51 / 119
1-3 ラムレイ辺境伯領グレンヴィルより
48 その後のこと・中 ※
しおりを挟む「脱げよ」
薄暗い俺の部屋で、俺はベッドに腰掛けてフェルトを見ていた。
俺の部屋はシンプルな作りにしていたのだが、ベラが「いいマットレスをあげるから!」となぜか粘り、貴族が使うような天蓋つきの巨大なベッドが置かれている。
はっきり言って……趣味ではない。
だけど、天蓋があるってことは上から鎖を吊るしたりもできるし、ヤるときいろんなことできるかもと思って、結局そのままにしている。
一体なんのこだわりなのかさっぱりわからないが『俺に存在していて欲しい空間』っていうのがあるんだとか。大半スウェットで過ごしているから、この貴族の部屋では完全に浮いてる。
ちなみに土足厳禁。そこは譲れない。
さっきフェルトが靴のまま入ろうとして、そこで脱いでと言って指示を出した。そういえば、ベラが部屋を完成させてから、誰も部屋に入れたことなんてなかったなと思って、ふと不思議に思った。
(あれ……俺、なんで自分の部屋に……)
土壁の部屋ならやりたい放題だったのに……と思いながら、首をかしげる。
立ったままのフェルトが騎士の上着の前を開けて、ゆっくりシャツのボタンに手をかける。黄熱灯に照らされて、新緑色の瞳は……なんか夜の色。その目にじっと見つめられて、俺はスッと目を細めた。
どういうことなんだろ。盗賊ってなんか病気とかあんのかな。
自分の体を差し出してまで、阻止してなんか利益ある?
見ないふりしてほっといたほうが、よっぽど楽だろうに。まったく意味がわからない。
上着を脱ぎ、きっちりとした白い清潔そうなシャツがはだけ、少し焼けたフェルトの健康的な肌が露になった。ぱさりとシャツを机に置き、カチャカチャとズボンのベルトを外して、紺色の細身のズボンが下げられる。
俺が視線を外さないせいか、さすがにフェルトの頬が赤い。
恥ずかしいんだな、と思うと……ぶわっとあたたかな気持ちが広がる。心臓がとくとくと鳴る音がやたら大きく聞こえた。
むっと唇を噛みしめながら、フェルトはゆっくりズボンを脱ぎ捨て、透けている黒い下着だけになる。
その姿を見て、ああ、そうだった……と笑いが込み上げた。
俺が悪ふざけで言い出したTバックを、ちゃんと着用してるのを見ると、ほんとに根が真面目なんだろうなと思う。形のいいフェルトのペニスが、ぴったりとした素材の下着の中で、形がわかるほど浮き出てる。
俺に笑われてもっと恥ずかしくなったのか、少し腰を引いているが、全然隠せてなくて笑える。
でも覚悟を決めたのか、おずおずとベッドに腰かけてる俺の前に立った。
「お前、どういうつもりなの?」
「どうって……盗賊なんかにあんまりかまって欲しくなかっただけだよ」
フェルトは、ぷいっと照れたように横を向いた。
「それって自分の体を差し出してまですること? それとも、――俺に、こうされたかった?」
俺は座ったまま足を前に出し、つま先でフェルトのペニスを撫で上げた。
ゆっくりなぞられるのに合わせて、フェルトのペニスがが固さを持ってきた。フェルトも自分の体の変化に気づいたのか、恥ずかしそうに俺の様子を窺っている。
――……へえ。
俺は自然と唇を舐めてしまった。目を細めた俺の視線がフェルトの視線と絡むと、フェルトはビクッと小さく揺れた。
「そう、こうされたかったんだ。ならいいけど。それも脱げよ」
フェルトはちょっと悔しそうな顔をして、それでも従順に黒い下着に指をかけて下げた。
ぶるんと半勃ちのペニスが飛び出して、フェルトはハッと体を硬くして、それから小刻みに震えながら真っ赤になっていた。
仕事相手には手を出さないつもりだったんだけどなー。
ただでさえ、好みなのだ。こんなかわいく誘惑してくるのは、ずるいと思う。
俺が座っているベッドのすぐ下を指差すと、脱ぎ終わったフェルトはのそのそと、床で膝立ちになった。
逆らう気はないらしいフェルトの、両手を後ろにまわし、腰の後ろで縛ると、ちょうど俺の股の間にフェルトの顔がある位置になった。
あー……これ『奴隷騎士』の妄想してたとき、考えたやつ。
俺は怒っていたことなんてすっかり忘れ、打って変わってちょっと上機嫌になった。
スウェットを少し下げて、半勃ちのペニスを出す。それから――、首をかしげながら、にっこり笑って言った。
「舐めて、フェルト」
わざと高圧的に言ったのに、フェルトは嫌な顔をするでもなく、どこか熱に浮かされたみたいな顔になった。厚めのフェルトの唇が、おそるおそる俺のペニスに近づき、「あー」とひらかれる。
まだキスもしたことのない唇が、俺のペニスをゆっくりと包んでいく。
無垢な唇を犯す感覚は、正直――……最高だった。
「……はぁ」
穢されたことのない、熱い粘膜に包まれて、俺はふるりと震えた。
この無垢な体を穢したい。このきれいな魂を支配したい。俺のものにしたい。
フェルト相手だと、どうしてこんな汚い気持ちになるのか……よくわからない。ただ、優しくしたいと思わなくもないのに、屈辱的なことをして苦しませたいという欲望がどうしても勝ってしまう。
ほかの人間に考えたことがないことだった。
プレイの一貫でそういうことはあっても、その人間そのものを支配して、魂を俺のものにしたいだなんて……思ったことない。
一生懸命俺のペニスを咥えて扱いている、崇高な騎士の唇を見ながら、押さえきれない愉悦の笑みがこぼれる。
ちらっとフェルトの股間に目をやると、ペニスは完全に勃起して、透明な汁が滲み出ていた。
(こんな爽やかな顔して……サブミッシブだったのかな。そもそも男に抵抗とかないのか?)
俺のペニスを必死で舐め上げているフェルトのやわらかな髪を梳いてやる。かわいい……犬みたいだ。
一生懸命な姿にきゅんと胸が締めつけられた。
俺は足をあげると、指先をフェルトのペニスごと押しつけるように、フェルトの腹にぐりぐりと踏みつけた。
ビクウッとフェルトの体が大きく揺れて、はあっ……と熱い吐息が洩れた。しばらく俺の足に集中して感じ入っていたが、なにかに耐えるように、あむっと俺のペニスを深く呑み込んだ。
95
お気に入りに追加
818
あなたにおすすめの小説

飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?
執着攻めと平凡受けの短編集
松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。
疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。
基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)
僕の太客が義兄弟になるとか聞いてない
コプラ@貧乏令嬢〜コミカライズ12/26
BL
没落名士の長男ノアゼットは日々困窮していく家族を支えるべく上級学校への進学を断念して仕送りのために王都で働き出す。しかし賢くても後見の無いノアゼットが仕送り出来るほど稼げはしなかった。
そんな時に声を掛けてきた高級娼家のマダムの引き抜きで、男娼のノアとして働き出したノアゼット。研究肌のノアはたちまち人気の男娼に躍り出る。懇意にしてくれる太客がついて仕送りは十分過ぎるほどだ。
そんな中、母親の再婚で仕送りの要らなくなったノアは、一念発起して自分の人生を始めようと決意する。順風満帆に滑り出した自分の生活に満ち足りていた頃、ノアは再婚相手の元に居る家族の元に二度目の帰省をする事になった。
そこで巻き起こる自分の過去との引き合わせに動揺するノア。ノアと太客の男との秘密の関係がまた動き出すのか?

「じゃあ、別れるか」
万年青二三歳
BL
三十路を過ぎて未だ恋愛経験なし。平凡な御器谷の生活はひとまわり年下の優秀な部下、黒瀬によって破壊される。勤務中のキス、気を失うほどの快楽、甘やかされる週末。もう離れられない、と御器谷は自覚するが、一時の怒りで「じゃあ、別れるか」と言ってしまう。自分を甘やかし、望むことしかしない部下は別れを選ぶのだろうか。
期待の若手×中間管理職。年齢は一回り違い。年の差ラブ。
ケンカップル好きへ捧げます。
ムーンライトノベルズより転載(「多分、じゃない」より改題)。

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…

シナリオ回避失敗して投獄された悪役令息は隊長様に抱かれました
無味無臭(不定期更新)
BL
悪役令嬢の道連れで従兄弟だった僕まで投獄されることになった。
前世持ちだが結局役に立たなかった。
そもそもシナリオに抗うなど無理なことだったのだ。
そんなことを思いながら収監された牢屋で眠りについた。
目を覚ますと僕は見知らぬ人に抱かれていた。
…あれ?
僕に風俗墜ちシナリオありましたっけ?

お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた
やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。
俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。
独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。
好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け
ムーンライトノベルズにも掲載しています。

親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話
gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、
立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。
タイトルそのままですみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる