どうかなって思っただけだよ。それに……それにレイは、その……」
「なんだよ」
フェルトが真剣な顔でなにかを言いかけたとき、コンコンと部屋の扉をノックする音が聞こえた。
ベッドから体を起こして「どうぞ」と言うと、リンがひょこっと顔を出した。
「あれー? ひさしぶりに来たら、なんか険悪なかんじだね。どしたの?」
「「…………」」
「あら? あはは、本当に険悪だった? いつもすごく仲よしなのにね」
「レイがまだ十代だから、王都の学園に通ったらどうかなって話してたんですけど……意見が合わなくて」
「えー? レイが学園? たしかにまだ若いもんねー。見た目も若いし。いいじゃん、行ってみなよー」
会話を聞いていたわけではないのに、リンまで軽率に学校を薦めてくる。
めんどうなことに賛同してくれたもんだと、俺はリンのことを睨みながら訊いた。
「なんで?」
「や、実はさ~、グレンヴィルが……一応、長男が継いだってことにはなってるけど、ラムレイ反乱の匂いがぷんぷんしてるもんだから、さすがに王都に呼び戻されちゃって。俺も反乱側についたら大変と思われたのかなー? また王都勤務になるんだよ。レイも一緒に王都なら、俺も楽しいしー嬉しいしー?」
「え、リン……いなくなるのか。それは……寂しくなるな」
「でしょ? だからレイも来たらいいじゃん。この時期だともう学校はじまっちゃって、今、夏季休暇のはずだから。二学期から入るかんじで、学園はいまだかつて誰も受かったことないっていう〝特待生編入テスト〟があるはずだよ」
「はあ? それなら受からないだろ」
そう言いながらも、俺は目を瞬かせた。
(夏前に一学期が……ある? 夏季休暇? 特待生? 編入?)
突然出てきた、日本の高校の話のような単語たち。
この世界がどんな文化なのかはわからないけど、欧米は夏明けから学校だと思うし、そもそもこの世界観の中で……学校っていう概念はどれほどのレベルなんだろうか。
リンの話ぶりは、一瞬、現代の話と混同してしまいそうなほど、レベルの高い教育機関のように聞こえた。
(そんなに高度な教育機関があるなら、たしかに……)
リンが王都に戻るっていうなら、王都に行く伝手があってもいいのかもしれないなと考え始めた。特待生というくらいだから、学費もかからないのかもしれない。少し気持ちが揺れてきた。
「レイならすんなり受かっちゃいそうだけどね。試すだけでもやってみたらどう?」
「うーん、歴史とか知らないからどうかな。まあ、勉強だけはしてみようかな」
しばらく話してからリンが帰ると、フェルトが俺のほうをじっと見ながら口をひらいた。
「なんで俺が言っても聞かないのに、メルヴィル卿の言うことは聞くの」
「……は?」
目を向けると、腕を組んでむっと唇を噛みしめているフェルトの顔があった。
(なにそれ、嫉妬? ……かわいい)
ベッドに伏せたままふてくされているフェルトの上に、横から覆い被さって唇を落とす。不機嫌なフェルトは、「んーッ」と嫌そうな声を上げて抵抗したけど、そんなのはねじ伏せてしまった。
そのまま口内の熱さを楽しんでると、だんだんフェルトの息がはあっと熱いものに変わっていく真っ赤になった顔が、とろんととろけていくのを見ていたら、背筋がぞくっと期待に痺れた。
瞳の緑が溶けて、俺のことで頭いっぱいになっていくフェルトを、じっと見てるのが好きだ。
フェルトとするようになって、自分がキスするのが好きなんだなってはじめて知ったけど、真面目できっちりしたフェルトの理性が流れて、情欲に染まっていく姿を見ると、その差に……胸が締めつけられる。支配欲だとか、独占欲だとか、嗜虐欲だとかで頭がいっぱいになって、すぐに中心に熱が集まってしまう。
ちゅっと音を立てて、静かに口を離すと、フェルトは「ずるい」とやっぱり不満そうな顔をした。
「なんで?」
「俺がどれだけレイのこと好きか、知ってるくせに」
「俺も……好きだよ」
耳たぶを唇で挟みながら言うと、「ん」と、フェルトの体が小さく震えた。
フェルトと奴隷契約してから、もう数えきれないほど体を重ねてる。でも、ほかのやつに挿れるときとは違って、スライムもバイブも生体改造も、実はまだ……一度もフェルトには使ったことない。
はじめて『犬』を飼ったこともあって、なんか自分の手で淫らに育てたいという欲求がある。
おもちゃとか道具を求めるようになられたら、絶対に嫌だと思うし……もし挿れるとしても、俺の形の張り型とかになるだろうなと思う。
フェルトはそんなこと知らないだろうけど、自分の執着の深さに……毎度びっくりしてる。
はじめて挿れられたときから素でケツイキできそうだったから、フェルトの体の可能性への期待もある。
(ピアスは――……絶対つけたい)
部屋着の裾からするりと手を忍ばせて、敏感な乳首をきゅっとつまむと、フェルトの体がピクッと動いた。
キスを深めながら……シャツのボタンを外し、ピンッと立ったえろい乳首をいじっていると、フェルトのペニスが下穿きの布を押し上げているのが見えた。
(なんだろ……これ、たまらないんだよな)
この真面目で健気な騎士の性欲が……わりと強くて、体がすごくえろくて、キスするだけでペニスがよだれ垂らしてるっていうのが。
その事実を本人にも知らしめたくて、うっそりと目を細めながら、いじわるなことを伝える。
「お前、結構変態だよね」
「へ……えッ⁉︎」
そんなこと言われると思ってなかったのか、フェルトは目を見開いて体を固くした。
俺は、これ幸いと……動きを止めているフェルトの下穿きも、手際よく脱がせて丸裸にしてしまった。いつも根本をリングで戒められているペニスが、ぷるぷると震えながらそびえてるのを見て、うっとりする。
期待に震えて涙を流しているかわいい――……あ、別にサイズがかわいいわけじゃないけど、かわいいフェルトのペニスをゆっくりと撫でてやる。
どうせ毎日やってるから、こんな貞操リングをつけといても、なにかを我慢させてるわけではない。
ただ、フェルトが本気で恥ずかしそうにするから……やめられないのだ。
俺がくるくるとリングを撫でながら、ペニスをしごくと――。
「んッ……れい」
顔を真っ赤にしたフェルトが、毎度生娘のように、力なく首を振るのが……はーかわいい。
トイレで用を足す度に、自分のペニスが〝誰〟に支配されてるのか考えて、フェルトはきっとどうしようもない劣情に苛まれているだろうと思う。それを想像すると、俺も興奮が止まらなくて。
体中に俺の痕跡を残して……いつでも俺のことしか考えられないようにしてあげたくなる。
「手、鎖つけるよ」
俺は目隠しもさせて……すべてを委ねさせたいのに、フェルトはそれを嫌がるのだ。
しかたなくお仕置きのときだけにしてる。
(一応……『大切に』しようとは思ってる……から)
今日は長めの鎖で両手首をうしろで拘束して、うつぶせにしたフェルトのお尻を高く上げさせる。そして、尻に指を入れ、浄化の魔法を発動させた。この魔法はとても便利だから、衛生面や健康面を考慮して毎度使ってる。
(フェルトの穴に俺以外を入れたくないから、スライムは使わない)
綺麗な色をした……俺だけしか知らないフェルトの尻の穴が、これからの行為への期待にキュンキュンと収縮した。
ふふ、と思わず笑うと、フェルトが顔を枕にこすりつけて真っ赤になって悶えていた。
行為の最後にはいつも、男を受け入れるためにあるような……とろとろのえろい尻穴になってしまうくせに、何回体をつなげても健気な反応だなあ、と思う。
「えろい穴」
「れいッ!」
二本の指をばらばらと中で動かすと、フェルトからハアと息が洩れた。
前立腺を引っ掻きながら、指を増やして、広げていく。何回も俺のペニスを受け入れてる穴は、すっかり俺の形を覚えていて、指の刺激だけでは足りなくて貪欲に求めてくる。
俺はフェルトに見えないように、ベッドの天蓋にビデオカメラ的なものを設置した。
(ふふ……あとで見せてあげよう)
自分の尻がこんなに卑猥に男を誘ってるなんて知らないだろうから、見たら卒倒するかもしれない。
ちゅぷと濡れた音が響いて、フェルトがさらに顔を枕に沈めた。女みたいな音が出てることが恥ずかしいんだろうなと思うので、わざと音を立てるように中をかき回した。
「フェルト、自分で挿れて」
俺は枕を積んで寄りかかると、フェルトを向かい合う形にひっくり返した。鎖でつながった両手をうしろにつかせて、足を大きくひらかせた。
フェルトの綺麗な尻穴も張りつめたペニスも丸見えで、その艶かしい光景に……思わずごくっと喉が鳴る。自分のペニスを扱きながら、フェルトがおずおずと腰を落としていく姿を眺めた。
俺のペニスの先端が尻穴に当たると、フェルトがビクッと震えた。
いつものことなのに、いつまでもかわいい反応をしてくれるフェルトに、きゅうっと胸が締めつけられた。
「ほら、欲しくないの?」
軽く腰を揺すってペニスを擦りつけると、唇を噛みしめながらフェルトは動きを再開した。
フェルトの尻の穴が……ゆっくりと俺のペニスを呑み込んでいく。恥ずかしがりながらも、自分のすべてをさらけ出して…従うフェルトの姿に……自然と、心臓の音が早くなる。
(カメラアングルは……ぴったりの位置だったな)
自分で腰を落としてるのに、俺のペニスが中をこすりあげると「ぁっ……あッ」と、フェルトの顔がとろけていく。
最奥まで俺のペニスを呑み込むと、フェルトは「はあぁ……」と満足気にため息をついた。
名器なんだよなーと思いながら、腰を動かしたい気持ちを必死でこらえて、命令した。
「動いて」
俺に言われて、たまらなくなったのか、フェルトはおずおずと腰を振り始めた。
フェルトの綺麗な腹筋が動き、ペニスが揺れているのが丸見えだ。騎士であるフェルトは体力もしっかりあるから、無理な体勢でも貪欲に快感を追ってしまうんだろう。
だんだんと腰の動きは大胆になり……自分の気持ちのいいところを、俺のペニスでこすりながら、フェルトは気持ちよさそうに目を閉じた。
「あッ……んッ! ん……れぃ……」
いつも控えめに喘ぐフェルトだけど、体自体は敏感すぎるほどで、小さな快感も拾って……達しそうになっては、我慢しているのがわかる。
喘がないようにしていたって……こんなえろい体ならば、我慢した分、内にこもるだけなのにと思う。
でも、唇を噛みしめてがんばって我慢してる姿も……それはそれでかわいい。
そして最終的には、我慢できなくなるほど、俺に泣かされることになる。
「気持ちいい」
思わずそう口走ると、嬉しそうにきゅうううっと穴が締めつけてきた。くすくすと笑ってしまう。
この騎士さま本人は非常に強情だけど、体は素直だ。
「あぁッ……れい、好きだよ」
戒められたペニスをぺちぺち揺らして淫らに腰を上下させてるフェルトが、恋してるみたいな顔で言った。
俺はいつも……この卑猥さと純情のギャップに煽られてしまう。
(そんなことをフェルトは知らないだろうけど……すごく、興奮する)
ぐっと腰をつきあげると、突然の刺激に「ああッ!」とフェルトが甘い声を上げた。
「俺がイくまでやってよ」
ごくりとフェルトの喉が鳴る。
目の前で揺れてるフェルトのペニスをしごくと「ふぁあッ」とフェルトがのけぞった。「ほら、早く」と言いながら笑うと、健気な騎士さまは律動を再開した。
ペニスをしごくたびに、きゅんきゅん尻が締めつけてきて、すげえ……気持ちい。
俺はかちかちになったペニスを優しく撫でながら、「イかせてくれたら、外してあげる」と、にっこり笑って言った。
フェルトは泣きそうな顔をしながら、ガクガクと一生懸命腰を振ってて――。
(すごくかわいかった…………あんなかわいい生き物いる?)
――と、まあ、こんなかんじで、俺は学園に編入することになったわけだった。
ちなみに……なんで『女』として編入するはめになったかというと。
フェルトとリンが、平民の男だと第二王女殿下――ロザリー・マリアンヌ・ザイーグっていうやつに、有無を言わさず奴隷にされてしまうからだと言っていた。
平民の男に人権はないのか? とか、女同士のほうがいじめとかあったら面倒だろ、とか思ったけど、あまりにも二人が真剣な顔をして言うものだから結局そうなった。
本当にひどい国みたいだ。
さすがに平民といえども、貴族に無理矢理奴隷にされることは、まあ……一応ないらしく、王子さまや貴族の坊ちゃんたちが、その王女殿下よりはマシなために、女でいたほうが安全……という解釈らしい。
(普通は王族だろうが、無実の平民を奴隷にすることはできないってことなんだし、なんかオカシイんだろうけど)
学園にはダンジョンから通うつもりだったのに、特待生には寮の一室があてがわれる……ということで、しかたなく寮生活をすることになった。ユエがいるから移動は自由だからと思って、諦めることにした。
貴族の寮とは違って、従者や護衛でも女子寮に男は入れないから、結局……フェルトとの時間が減って、非常に不満だ。
(だから、女なんてめんどくせーだけだって言ったのに……)
でも、腹いせに、胸をぽよんぽよんの巨乳にしてやったら、フェルトがすごく慌ててるのが見られたので、少し溜飲は下がった。
俺がいない間、フェルトは冒険者として活動するつもりらしい。
王都は鬼門だからやめとけって言ったのに、俺のそばを離れるわけに行かないから王都を拠点にすると言って、聞かなかった。
本当に頑固だ。
そういえば、俺も冒険者登録したんだが――?
――俺の冒険は、一体いつ……始まるんだろうか。
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