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1-3 ラムレイ辺境伯領グレンヴィルより
49 その後のこと・後 ※
しおりを挟む「気持ちいい? フェルト。ちんこすごい硬い」
フェルトにペニスを咥えさせたまま、手を伸ばしてベッドサイドに置いてあった香油を取る。フェルトのペニスを踏みつけているほうの自分の足に垂らしてぬるぬるにすると、指の間に挟んで上下させてみた。クチュクチュと湿った音が響き、フェルトの息が荒くなる。
「俺……こんなことしたの、はじめて」
こんな屈辱的なことをされているのに、フェルトのペニスは上を向いたままで、うっとりしてしまう。
きっとはじめて咥えただろうフェルトのつたない舌技だけど、小さく洩れる「んっ」という甘さを含んだ声に、興奮する。
よく考えてみれば、俺がフェラしたのも……フェルトがはじめてだった。
(なんで……フェラしてやろうだなんて思ったんだろ)
今まで誰かにそんなことをしようと思ったことなかった。
あのときは……フェルトがガクガク震えて怯えてて、かわいかったからかな。
「自分で舐めたのも……お前のがはじめてだったよ」
ピクッとフェルトが動き、ペニスを咥えたままびっくりした顔をしたフェルトと目が合う。足の指の間にあったペニスがガチガチになって。「わ、なに?」と、突然の変化に俺のほうが動揺してしまう。
足でされんのそんなに好きなの?
縛られて膝立ちで足コキって……フェルト、それ童貞にしてはかなり上級だと思うんだけど。俺は将来有望だったはずの騎士の痴態を、少し不安に思う。
つま先で強弱をつけながら動きを速めてやると、フェルトの眉間に苦しげな皺がよった。
しばらくそうやって、指を滑らせていたが、俺のほうが早く限界がきた。
「出すよ」
俺は柔らかな薄茶色の毛ごと頭を両手で掴むと、熱い喉の奥に腰を押しつけるようにして、頭を上下させる。苦しそうに「うっ」とむせながら目に涙を滲ませるフェルトを見ると、俺のペニスはもっと固くなった。
きっと、まるで愛おしいものを見るような目で……俺はフェルトのことを見てると思う。ぐりぐりと喉に先端を押しつけ、ぐっぐっと腰を動かすと、フェルトと目があった。
苦しげに……挑むようにこちらを見ているきれいな新緑の瞳から、生理的な涙がこぼれ落ちた。
フェルトの表情とは対照的に、できるだけイヤラしく見えるように、にっこりと笑ってあげた。
「呑んで」
あ……――気持ちいい。
俺はくっと体に力を入れ、フェルトの頭をがしっと強く押さえ込んだ。そのまま強く腰を打ちつけ、フェルトの熱い喉の最奥に、精液をこれでもかってほど吐き出した。
あまりの苦しさに、思わず頭を後ろに引こうとするフェルトを押さえつけると、ごぼっごぶっと鈍い音がした。喉がしまって、すげえ気持ちよかった。
ぎゅうっと足の指に力をいれ、フェルトの張りつめたペニスを擦り上げると、ピュッとフェルトも射精した。生温いどろっとした液体が、俺の足指を伝って、甲に垂れてきた。
「え? ……フェルトもイッたの?」
フェルトはぷるぷると真っ赤になって、膝立ちのまま俯いてしまった。肩が荒い呼吸で上下してる。
ペニスからも口からも濃い白い液体がみっともなく垂れ、フェルトから性の匂いが立ちこめていた。
俺の中で、よくわからないけど……〝愛しさ〟みたいなものがこみ上げてくるのを感じる。
ああ、――この生き物に優しくしたい。かわいがりたい。愛したい。ひどくしたい。いじめたい。絶望させたい。
(絶望……させたい)
俺は生温い液体の垂れたつま先を、ハアハアと息をしているフェルトの口にグッとそのままつっこんだ。
「汚れたから、舐めてよ」
「んぐ」
自分の精液の匂いに、フェルトが嫌そうな表情を浮かべている。おいしいわけないよね。きっと……変な味なんだろうな。
それでも従順に、ぺろぺろと犬のように舌を動かすフェルトがかわいくて、ほわっほわっとあたたかな気持ちが満ちていく。
厚い唇に指先を食まれ、ぴくんっと震えてしまった。ちらっとフェルトが俺の様子を窺って、愛しいものでも見るように目を細めた。
(どういう顔……それ)
フェルトがなに考えてんのか、ほんとによくわかんなかった。
でも、胸がギュッと締めつけられて、もうフェルトのことしか考えられないみたいな変な気持ちがする。
動物を飼っていたら……こんな気持ちなんだろうか。撫でまわして、かわいがって、泣かせて、食べてしまってもいいくらい……かわいいなって思うんだろうか。
じゅぷっとフェルトの口から音がする。丁寧に指を舐め回されて、快感が沸き起こる。
あ……なんか――
「――……キスしたい」
俺がつま先をフェルトの口から抜くと、ちゅぷと濡れた音がした。そのまま身を屈ませて、そっと顔を近づけた。
驚いて固ってしまったフェルトの頭を両手で包むと、上に引き上げるみたいに、唇を重ねる。
フェルトの厚い唇。
どんな感触なんだろうと思ってたけど、弾力があって、性的で……。
ぺろりと舐めて、唇を舌先で割りさき、そのまま侵入させた。熱くて柔らかい口内を蹂躙していく。フェルトの精子の味が舌から口の中に広がった。ちゅ、ちゅと角度を変えながら、固まったまま動かないフェルトの唇を味わいつくした。
しばらくして唇を離した。それから、感想を伝えておく。
「まっずい」
そう言いながら笑うと、まだ固まっていたフェルトがハッと我に返って、「あ、当たり前だよ!」と上ずった声で怒ってきた。
俺はフェルトの腕の縄を解いて、そのまま手を引き上げる。フェルトはうながされるままに、俺の上に乗り上げた。ハクハクと息をしてんのかしてないのかよくわからないかんじで、口を開閉させているフェルトの首に手を絡め、吐息がかかる距離で囁いてやった。
「――はじめてキスした。なあ、……もっとする?」
思いのほか掠れていた俺の声は、熱っぽい雰囲気を孕んでいた。
獣のような獰猛なゆらめきを、精錬な騎士の瞳に見た気がした。俺を食べるみたいにフェルトが俺の上に伸しかかり、濡れた唇をひらいた。俺は挑発するように、ぺろりとその獣の唇を舐め上げてやると、そのまま俺のことを食べそうな勢いで口づけられた。
伸しかかられるのは嫌いなはずなのに、そんなに悪い気はしなかった。
目の前で揺れている美しい緑の瞳に、なんか溶かされてしまいそうだと、なんとなく思った。
※※この話でリバはないです(フェルトの気質です)
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