82 / 119
1-4 反乱の狼煙
79 救出・前
しおりを挟む
た、大変長らくお待たせしました……!
第1章完結までの予約、終わりました!!!3章まであるのですが、今月中に第1章は完結します。どうぞよろしくお願いします。いつも本当にありがとうございます!!!
――――――――
「なあ、キスしとこっかー」
「へ?!」
ダンジョンの入り口でフェルトたちを待ちながら、どうしようかなといろいろ考えていた。
夜の森はいつもなら静まりかえっているところだけど、今日は違う。たくさんの天幕が並び、ざわざわがやがやと大勢の人間が動く音がする。
ざっと足音が聞こえたので顔を上げると、こわばった表情のフェルトが立っていた。この顔はあんまり好きじゃないなーと思う。ぐいっとフェルトの手を引っぱり、片手をフェルトの首に手をまわすと、「んー」と目をつぶりながら、俺は空気を読まずにそんなことを言った。
そしたら、フェルトのやつ……こともあろうに「ちょ、ちょっとレイ」とかいいながら、顔を背けやがった。俺は少しイラッとしながら、口をひらく。
「んーだってなんかこの国大変そうだし、どっちかが死ぬことになったりしたらもうできないし?」
「レイ! そういうのは――!」
フェルトのそんな顔を見てるのが嫌なだけだけど、そうでも言っとけばフェルトは俺の好きにさせてくれるだろうと思う。フェルトの高い鼻に、自分の鼻をすりすりとこすりつけながら、唇が触れるか触れないかのところで話す。
「ほら、口あけて」
「――わッ」
俺は真っ赤になってるフェルトの唇をぺろっと舐めた。「ん?」と誘うように首を傾けたら、フェルトもおずおずと唇を重ねてきた。角度を変えながら数度押しつけていると、だんだん口づけが深くなった。うっとりした顔で目を閉じたフェルトを見てたら、だんだん我慢もできなくなる。「なーセックスもしとく?」て聞いたら、さすがに怒られた。
「レイッ! だいたいどうするつもりなの? なんか秘策でもあるわけ?」
「んー……まあ、なんとかなるかもなあってくらい。一応ついてきてよ」
「あ、当たり前だよ! レイのこと放っておくわけない!」
「じゃあセックスしてから行こー」
俺がフェルトの股間を指でつつーとなでると、ガシッと手を握りしめられる。見上げたら、フェルトの怖い顔があって心底げんなりした。
「レイ! ふざけてないで、ちゃんと説明して」
「え、すっきりしてから行ったほうが、なんか成果でそうだ」
「そういう問題じゃないよ!」
そう叫んだあと、早く説明しろと言わんばかりのフェルトにじっと睨まれる。俺はフェルトの首にまわしていた腕を下ろすと、説明を始めることにした。正直、めんどくさい説明だから、適当に話そうと思う。
「ダンジョンの仕様で〝召還陣〟っていうのがあるんだよ。モンスター召還するやつな」
「うん、セイレーンと契約したって言ってたよね」
「それで最近、またモンスターと契約して、第四階層に住んでもらおうと思ったんだ。そしたらさ、セイレーンのときは召還陣の上にセイレーンが出現したんだけど、そんときはそこに『扉』が出た」
「扉?」
「そう。その扉に入ってみたら……王都につながってたんだ」
「……は?」
ぱかんと口を開けたフェルトに「面倒だから簡単に言うけど」とひとこと前置きしてから、俺はことの成り行きを説明した。
俺が召喚したモンスターは、どうやら王都に住んでいるらしいのだ。つまり、その扉に入れば、遠く離れた王都につながっている。人質の投獄場所を探して→牢に侵入→牢からまた扉を出す→人質も連れて戻る……ということが可能なんじゃないかと思うのだ。
「……ちょ、ちょっと待って、レイいつの間にそんなわけわかんないことができるようになったわけ??? 本当にそんなことができるの?」
「んーだからさ、セックスする時間もあると思うんだよね」
「レイッ!」
「えー。だって、俺、結局一回しかフェルトの中に入れたことない。入れたい」
「え! にかッ――……あ、いや、なんでもない。じ、時間があるとかないとか、そういう問題じゃないよッ!」
ハア。全然やれそーにない。嫌な気持ちだけでもフェルトに伝われと思いながら、俺はため息をついた。とにかく、第二騎士団のことを解決しなければ、かわいい俺の騎士は性欲なんて二の次みたいだ。まあ、そりゃあそうか。ここで俺に流されるような男ではないことは、知ってた気がする。
「それで? お前はファシオンの監獄のことはどれくらい知ってるわけ?」
「いくつかあるんだ。たしか、――全部で五つ。行ったことはあるけど、中の構造とか詳しいことはわからない」
「――あ、それ、俺の得意分野かなー?」
第1章完結までの予約、終わりました!!!3章まであるのですが、今月中に第1章は完結します。どうぞよろしくお願いします。いつも本当にありがとうございます!!!
――――――――
「なあ、キスしとこっかー」
「へ?!」
ダンジョンの入り口でフェルトたちを待ちながら、どうしようかなといろいろ考えていた。
夜の森はいつもなら静まりかえっているところだけど、今日は違う。たくさんの天幕が並び、ざわざわがやがやと大勢の人間が動く音がする。
ざっと足音が聞こえたので顔を上げると、こわばった表情のフェルトが立っていた。この顔はあんまり好きじゃないなーと思う。ぐいっとフェルトの手を引っぱり、片手をフェルトの首に手をまわすと、「んー」と目をつぶりながら、俺は空気を読まずにそんなことを言った。
そしたら、フェルトのやつ……こともあろうに「ちょ、ちょっとレイ」とかいいながら、顔を背けやがった。俺は少しイラッとしながら、口をひらく。
「んーだってなんかこの国大変そうだし、どっちかが死ぬことになったりしたらもうできないし?」
「レイ! そういうのは――!」
フェルトのそんな顔を見てるのが嫌なだけだけど、そうでも言っとけばフェルトは俺の好きにさせてくれるだろうと思う。フェルトの高い鼻に、自分の鼻をすりすりとこすりつけながら、唇が触れるか触れないかのところで話す。
「ほら、口あけて」
「――わッ」
俺は真っ赤になってるフェルトの唇をぺろっと舐めた。「ん?」と誘うように首を傾けたら、フェルトもおずおずと唇を重ねてきた。角度を変えながら数度押しつけていると、だんだん口づけが深くなった。うっとりした顔で目を閉じたフェルトを見てたら、だんだん我慢もできなくなる。「なーセックスもしとく?」て聞いたら、さすがに怒られた。
「レイッ! だいたいどうするつもりなの? なんか秘策でもあるわけ?」
「んー……まあ、なんとかなるかもなあってくらい。一応ついてきてよ」
「あ、当たり前だよ! レイのこと放っておくわけない!」
「じゃあセックスしてから行こー」
俺がフェルトの股間を指でつつーとなでると、ガシッと手を握りしめられる。見上げたら、フェルトの怖い顔があって心底げんなりした。
「レイ! ふざけてないで、ちゃんと説明して」
「え、すっきりしてから行ったほうが、なんか成果でそうだ」
「そういう問題じゃないよ!」
そう叫んだあと、早く説明しろと言わんばかりのフェルトにじっと睨まれる。俺はフェルトの首にまわしていた腕を下ろすと、説明を始めることにした。正直、めんどくさい説明だから、適当に話そうと思う。
「ダンジョンの仕様で〝召還陣〟っていうのがあるんだよ。モンスター召還するやつな」
「うん、セイレーンと契約したって言ってたよね」
「それで最近、またモンスターと契約して、第四階層に住んでもらおうと思ったんだ。そしたらさ、セイレーンのときは召還陣の上にセイレーンが出現したんだけど、そんときはそこに『扉』が出た」
「扉?」
「そう。その扉に入ってみたら……王都につながってたんだ」
「……は?」
ぱかんと口を開けたフェルトに「面倒だから簡単に言うけど」とひとこと前置きしてから、俺はことの成り行きを説明した。
俺が召喚したモンスターは、どうやら王都に住んでいるらしいのだ。つまり、その扉に入れば、遠く離れた王都につながっている。人質の投獄場所を探して→牢に侵入→牢からまた扉を出す→人質も連れて戻る……ということが可能なんじゃないかと思うのだ。
「……ちょ、ちょっと待って、レイいつの間にそんなわけわかんないことができるようになったわけ??? 本当にそんなことができるの?」
「んーだからさ、セックスする時間もあると思うんだよね」
「レイッ!」
「えー。だって、俺、結局一回しかフェルトの中に入れたことない。入れたい」
「え! にかッ――……あ、いや、なんでもない。じ、時間があるとかないとか、そういう問題じゃないよッ!」
ハア。全然やれそーにない。嫌な気持ちだけでもフェルトに伝われと思いながら、俺はため息をついた。とにかく、第二騎士団のことを解決しなければ、かわいい俺の騎士は性欲なんて二の次みたいだ。まあ、そりゃあそうか。ここで俺に流されるような男ではないことは、知ってた気がする。
「それで? お前はファシオンの監獄のことはどれくらい知ってるわけ?」
「いくつかあるんだ。たしか、――全部で五つ。行ったことはあるけど、中の構造とか詳しいことはわからない」
「――あ、それ、俺の得意分野かなー?」
64
お気に入りに追加
803
あなたにおすすめの小説
釣った魚、逃した魚
円玉
BL
瘴気や魔獣の発生に対応するため定期的に行われる召喚の儀で、浄化と治癒の力を持つ神子として召喚された三倉貴史。
王の寵愛を受け後宮に迎え入れられたかに見えたが、後宮入りした後は「釣った魚」状態。
王には放置され、妃達には嫌がらせを受け、使用人達にも蔑ろにされる中、何とか穏便に後宮を去ろうとするが放置していながら縛り付けようとする王。
護衛騎士マクミランと共に逃亡計画を練る。
騎士×神子 攻目線
一見、神子が腹黒そうにみえるかもだけど、実際には全く悪くないです。
どうしても文字数が多くなってしまう癖が有るので『一話2500文字以下!』を目標にした練習作として書いてきたもの。
ムーンライト様でもアップしています。
ヤクザと捨て子
幕間ささめ
BL
執着溺愛ヤクザ幹部×箱入り義理息子
ヤクザの事務所前に捨てられた子どもを自分好みに育てるヤクザ幹部とそんな保護者に育てられてる箱入り男子のお話。
ヤクザは頭の切れる爽やかな風貌の腹黒紳士。息子は細身の美男子の空回り全力少年。
シナリオ回避失敗して投獄された悪役令息は隊長様に抱かれました
無味無臭(不定期更新)
BL
悪役令嬢の道連れで従兄弟だった僕まで投獄されることになった。
前世持ちだが結局役に立たなかった。
そもそもシナリオに抗うなど無理なことだったのだ。
そんなことを思いながら収監された牢屋で眠りについた。
目を覚ますと僕は見知らぬ人に抱かれていた。
…あれ?
僕に風俗墜ちシナリオありましたっけ?
オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる
クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。
禁断の祈祷室
土岐ゆうば(金湯叶)
BL
リュアオス神を祀る神殿の神官長であるアメデアには専用の祈祷室があった。
アメデア以外は誰も入ることが許されない部屋には、神の像と燭台そして聖典があるだけ。窓もなにもなく、出入口は木の扉一つ。扉の前には護衛が待機しており、アメデア以外は誰もいない。
それなのに祈祷が終わると、アメデアの体には情交の痕がある。アメデアの聖痕は濃く輝き、その強力な神聖力によって人々を助ける。
救済のために神は神官を抱くのか。
それとも愛したがゆえに彼を抱くのか。
神×神官の許された神秘的な夜の話。
※小説家になろう(ムーンライトノベルズ)でも掲載しています。
ふたなり治験棟
ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。
男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!
獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果
ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。
そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。
2023/04/06 後日談追加
お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた
やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。
俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。
独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。
好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け
ムーンライトノベルズにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる