引きこもりの俺の『冒険』がはじまらない!〜乙女ゲー最凶ダンジョン経営〜

ばつ森⚡️4/30新刊

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1-3 ラムレイ辺境伯領グレンヴィルより

47 その後のこと・前

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「レイはだめ」
「――――……は?」
「あんな罪人たちの体を、レイが触る価値なんてないよ」
「見えねーんだけど」


 目の前にはずらりと並んだ裸の盗賊たちのきったねー尻が、たった今まで見えていたのに……今はあったかい手で視界が阻まれていてなにも見えない。

 むき出しの土壁に牢屋のような檻をつけた場所を作り、手枷をつけて罪人らしく並べてみたのだ。おあつらえ向きに、汚ねえケツをこっちに突き出すような形で拘束してあり、これからたっぷりと『犯される側』の恐怖を教えてあげようと意気込んでいた矢先、珍しく一緒についてきていたフェルトが……突然変なことを言い出した。

 フェルトは、捕まった冒険者たちがなにをしてるのかっていうことを実際に目にしたわけではないけど、オリバーから生体のエネルギーでダンジョンを経営してるってことは聞いてるはずだ。モニターで俺がダンジョンを監視してることも知ってる。
 自分が強姦されたんだから、このダンジョンに取り込まれた人たち相手に俺がどういうことをして遊んでるかってことも……それは身をもって知ってるだろう。

「一体どういうつもりだ」と不機嫌を隠すことなく、俺は眉間に皺を寄せながら、低い声で訊いた。
 帰り道、こいつらでどう遊ぶかずっと考えてたんだ。わけのわからない理屈で邪魔されてたまるか。

「その代わり、これあげるから」

 フェルトがおもむろに俺に手渡してきたのは、なんと1本鞭……上級者向けだ。
 正直、日本でもバラ鞭しか手にしたことない。しかもこんな長いやつ。本当に拷問に使ったりするやつなのかもしれない。プレイで使う分には、俺が練習でもしないとだめだけど……相手が罪人ならOKなのかな。
 一体どこで調達したんだ……? と首をかしげるが、手のひらにしっくりと吸いつくような革張りの鞭に、ときめく。
 た、たしかに楽しそうだけど。こ、これも全然アリだけど!
 俺はしばらくうずうずと鞭を見つめ、だけど好奇心に堪え兼ねて、床に振り下ろしてみた。

 ビシイッ パシィンッ

 鞭は見事にしなり、ビュンビュンとすごい音を響かせて、地面に1本の線の跡を作った。
 ぞくり、と背筋を期待に似たなにかがかけあがる。それから、ふ、と笑ってしまう。

(すごい……はじめて使うのにこんなゴツいやつ。的も生きてるなんて)
 
 俺は並んだ尻に向かって歩き、腕を振り上げると、鞭を叩きつけた。

「ひぎゃあ"あ"あッ!!!」
「ぐあ"あああ!!!」

 盗賊たちの苦しそうな呻き声が聞こえ、俺は普通に興奮した。調子に乗って、ビシッパシッとしばらく鞭をしならせると、男たちはヒィッとみっともない声をあげ始めた。ゾクゾクッと快感が体の中を走る。

 ――ああ、甘美。

 おそらくこの鞭は、本当に拷問用なのだろう。
 日本で見たプレイ用のとは作りが違う。痛覚を最大限に引き出すようにできている。男たちの背中や尻、太ももが、どんどん赤くなり、皮がむけて血が滲んでいる者もいる。
 ああ、この血が滲むほどの痛みで快楽を感じるようになったら、どんなに楽しいことだろう。よし、俺がこの痛みで昇天できるような体に躾けてやろう。

 俺はペニスや尻の感度を上げて、痛いけど気持ちいい状態にしてやるか、それとももっと痛くするべきかと考えながら、盗賊たちに近づく――……が、またしても、横から手が出てきて阻まれた。

「だめ」
「……は?」

 なんだっていうんだ一体。
 この盗賊に思い入れでもあんのか? なんで俺が行動を制限されないといけないんだ。
 俺は、俺の目の前を塞いでいる手を掴むと、その手を俺の腰にまわした。
 鞭を投げ捨て、両手を誘うようにフェルトの首にまわしながら、フェルトの太ももにペニスを押しつけた。フェルトの固い太ももにグリッと半勃ちのペニスを擦りつけながら、息がかかるほど近くで言う。
 俺は怒ってんだよ。

「なあ、俺のちんこが収まんないんだけど? お前が代わりになるわけ?」

 押しつけられたペニスに、フェルトは一瞬身じろいだが、俺が挑発するように目を細めるのを見ると、覚悟を決めたようにぎゅっと口を結んだ。

「――――――わかった」

 唇が触れそうなくらいの位置で、フェルトが小さく囁いた。
 少し頬が赤い。でもうろたえているわけではなくて、なんだか覚悟を決めた緊張感みたいなのが伝わってきた。

 ――ふうん。

 密着して抱き合う俺たちの後ろで、盗賊たちがぜえぜえと肩で息をしていた。
 が、最上級の獲物が、自らフライパンと皿を持って、俺の前までのこのこやってきたのだ。そのおいしそうな獲物をどう調理してやろうかと、俺の興味はもうすでに、完全にフェルトだけのものだった。

 俺とフェルトは牢屋をあとにした。

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