50 / 119
1-3 ラムレイ辺境伯領グレンヴィルより
47 その後のこと・前
しおりを挟む「レイはだめ」
「――――……は?」
「あんな罪人たちの体を、レイが触る価値なんてないよ」
「見えねーんだけど」
目の前にはずらりと並んだ裸の盗賊たちのきったねー尻が、たった今まで見えていたのに……今はあったかい手で視界が阻まれていてなにも見えない。
むき出しの土壁に牢屋のような檻をつけた場所を作り、手枷をつけて罪人らしく並べてみたのだ。おあつらえ向きに、汚ねえケツをこっちに突き出すような形で拘束してあり、これからたっぷりと『犯される側』の恐怖を教えてあげようと意気込んでいた矢先、珍しく一緒についてきていたフェルトが……突然変なことを言い出した。
フェルトは、捕まった冒険者たちがなにをしてるのかっていうことを実際に目にしたわけではないけど、オリバーから生体のエネルギーでダンジョンを経営してるってことは聞いてるはずだ。モニターで俺がダンジョンを監視してることも知ってる。
自分が強姦されたんだから、このダンジョンに取り込まれた人たち相手に俺がどういうことをして遊んでるかってことも……それは身をもって知ってるだろう。
「一体どういうつもりだ」と不機嫌を隠すことなく、俺は眉間に皺を寄せながら、低い声で訊いた。
帰り道、こいつらでどう遊ぶかずっと考えてたんだ。わけのわからない理屈で邪魔されてたまるか。
「その代わり、これあげるから」
フェルトがおもむろに俺に手渡してきたのは、なんと1本鞭……上級者向けだ。
正直、日本でもバラ鞭しか手にしたことない。しかもこんな長いやつ。本当に拷問に使ったりするやつなのかもしれない。プレイで使う分には、俺が練習でもしないとだめだけど……相手が罪人ならOKなのかな。
一体どこで調達したんだ……? と首をかしげるが、手のひらにしっくりと吸いつくような革張りの鞭に、ときめく。
た、たしかに楽しそうだけど。こ、これも全然アリだけど!
俺はしばらくうずうずと鞭を見つめ、だけど好奇心に堪え兼ねて、床に振り下ろしてみた。
ビシイッ パシィンッ
鞭は見事にしなり、ビュンビュンとすごい音を響かせて、地面に1本の線の跡を作った。
ぞくり、と背筋を期待に似たなにかがかけあがる。それから、ふ、と笑ってしまう。
(すごい……はじめて使うのにこんなゴツいやつ。的も生きてるなんて)
俺は並んだ尻に向かって歩き、腕を振り上げると、鞭を叩きつけた。
「ひぎゃあ"あ"あッ!!!」
「ぐあ"あああ!!!」
盗賊たちの苦しそうな呻き声が聞こえ、俺は普通に興奮した。調子に乗って、ビシッパシッとしばらく鞭をしならせると、男たちはヒィッとみっともない声をあげ始めた。ゾクゾクッと快感が体の中を走る。
――ああ、甘美。
おそらくこの鞭は、本当に拷問用なのだろう。
日本で見たプレイ用のとは作りが違う。痛覚を最大限に引き出すようにできている。男たちの背中や尻、太ももが、どんどん赤くなり、皮がむけて血が滲んでいる者もいる。
ああ、この血が滲むほどの痛みで快楽を感じるようになったら、どんなに楽しいことだろう。よし、俺がこの痛みで昇天できるような体に躾けてやろう。
俺はペニスや尻の感度を上げて、痛いけど気持ちいい状態にしてやるか、それとももっと痛くするべきかと考えながら、盗賊たちに近づく――……が、またしても、横から手が出てきて阻まれた。
「だめ」
「……は?」
なんだっていうんだ一体。
この盗賊に思い入れでもあんのか? なんで俺が行動を制限されないといけないんだ。
俺は、俺の目の前を塞いでいる手を掴むと、その手を俺の腰にまわした。
鞭を投げ捨て、両手を誘うようにフェルトの首にまわしながら、フェルトの太ももにペニスを押しつけた。フェルトの固い太ももにグリッと半勃ちのペニスを擦りつけながら、息がかかるほど近くで言う。
俺は怒ってんだよ。
「なあ、俺のちんこが収まんないんだけど? お前が代わりになるわけ?」
押しつけられたペニスに、フェルトは一瞬身じろいだが、俺が挑発するように目を細めるのを見ると、覚悟を決めたようにぎゅっと口を結んだ。
「――――――わかった」
唇が触れそうなくらいの位置で、フェルトが小さく囁いた。
少し頬が赤い。でもうろたえているわけではなくて、なんだか覚悟を決めた緊張感みたいなのが伝わってきた。
――ふうん。
密着して抱き合う俺たちの後ろで、盗賊たちがぜえぜえと肩で息をしていた。
が、最上級の獲物が、自らフライパンと皿を持って、俺の前までのこのこやってきたのだ。そのおいしそうな獲物をどう調理してやろうかと、俺の興味はもうすでに、完全にフェルトだけのものだった。
俺とフェルトは牢屋をあとにした。
95
お気に入りに追加
818
あなたにおすすめの小説

飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?
執着攻めと平凡受けの短編集
松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。
疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。
基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)
僕の太客が義兄弟になるとか聞いてない
コプラ@貧乏令嬢〜コミカライズ12/26
BL
没落名士の長男ノアゼットは日々困窮していく家族を支えるべく上級学校への進学を断念して仕送りのために王都で働き出す。しかし賢くても後見の無いノアゼットが仕送り出来るほど稼げはしなかった。
そんな時に声を掛けてきた高級娼家のマダムの引き抜きで、男娼のノアとして働き出したノアゼット。研究肌のノアはたちまち人気の男娼に躍り出る。懇意にしてくれる太客がついて仕送りは十分過ぎるほどだ。
そんな中、母親の再婚で仕送りの要らなくなったノアは、一念発起して自分の人生を始めようと決意する。順風満帆に滑り出した自分の生活に満ち足りていた頃、ノアは再婚相手の元に居る家族の元に二度目の帰省をする事になった。
そこで巻き起こる自分の過去との引き合わせに動揺するノア。ノアと太客の男との秘密の関係がまた動き出すのか?

「じゃあ、別れるか」
万年青二三歳
BL
三十路を過ぎて未だ恋愛経験なし。平凡な御器谷の生活はひとまわり年下の優秀な部下、黒瀬によって破壊される。勤務中のキス、気を失うほどの快楽、甘やかされる週末。もう離れられない、と御器谷は自覚するが、一時の怒りで「じゃあ、別れるか」と言ってしまう。自分を甘やかし、望むことしかしない部下は別れを選ぶのだろうか。
期待の若手×中間管理職。年齢は一回り違い。年の差ラブ。
ケンカップル好きへ捧げます。
ムーンライトノベルズより転載(「多分、じゃない」より改題)。

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…

シナリオ回避失敗して投獄された悪役令息は隊長様に抱かれました
無味無臭(不定期更新)
BL
悪役令嬢の道連れで従兄弟だった僕まで投獄されることになった。
前世持ちだが結局役に立たなかった。
そもそもシナリオに抗うなど無理なことだったのだ。
そんなことを思いながら収監された牢屋で眠りについた。
目を覚ますと僕は見知らぬ人に抱かれていた。
…あれ?
僕に風俗墜ちシナリオありましたっけ?

お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた
やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。
俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。
独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。
好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け
ムーンライトノベルズにも掲載しています。

親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話
gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、
立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。
タイトルそのままですみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる